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貴族様

◇◆◇


 ヴォルが魔法の練習をしていると、いつもは聞き慣れないなにかがやってくる音が聞こえた。


「ん?あれは、……馬車か?」


 少し遠くで豪華な装飾がなされた四輪の箱を馬が引いているのが見える。その前後には所々に青色の装飾のなされた鎧を身にまとった兵士が50人ほど歩いている。

 あれが今日村に来ると言っていた貴族様かな。


「あ!まずい!」


 夕方に来ると聞いていたのに、まだ昼過ぎだぞ。クロードに正装をと言われていたのに、急いで着替えないと!


 ヴォルは急ぎ足で家の中に向かった。



「母さん!馬車が来てるよ!」

「あら、もう来たのね。早馬でも送って知らせてくれればよかったのに」


 あれ、意外と軽い?


「まあ、あいつのことだからな。驚かせようとでもしたんじゃないか?」


 父さんに至っては『あいつ』呼びしてるし……。

 まあ、昔一緒に冒険していたとか言ってたし、友人のような関係なんだろうな。


 って、それどころじゃなかった!


「クロード!着る服ってどこに置いたっけ!」

「こちらでございますよ」

「ありがとう!」


 ヴォルは服を受け取ると自分の部屋がある二階へ駆け上がって行った。



 服を着替えていると、家の外からガチャガチャと金属同士をぶつけたような音が聞こえてきた。


 もうすぐそこまで来てしまったかな。急がないと。


 ヴォルは服を着替え終わると階段を降り、三人のもとへ向かった。


「お、ヴォル来たか」

「それじゃあ、お出迎えに行きましょうか」


 父さんと母さんのあとに続いて外へと出ていくと、家の前に先程遠くに見えていた馬車が止まっている。そしてそれを守るように兵士が囲っている。


 俺たちが馬車へと近づくと、騎士の一人がドアを開く。中からは黒を基調とした、見るからに上質そうで、西洋風の服を身にまとった男が出てきた。

 美しい金色の髪が映える整った顔立ちに、馬車から降りる動き一つにも育ちの良さを感じさせる姿は、まさに貴族といった言葉がぴったりだろう。


「久しぶりだな、ローベルト、ラウラ」

「ああ、元気そうだな、カール」

「久しぶりね」


 辺境伯様のことを名前で呼び捨てって、それはかつての仲間だったとしてもいいのだろうか……。


「おお、クロードも元気そうだな」

「はい、バーデン辺境伯様に置かれましてもお元気そうで何よりでございます」


 クロードも辺境伯様と顔見知りだったのか。


「お前の息子もお前の跡を継いで、我が家で執事として立派に働いているぞ」

「光栄でございます」


 なるほど、クロードの息子がバーデン辺境伯様のお屋敷で執事をしているのか。

 跡を継いで、ってことはクロードも昔は辺境伯様の元で働いていたのか。


「お、もしかしてその子が?」


 辺境伯様が俺のことを見ている。挨拶しなければ。


「ええ、そうよ。この子がヴォルター、私達の息子よ」

「ゔ、ヴォルター・クルーガーです。初めまして」


 とりあえず変なことは言わずに、このくらい簡潔な挨拶でいいだろう。


「おお!ボサボサの黒髪に混ざった透き通るような白髪。しっかりと二人の血を引いているな。わたしはカール・アウグスト・フォン・バーデン。そしてこの子が……」


 馬車の中から少年が出てきた。辺境伯様と同じ美しい金髪、幼いながらも整った顔立ち。


「私の息子、アルフレートだ」


 俺と同じ位の少年は馬車から降りると、俺に目を向けて微笑んだ。


「アルフレート・アウグスト・フォン・バーデンです」


 貴族特有の挨拶なのだろうか。右足を一歩引き、右手を胸に当てて頭を下げている。


 顔を上げたアルフレート様は父さんと母さんの顔をじっと見つめている。こころなしか緊張しているようにも見える。

  

「この子はまだ8歳になったばかりでね」

「あら!ちょうどヴォルと同じね」

「おお、そうだったのか!」

「ということは、……アルフレート君もそろそろ剣術の修行を始めたのか?」


 自分は色々と例外があると思うが、この世界の子どもたちはこのくらいの歳から修行を始めるものなのかな。


「いや、アルフがどうしてもっていうから二年前程から少しずつ始めていたんだ」


 お!俺と同じ頃に始めたのか!


「ほお」


 父さんがニヤリと笑った。


「実はヴォルも6歳のころから剣術の修行を始めたんだ」


 その父さんの言葉を聞き、辺境伯様も同様にニヤニヤとしだした。


 二人して何か変なことを考えている気が……。


「ヴォルはこの歳ながらなかなかに優秀でね。そんじょ其処らの子供には負けない実力を持っているぞ」

「アルフも俺の血を引いているからか剣術の才能があってな。我が家の騎士に鍛えてもらっているんだ」


 二人は自分の子供の自慢でマウントの取り合いを始めた。


 二人を眺めていると、母さんが俺の方に来た。


「二人は冒険者をしていた頃からの親友なのだけれど、同じ剣術の使い手っていうこともあっていっつも競い合っているのよ」


 なるほど。親友であり、良きライバルってことか。

 競い合う相手がいるっていうのはいいよな。



「ヴォル」

「アルフ」

「「試合したくないか?」」

「へ?」

「え?」

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