表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者転生~なんか設定と違うんですけど!~  作者: 膝関節の痛み
第2章 悪役令嬢について

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/28

対象外なヤツ

 隠しルートの悪役令嬢がボツにされてしまい、ゲームのシナリオは、何の新鮮味もないありきたりなものとなった。

 攻略対象は4人。

 キラキラ系イケメンの第二王子、アドルフォ・ディ・アルバーニ 。

 細マッチョ熱血系の騎士団長子息、マルコ・ナントカ。

 腹黒系チャラ男の軍師将軍子息、ニコロ・モンテナントカ。

 そしてクールなインテリ眼鏡の宮廷魔導士子息、ステファノ・ナントカ。


 まあ、薄っぺらいテンプレっすわ。

 だって上司うえがそうしろっつーんだもん。


 ゆえに、自分で書いておいてなんだが人物への思い入れも薄い。シナリオ中で自己紹介の時しか使わなかった家名は、王子以外覚えていないのがその証拠だ。


 だが、人気絵師さんの手によるビジュアルは素晴らしかった。

 田舎から出てきてまで、ぜひ生で見たいと思わせるものだ。

「一番大事なのはキャラデザデス。予算はケチりません」と断言し、アイス丸先生を起用したのは犬Pの唯一の成果だ。


 いや、アレのことはどうでもいい。今私がやるべきなのは、攻略キャラたちの現状の確認である。


 パトリツィアがお笑い設定の短髪ござる娘だった時には思わずキレてしまったが、耐性ができた今、どんなにポンコツでも現実としてちゃんと受け止めようと思う。


 さっきチラッと読んだ限りでは、王子はヘタレ確定のようだ。

 まあしょうがない。お笑いならお笑いで楽しもう。どうせ私は見てるだけだし。

 半分開き直りながら、私はアンネッタレポートを開いた。


 まずはその王子。

 同級生候補の最重要人物なので、レポートの一番上に名前がある。

 本編ではキラキラ系のイケメンだったはずが、小柄で弱気な人物と書かれていた。

 ヘタレのためアンネッタの評価は厳しいが、世間では「守ってあげたい方の王子」として「守ってほしい方」の第一王子に迫る人気があるそうだ。

 ボツネタの原画は当然発注されないので、「小動物系」は完全に初見。ちょっと楽しみではある。


「あれ?」


 読み進める中で、マルコのプロフィールが想定と違っていたことに、私は首を傾げた。

 フルネームはマルコ・フェルナンディ。読んだら思い出した。

 お笑い編ならゴリマッチョのオネエなのだが、本編どおりの細マッチョの熱血キャラだった。

 騎士団と軍の関係を反映して、ニコロ・モンテフェルトロと仲が悪いと書いてある。


 別案第一弾のコメディーパターンだけは真面目に設定を考えて、ビジュも全員本編とは変えてあった。

 つまり、お笑い編なら見た目から違うはずなのだ。


 慌ててそれ以外のふたりも確認すると、どちらも本編設定だった。

 パトリツィアの取り巻きになるはずの貴族令嬢にも特にコメディー要素はない。


 他の設定が入り込んでいる可能性も考えたが、BLならばニコロ(攻め)×マルコ(受け)でイチャついているはずだし、ホラー版では死霊みたいな風貌で死霊術を研究しているステファノ・コンカートも、健全な魔法研究で成果を出している。


 ということは、この世界は基本的に本編準拠で、そこにコメディーキャラの王子と悪役令嬢が混ざってる感じ?


 うーんそれは……。

 傍観者的にはありがたいんだが、パトリツィアにとっての学園環境的にはあまり歓迎できないかなあ。


 本編キャラは当然ちゃんと性格の設定されているんだよ。

 そして、テンプレ的に全員こじらせている。

 見る分にはいいけど、現実では恋人としても友人としても勘弁願いたい。


 そんでその対象外のやつらは、ヒロインに熱を上げ、最終的に悪役令嬢を断罪するのだ。

 悪役令嬢がシナリオどおりに悪事を働くならそれでもいいのだが、その悪役令嬢パトリツィアは正義感を胸に学園に潜入予定の隠密である。

 しかも中身はポンコツお笑いキャラ。


 めんどくさいことになる予感しかしない。


 ヒロインの設定は、本編では平民出身で距離感の近いフレンドリータイプで、頑なな貴族子息どもの心に入り込む。コメディーならハードなツッコミ役だ。

 お笑いタイプであってくれればまだましだが、現時点では不明。

 まだどこぞに埋もれているらしく、アンネッタレポートに名前はない。

 下町の食堂の娘という設定だが食堂名は覚えていないし、入園前のシーンはないので詳細は私にもわからない。不安が残る。


 ただ、名前も知らない人物をアンネッタさんに調べてもらうわけにもいかない。

 そうなると私が転生者で作者であることを話さないといけなくなってしまう。


 個人的には別に話してもいいんだけど、「何言ってんだこいつ?」となるのが目に見えている。もし信じてもらえたとしても、それはそれで実家も巻き込んだ騒動になる危険性が大だ。

 それはよろしくない。

 私は学園ではモブの傍観者に徹するのだ。

 そんで卒業後は田舎に帰って、地元の気のいい男と結婚でもして米と芋を作るのだ。


 ということで、ヒロインについては先送りを決めた。

 まあ、問題があったらパンツィーリ家の力でなんとかしてもらおう。


 で、私にできることといえば、アンネッタさんといっしょに各キャラごとに関わり方を決めてパトリツィアに教えることしかない。

 そこはアイディア出しという体で多少の誘導はできると思う。


 今考えられる大方針は、必要以上に関わらせないこと。

 高位貴族同士の儀礼的な付き合いにとどめたい。できれば挨拶を交わす程度。


 王子はパトリツィアを見ると逃げるそうなので問題ない。

 マルコとニコロについては、喧嘩を仲裁しようとしたり、軍と騎士団のどちらかに肩入れをするような発言をしなければ絡まれるリスクは減るはずだ。


 ステファノは魔道具への魔力供給方法の画期的発明をし、既に社会的地位を獲得している。

 発明したのは魔道具の使用魔力効率化方法。

 魔道具ギルドの仕事で忙しいようなので、学園の人間関係に首を突っ込む余裕はないだろう。


 あと、当然ヒロインの邪魔をするのも厳禁。

 勝手にイケメンどもを攻略させておけばいい。


 つまりパトリツィアは、隠密として侯爵様から与えられた任務を粛々とこなせばいいわけだ。


 まあそんなとこかな。

 詳細はアンネッタの知る情報に合わせて調整していけばなんとかなりそうではある。


 不安がないわけではないが、色々わかってすっきりした。


 気がついたら夕方になっていたので、私は晩ごはんの準備に向かう。

 今日はナンチャーラ産新米を土鍋で炊いて、魚市場から買ってきた魚で作った自家製干物と、同じく自家製煮干しで出汁をとった根菜の味噌汁という純和食だ。

 茄子とキュウリを刻んでショウガとこんぶといっしょに軽く塩もみをした「山形だし」風漬けものも作る。


 実家には海のものが入ってこなかったから、こういうのを作れるのはほんと嬉しい。


 お米は少し多めに炊いておく。

 新米が届いたと知ってから、酒場帰りの師匠が〆のお茶漬け目当てに時々来襲するのだ。

 ナンチャーラに住んでいたので新米の美味しさをわかってる。

 ほんとは帰したいが、入れないと玄関先でわざとらしく泣くのでしょうがない。

 ご近所に、小さい娘を締め出している毒親みたいに思われちゃかなわないからね。


 まあ、気持ちはわかる。〆茶漬けは正義だからね。ラーメンより罪悪感ないし。

 せいぜい酒場でナンチャーラ米の評判を広めてくれるように言い含めておくことにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ