砂漠の王族たち②
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「申し訳ございません、リア様」
メラが深く頭を下げてリアに謝った。
「あの、俺は無事だったんで大丈夫ですよ」
「ですが、ジャファル殿下のなさりようは……」
「でしたら、ジャファル殿下がどういう方なのか教えてください」
「殿下のことをですか?」
「はい」
にこにこと笑顔のリアに、その興味の先をもうちょっとうちのファイサル殿下に向けてもらえないでしょうか?、とメラは思った。
とはいえ、リアはジャファルに目を付けられた。
どういう人物なのか、ということを知っておくのは間違いではない。
「ジャファル殿下はファイサル殿下の異母兄になります。一の兄君と三の兄君の母君は王妃様ですが、二の兄君でいらっしゃるジャファル殿下の母君は側室のお一人です。ファイサル殿下の母君も側室のお一人ですが、ファイサル殿下の母君が他国の女性なのに対して、ジャファル殿下の母君は国内の貴族の出です」
「うーん、めんどくさそうな匂いがしますね。というか、国王陛下の奥様ってどれだけいるの?」
「王妃様以外に、側室が五人ほどいらっしゃいます。その……功績のあった部下に下賜されることもあり、入れ替わりもしばしば……」
「すっごいね。国王様って、その……」
「女性好きだということは否定出来ません。実際、お子様もたくさんいらっしゃいますし。陛下の唯一の欠点と言われております」
「ひょっとして、殿下方も?」
「いいえ。父君のようにはならない、というのがジャファル殿下を除いた殿下方の総意です」
「あ、ジャファル殿下だけ違うんだ」
お父さん似なのかなー?
「国王陛下ってどんな方ですか?」
ファイサルも、性格に難はあったけれど、ジャファルも見た目は大変良い。
恐らく兄弟姉妹、皆あんな感じなんじゃないだろうか。
「勇猛で有能な御方です。砂漠の男らしく武に長けているのは当然ですが、民の声を聞いて施政に取り入れるなど、国を発展させることにも積極的です。ただ、見た目は大変良くて、その姿が描かれた絵はとても人気があるのですが……その……重厚そうな感じではなくて、どちらかというと、軽さが表に出ているような感じでして、陛下曰く、油断してくれたら最後までしっかりしぼり取るのだそうです」
「それって、ファイサル殿下と真逆な感じ?」
「性格はそうだと思います。リア様が会うことはないとは思いますが、気を付けてください」
「気を付ける?何で?」
「陛下は大変広いお心の持ち主でして、どのような人間も愛でることが出来る御方です。お断りしても全然問題はありませんし、変な確執を残すような御方ではございませんが、取りあえず声はかける、という感じですね。かくいう私も、昔、お声を掛けていただいたことがございます」
「……チャラダンディ?」
「……大変申し訳ありませんが、そちらの言葉をまだまだ修行中の身ですので」
「あ、はい」
メラもきっと心の中でそう思っていたのだろうが、うっかり頷くわけにもいかない。
メラの苦し紛れの言葉に、リアはあははははと笑って誤魔化した。
ここには滅多に来ないそうだし、権力も身分もある厄介そうな御方に関わる気がなかったリアは、砂漠の国王陛下ってそんな感じなんだー、と思っていたのだった。
お・や・く・そ・く。




