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16.猿夢Ⅳ


 れい兄さんと呼ばれたのはゆたかの叔父にあたる社堂 黎也(しゃどう れいや)だった。


「ゆたか、どうしてここに…?それにここは…」

「れい兄さん!()()!あと2列!」

「 !」


 れいやはゆたかの言葉と周りの状況から事態を瞬時に理解する。


「「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!!!!!!!!」」

「ゆたか!()()()は!?」

「ない!出来るのは起きるのを待つしかない!」

「なら大丈夫だ!あと1分で6時だ!ゆたかはいつも6時に起きてたよな!?」


 れいやは腕時計を見ながら言う。


『次は三枚おろし〜次は三枚おろし〜くたばるお客様はご準備くださ〜い』

「いいかゆたか!起きたらお祓いに行け!で、今夜は念のため寝るな!」

「分かった!れい兄さんもそうしろよ!」

「いや、俺はいい…」

「は?」

『まもなく、三枚おろし〜三枚おろし〜キキッ』

「なんで!?れい兄さんは死んでもいいっていうの!?」

「ああ、俺も疲れたしな…会社がブラック極まれりでな…」

「でも……でも……!」

『くたばれ下等種族』

「「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!!!!!!!!」」

『チッ、今日はここまでのようですね〜。でもどう足掻いても無駄ですよ〜。起きたらこのことは()()()いますし、あなたたち下等種族はずっと起きたままではいられませんよね〜。それではまた〜』

「れい兄さん!待っ……」




 ——————————————————————————————————————


「待って!……………あれ…?」

 

 ゆたかが目を覚ました時、何があったかを()()、茫然としていた。


「何か……忘れたらいけないことがあったような………っ!」


 腕に痛みが走り声が漏れる。

 そしてその場所を確認すると…


 【MONKEY DREAM】


「 !?こ、これは…!!!」


 その文字を見てゆたかは思い出す。ここに数日間、()の中で何があったのかを。


「いや………でも……!流石に非現実的過ぎる…!」


 しかし、ゆたかは最後の一線を越えることが出来なかった。


「こんな話したところで……アイツらも鼻で笑うだけだよな…」 

 


 ——————————————————————————————————————


「ゆたか〜?ゆーたーかー?」

「…………………………」

「ゆたか!」

「…………………………」

「なら、こうするまで!」

「ん〜〜〜。はんはろひんほ(なんだよみんと)


 みんとがほっぺをひっぱってやっと、ゆたかは反応する。


「さっきからずっと呼んでるのに返事がないからさ。ホントに具合大丈夫?」

「大丈夫大丈夫。昨日に比べたら全然マシ」


 ゆたかはそう言って体調を誤魔化す。


「そう?なら聞きたいことがあって…」

「ああ、いいぞ」

「数学の宿題写させてほしくて!」

「はぁ?宿題くらい自分で…………」


 そう言いかけて、ゆたかは昨晩からの行動を振り返る。


「待て、俺もやってくるの忘れた…………」

「やっぱり…じゃあ僕の写す?」

「は?やってきてないんじゃないのかよ」

「ホントはやってきてたんだ」

「……………なら写させてもらう」

「どーぞ」


 みんとは宿題をゆたかの向きに合わせて広げる。


「最初はね、この宿題、ゆたかに写させてもらおうと思ったんだ」

「……………………」

「でもね、ゆたかが今日やってこない……ううん、あの大真面目なゆたかが()()()()()()()ような気がして」

「……………………」

「その上でもう1回聴かせて?ホントに大丈夫……?」

「……大丈夫だ」

「分かった……でも!ホントに何かあれば話してね!」


 ゆたかは腕をさすりながら答える。


「ああ…………………………」




 ——————————————————————————————————————


 れいやが目を開けると昨夜と同じ光景だった。

 そして、ゆたかの安否を確認するために右を向くと、足と腕をそれぞれ組んで下を向いて目を瞑っていたゆたかがそこにいた。


「なっ!?ゆたか!!!なんでここにいるの!?」

「…………………………………………………………………………………………」

「キキキキキキッそのガキはお前の言いつけを守らなかったみたいですね〜。せっかくちょっと長生き出来るチャンスを無駄にするなんて、下等種族らしい知能ですね〜。まっ、それでも数日しか延命出来ないでしょうがね〜キキキッ」

「待ってくれ!この子は!どうかこの子だけは見逃してくれ!俺はどんな扱いをしても構わないから!だから…!だからどうかこの子だけは!」

『ん〜〜〜?そうですか。な〜ら〜……』


 車掌はニコリと笑ってアナウンスを続ける。


『ただいまより、この列車は快速列車となります』

「 !!!」

『よって〜輪切りを飛ばしまして、次はひき肉〜ひき肉〜ですキキキッ』

「なっ!?どうして…!?」

『キキキッ何故、俺様がお前みたいな下等種族に配慮してやらなければいけない?だったら、お前を後回しにして絶望する様を眺めてやるよキキキキキキキキキキキキキキキキキキキッ』

「や、止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」


 

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