13.猿夢Ⅰ
(ここは……………どこだ……?)
ゆたかは目を開けると電車の中だった。
ロングシートに人が余ることも足りぬこともなく、全員が座席に座っていた。
(電車の中か…………あれ……?俺はどこに向かっていたんだっけな…)
ゆたかがそう考えていると、向かいに座っている乗客の後ろが暗くなり、ゆたかの顔が映る
(トンネル………じゃあ、北九方面に向かっているのか…んーーー?北九方面になんか用事ってあったか?基本的に博多の方で大体の用事は済ませられるから、わざわざ乗車賃が多くかかる北九方面に行く必要はないんだが…………それとも何か北九方面での用事が終わって帰っている最中だったっけな…………)
ゆたかが記憶をこねくり回して思い出そうとしている内にトンネルを抜ける。
そして、乗客の頭の後ろに広がっていたのは深い森の景色だった。
(森…森………?こんな森、福岡の鹿児島本線上にあったか?)
その時、前方車両と繋がる扉が開く音が聞こえた。
そして、車両の動きによって勢いよく扉の閉まる音が続く。
(誰かこの車両に移動してきたのか?あ…あれ?首が動かせない?)
首が動かせないことに戸惑っていると、前方車両から移動してきた人物がゆたかの前を通り過ぎる。
その人物の顔を見ることは出来なかったが、どうやら車掌服を着ていることが分かった。
そして、袖からは毛むくじゃらの体毛と人とは全く違う形をした手も……………
(あれは………………!)
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「んぁ………!」
ゆたかが目を覚ますと、そこは寝室のベッドだった。
そして、普段起きる時間から30分ほど過ぎていた。
「ん…………あれ……?何か、悪い夢を見てた気がするんだが………」
目を覚ました瞬間から覚えていない夢に違和感を覚えるゆたか。
そのゆたかがいる部屋の扉が突如開かれる。
「ゆたかおはよう!あのクソゴミモンペ共がいない素晴らしい朝なのにお兄ちゃんを放っておいて……大丈夫かゆたか。顔色が悪いようだけど」
「おはよう兄貴。心配しなくていいよ。悪い夢を見て寝付きが悪かっただけだから」
「悪い夢を見て怖かったんだな!そうかそうか!じゃあ今日の夜はお兄ちゃんと一緒に寝ような〜」
ゆたかの兄、矢木 大輔はそう言いながらゆたかに抱きつく。
「あーーーもう!引っ付くな!どいつもこいつもベタベタひっつきもっつきしやがって!」
「ゆたかが冷たーい」
「兄貴が引っ付いて暑いからだ」
「えーーーかわいいかわいい弟が心配なんだよーーー」
そうおちゃらけた顔で言ったあと、だいすけは真面目な顔でゆたかに語りかける。
「でもな、もし何かあったら俺じゃなくてもいい。みんとくんだとか、誰かに相談するんだよ?ゆたかは結構1人で抱え込もうとするから。1人でなんでもかんでも出来る人間なんて居ないんだから」
「……………………ありがとう兄貴。でもなんでもかんでも1人で出来そうな奴、知り合いにいるわ」
「それって中学校で出来た友達?どんな人どんな人?」
「分かった分かった!話すから離れろ!」
ゆたかはだいすけにとある武装したクラスメイトの話をしながら朝食を取った。
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「ねぇ!アンタ達!ジ⬤ジ⬤3部まで見たわよ!」
「「おお〜〜〜!」」
「………………………………」
「さおりの好きなキャラは!?」
「んーーー………やっぱり、承●郎とス●ープラチナかしら!」
「おおー王道を征くスタープ●チナかーやっぱりそれだよね!」
「でも、ポ●ナレフも捨てがたいよ」
「………………………………」
「それだったら花●院もいいわね!」
「なら、ア●ドゥルも!」
「ジ⬤セフは………」
「「「……………………」」」
「何か老けてて悲しかったわ……」
「決めるところは決めてかっこいいんだけどね…」
みんとはここまで一言も喋っていないゆたかに声を掛ける。
「ねーゆたかー大丈夫ー?」
「…………………………」
「ゆーたーかー!」ユサユサ
「うわっ!何?どうした?」
「ずっと呼んでたんだよ?」
「え…?そうか……悪い…」
「どうしたの?具合悪い?」
ゆたかは具合をありのまま伝える。
「いや、ちょっと夢見が悪くて寝付けんくてな」
「悪夢とか見たのー?」
「いや、内容は一切覚えてねんだ」
「…………………………」
「へーお漏らしはしなかったの?」
「するか!お前じゃあるまいし」
「ちょっと!私がお漏らししてるって言いたいわけ!?」
「おや、違ったか?中学生で漏らさないのは当たり前だろう?それをわざわざ槍玉に挙げるってことは何かお前に心当たりがあるんじゃないかと思ってな」
「言い掛かりよ!」
「顔を真っ赤にして言うなよ。まるで図星のように見えるぞ?」
「なんですっってぇ!」
「まーまー2人ともどーどー」
みんとは喧嘩腰の2人を宥める。
「やぁ矢木、もし夢の内容を思い出したら教えてくれ」
「ん?ああ、分かった。けど急にどうしたんだ?」
「矢木のことが少し心配になってな」
「そうだよ!僕も心配してるだからね!」
「はいはいありがとありがと。夢見が悪いなんて誰にでもあるから気にすんなって。なんならお前に疲れさせられてるから悪夢を見たかもしれんがな」
「ちょっと!心配してるのになんでそんなこと言うの!」
「そーだそーだ!」
「言っとくけど、ホントに漏らしてなんかないから!」
「はいはい」
ゆたかは3人を軽くいなしながら考える
(ま、今日は寝る前に温かいミルクを飲み、20分ほどのストレッチで体をほぐしてから11時には床につくか…)
お盆ということで、今日からこのホラーシリーズを毎日1話ずつ5日間投稿する予定です!
ゆっくりしていってね




