表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者転生~なんか設定と違うんですけど!~  作者: 膝関節の痛み
第3章 メインキャラについて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/28

怪しむヤツ

 週明け、予想通り有名生徒ふたりの喧嘩は少し噂になった。

 だが、それを上回る話題がそれを隠してくれた。


 その話題とは取り巻きAことコンシリアの退学である。


「コンシリア? ああ、ガリアーニ伯爵のご令嬢ですね。

 許せませんね。

 わかりました、こちらでなんとかします」


 私がチクったらアンネッタさんがそう言っていたけど、土日の間になんとかしたらしい。

 早いヤバい怖い。

 そこまでは求めてなかったんだけど、貴族社会はやっぱ容赦ない。


 それを受けて、目撃していたAクラスの生徒が得意気にベラベラ喋っているらしい。


「ガリアーニ様がランギーニ様を階段から突き落そうとしたのでランギーニ様が抗議なさったら、仲裁に入ったパンツィーリ様が巻き込まれたのです。

 私はその場におりましたので間違いありません!」


 退学者が出たという事実もあって、彼女にとってそれが都合のいい解釈だったのだろう。

 私たちにとっても好都合だ。

 休み時間にこっそり様子を窺ったら、数人に囲まれて嬉しそうだった。


「でも他の子は喧嘩したって言ってたけど……」

「いいえ、あれはじっくりお話し合いをしていただけです。

 その証拠におふたりは先ほど楽しそうに話しておいででした。

 私がこの目で見たので間違いありません!」


 いいねえ、君輝いてるよー。

 覗いているのに気にもされないどこぞのモブとは大違いだ。


 声の大きいものが噂を制する。

 正確な目撃談はすぐに駆逐され、その子の解釈が「真実」となった。


 おかげでパトリツィアとジョゼは安心してかぶった猫の育成を進めている。

 

 取り巻きの中心人物だったコンシリアの退学は、残りの取り巻きたちの腰を引かせることになり、Sクラス4人を中心にAクラスを含め10人以上いた「押しかけパトリツィア派」は離脱者が続出した。

 おだてても何もしてくれないし、機嫌を損ねたら退学だしでは、取り巻くメリットなんてないもんね。


 アンネッタさんの想定通り、ジョゼはその空いた場所にスルッと入り込んだ。

 パトリツィアそのものにあこがれる、正体を知らない女子3名と新パトリツィア派を作っている。

 

 「ホーリーヒール」よる好感度アップ作戦もはじまっており、この前は階段で転んだ転んだ男子の怪我を治し、泣いて感謝されたそうだ。


 「ひどいケガだったの?」って訊いたら、「いやそういうんじゃねえんだけど」でなんかごにょごにょ言ってたけど、ファンが増えたんだから照れなくてもOK。


 おまけに、わきまえているその男爵子息は、言い寄るようなことはせず同様の経験をした生徒とファンクラブを立ち上げたのだ。

 私だったら迷惑だけど、テッペン目指すジョゼにはありがたい。


 自分からの接近禁止、迷惑行為厳罰の理想的なファン組織だ。


 調子に乗った元ヤンが、「ビアっちがそのへんのやつぶん殴って、あーしがヒールするっつーのどう?手下ガンガン増えんじゃね?」とか言い出したので、軽くお説教しておいた。


 こうして、快活なジョゼとおしとやか(笑)なパトリツィアのコンビは学園で誰もが知るところとなった。

 元取り巻きたちも退学を恐れて何も言わないので、やっかみの声もほとんど聞こえてこない。

 まあ裏では何か言われてるだろうけど、それはどうでもいい。


 大体想定どおり。

 そんな中、パトリツィアが深刻な顔をして家に来た。


「ビアンカ、大事な相談があるの」

「どうしたの難しい顔して?」


 パトリツィアは声を潜め、グイっと身を乗りだした。

 すごい真剣。師匠が出張でいないからめんどくさいのはナシでお願いしたい。


「ジョゼが危ないのよ」

「え?」

「ジョゼ、この頃ここに来てないでしょ?」

「うん。放課後も魔法の特別授業を受けるって言ってた。

 爺ちゃん先生だっけ? 年取ってるのに熱心だねえ」

「問題はそこ!」

「問題? いいじゃん頑張ってるんだから」

「よくない! 教授が怪しいの! 悪の臭いがするわ!」


 出たな妄想隠密!


「何か怪しい行動してたとか?」

「行動はわからないけど、見た目から怪しいのよ!」

「見た目かい!」

「だって、煤けた白衣を着て、髪はぼさぼさで、前歯が一本ないのよ!」

「小汚い爺さんなだけでは?」

「違うの。カプア教授といったら変人で有名で、授業はやる気がなくて生徒に本を朗読させるだけだっていう話よ?

 そんな教授がジョゼに熱心に教えてるのよ。変じゃない?」

「うーん。ジョゼは光魔法持ちだから珍しいんじゃない?歯も治すのめんどくさいだけだと思う」

「でも、教授の研究室にはステファノ君がいるのよ?」

「ステファノ?」


 意外な名前が出てきた。


「覚えてない? 初日だけ来て、すぐ飛び級していった天才の人。

 教授といっしょにジョゼに教えているんだって」

「うん、それは覚えてるけど、何でステファノがいるわけ? ジョゼに教えてるの?」

「他の教授が関わりたくないからって、ステファノ君をカプア教授に押し付けたらしいの。

 でもなぜか気が合って、ふたりで何か研究し始めたそうよ。

 変人と天才。きっと危ない研究に違いないわ!」

「そうかなあ。ジョゼはなんて言ってるの?」

「危ないって言っても笑って取り合わないのよ。

 それどころかステっち先輩はいい人だって言ってる。頑張ると撫ででくれるんだって。

 そうやって信用させて、危ない研究の片棒を担がされるのよ!」

「……確かに気にはなるわね」

「でしょ?怪しいわよね⁉」


 気になるのは怪しさじゃなくてナデポの方。

 まさかここにきて普通の乙女ゲーに突入する感じ?


「あ! わかった!

 ジョゼ、この前魔力切れを起こしたのよ。一回新しい魔法を使っただけなのに。

 それ、教授に魔力を抜かれたんだわ⁉」

「……魔法の名前はわかる?」

「ホーリーハイヒールって言ってた。骨折した子を治した」

「うん、ただの魔力切れだね」


 ジョゼは魔力量はあまり高くないって言ってたから、覚えたてで魔法効率が悪かったら中級魔法でも魔力切れになるだろう。

 パトリツィアは魔法の才能はないのに魔力量だけは高い。魔力切れを想像できないのだ。

 完全に宝の持ち腐れである。

 ちなみに私はファイア四回でぶっ倒れる。


 てか、ジョゼ、もう中級魔法を使えるのか。

 魔力量的にそこが限界っぽいけど、この世界にもう上級魔法は存在しないから問題ない。中級の光魔法を使えるだけで、ジョゼは既に最高峰の光魔法使いなのだ。


 うん。ステファノも汚教授もちゃんと教えてくれてるじゃないか。


 そんで生徒が熱心な上にあんだけかわいかったら、凡人には目もくれない天才でもクラっとくるかもね。


 ただ、ゲームの設定どおりってわけでもないんだよなあ。

 乙女ゲーならアプローチするのはジョゼなんだけど、今回はステファノが積極的にジョゼに仕掛けている。

 うーん。これは一度確認しなきゃだわ。

 それによっては、今後の鑑賞計画を練り直さなきゃならない。

 基本スタンスは傍観だけど、ここは自分から動くところかな。


「よし!

 パトリツィア、明日教授の研究室に偵察に行ってみようか」

「偵察?行く!」

「うん。

 あ、でも研究棟って入れるんだっけ?」

「入れるよ? 警備の人がいるけど、園生証を出して教授に面会するって言えば大丈夫」

「なるほど。じゃあ明日までに何か用事を考えておくよ」

「うん!」


 ステファノの設定は、魔法職の地位向上を目指す天才だ。

 向上心のない親を馬鹿にしており、愛情を信じず、目的のためなら手段を選ばない冷徹さを持つ。


 さて、リアルのステファノはどんな人物だろう?

 性格がまともならくっついても許す。

 ジョゼと並んだら絵になること確実だ。


 その夜、眼福シーンを想像して私はなかなか寝付けなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ