六話 因果応報
多分不定期過ぎて忘れられていると思っている今日この頃
ある少年は饐えた匂いのする貧民街で絶望する。
少年は生まれてから今まで貧民街を出た事がなかった、これが普通だとそう思っていたのだ。
それがなにかの間違いで、あるいは運命のような何かで外に出ることが出来たのだ。
少年たちが言う貧民街とは街の名前であると住人全てがそう思っているだろう、貧民の意味も分からずに痩せた体とボロボロの服は神様から与えられた恵みであるということを誰も信じて疑わなかった。
貧民街の最果てには鉄の大きな円形の扉が付いている、そこから白い翼を持つ天使たちが現れて恵みをくださるのだ。
ある日少年は最果ての扉が開いている事に気が付いた、少年は神様に会えるかも知れないと無邪気にも好奇心から貧民街を出てしまったのだ。
扉を潜り暗い道を歩いて階段を上ると鉄製のしかし普通の扉があった、ノブを回し扉を開く――
――外は一言で言えば壮観だった煌びやかな灯り、天を突くような四角い建物、少年は知らないビルや繁華街行き交う自分と同じ、しかし痩せても無くボロを纏ってる訳でもない人間がいた。
少年は困惑する、天使が一人もいない事もそうだが何故彼らはあれ程豊かなのだろう、と。
咄嗟に眩しいものを見るように目を逸らし地面を見つめる、足元に何かがある。
あったのは金属の円盤である片面には500と彫られておりもう片方には何かの模様のようだ。
珍しい物を拾ったとポケットに入れて少年はふと自分が出てきた建物を見る、見てしまった。
「…神を……信じ続けた……者たちの……末路……」
建物の看板にはそう書かれていた、その横に「これであなたも天使になれる!」や「餌やり30,000」と謳い文句が書かれていた。
少年は建物の前で立ち尽くしていた、その先のことはあまり覚えていない、変な男たちが来て囲まれたようにも思えるし、自分で戻ったようにも思える。
しかし戻って来てしまったのだ、貧民街という名の飼育場に。
少年はこれが悪夢でないことを知っている、ポケットに入った円盤がこれは現実なのだと強く訴えてくるからだ。
ある少年は饐えた匂いのする貧民街で絶望する。
彼の少年には救いなどないのだから―――
コロンと硬い何かが転がる音がした、少年は音の方向に目を向ける。
「……透明な……指輪?」
さっきまでそこになかった透明なガラスで出来たような指輪がそこにあった、少年は迷いなく手を伸ばし触れる。
その指輪こそ禁忌の体現、禁止道具だ。
本来は禁庫の外部に存在しない存在が哀れな少年の前へと姿を現した、それは奇跡でありある意味では必然であった。
禁止道具は所有者を求めている、何故ならば認識されないと具現化できないからだ。
禁止道具は帰還を望んでいる、何故ならば存在が世界にとって害悪であるからだ。
故にこの指輪も例外ではなく、この瞬間から世界に具現化した世界の害悪である。
――――指輪の名を因果応報
その権能は指輪に祈った運命の確定、未来へ干渉し過去を改変する持たざる者たちの妄執から生み出された一縷の希望である。
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