弁慶
昼休みは無駄に過ごしちゃったな。放課後、もう一度校長先生の所に行くしかないか…でも英雄譚の続きになっても困る。悩む。
黄色い本によると、宝くじの異世界は管理されているらしいから、そんなに危険ではないらしいけど、不慮の事故に遭っても文句は言わない。って同意書が気になるな。
バンジージャンプする時に書くやつだよね?でもパパはそんなの書く前に消えちゃった。
身近に異世界転移した人いないかな?わたしの周りにはアロハ君ぐらいしかいないな。
お家の人に聞いてみたら何かしらわかるかもしれない。今度行ってみようかな?
でもその前に、もう一度だけ校長先生の所にお話を聞きに行こう!
「校長先生、昼のお話の続きを…」
「ごめんなさい。来客中でしたね。出直します」
やたらごつい人がいる。身長が私の倍くらいあるよ。腕とか牛の太もも?ってなくらい太い。
「皐月君待ちなさい。君を待っていたんだ。昼はすまなかったね」
「こいつは私と共に旅をした仲間。戦士の弁慶だ」
「皐月さんだね。それがしは弁慶。本名は佐藤彰だ。よろしく」
また面倒臭そうな人。英雄譚の続きが始まったら、塾があるからって逃げるしかないね。
「よろしくお願いします」
私はパパが異世界転移した経緯を佐藤さんに話した。
「佐藤さんは異世界の事、詳しいですか?」
「おっと、それがしのことは弁慶と呼んでくれ。話はそれからだ!」
…なら本名、名乗らなければ良いのに。やっぱり面倒臭い人だったよ。
「…弁慶さんは異世界の事、詳しいですか?」
「それがしは難しい事は一切分からん!しかし、魔法使いのフローラルなら執行委員会の一員だから…」
「執行委員会?宝くじの?」
「宝くじと言うより、異世界管理の委員会だな」
校長先生が口を挟んで来た。
「私達は宝くじの販売には否定的だったんだよ。だが、扉の維持や運営にはやたらコストがかかる」
「国の財政難を補う税収と、コスト担保の為に宝くじの販売を強行したんだよ。管轄は農林水産省だ。競馬と同じだな」
「私達は一応、異世界の第一人者だからね。アドバイザー的な立ち位置なんだよ」
「宝くじ販売の許可を出す条件として、パーティーメンバーのフローラルを委員会に入れたんだ」
「彼女は転生者だから、こちらの世界にはどのみち来られないからね」
「えっと…すみません。話が大き過ぎて、追い付かないです」
とりあえず、そのフローラルさんにお話が聞ければ助かるかも?希望が見えてきたよ。
「フローラルさんにお話を聞くことは可能ですか?」
「ほら?そこの壁に猿みたいのがいるだろ?」
本当だ。見たこともない生き物がいる。
「そいつはフローラルのペットだ。名前はアメデオ。魔力が貯まるとこのアイテムを使って通話が出来るよ」
アイテムって…それ?
どう見ても糸電話じゃんか…




