砂漠の王子①
読んでいただいてありがとうございます。
書いていて、これはもう基本を全制覇出来るのはエデルしかいない、との結論に達しました。
出生に秘密持ち+溺愛する伴侶+伴侶以外からの一目惚れ率の高さ+わりと自由に動き回れる環境(アリアさんに監禁されない限り)+可愛い息子+のほほんなのに一途。
これはもう書くしかなくないですか?
そのうちアリアさんを巡るライバルも現れて、ちょー勘違いからの家出も有りかなー。
妄想はどこまでも広がりますが、まずは王道の砂漠編から。
ファイサルは、眠る女性をゆっくりと抱き上げた。
「殿下」
「……連れ帰る」
「は?し、しかし」
「こんなところに女性を一人で放り出していくわけにもいくまい」
「だからと言って、わざわざ殿下が……もがッ!」
何か言おうとした部下の口を、別の部下が塞いでいた。
「殿下の馬でしたら力が強いので、二人でも十分に乗れますね。なので、殿下がお連れください。ですが、その方のためにもあまり急がせすぎないでくださいね」
「分かった」
口を塞いだままにこやかな笑みを浮かべたままそう言った部下は、幼い頃からファイサルの側近として仕えてくれているユセフだ。
当然、ファイサルも彼のことを信頼している。
そんなユセフに言われたのだから、ファイサルは女性を抱いたまま馬にまたがった。
落とさないようにしっかりと抱きしめると、女性らしい柔らかさというよりも少し固い感じのする身体が密着した。
「……可哀想に……」
顔だけ見るとあまりそんな感じには見えなかったが、ここまで柔らかさがないということは、きっとあまり食べさせてもらっていなかったのだ。だから、こんなにガリガリに痩せて……。自分の宮に連れ帰ったら、しっかり食べさせよう。そうしたら、きっと柔らかな身体を取り戻すに違いない。
あんな風に扱われていたのに、女性は一向に目覚める気配がない。
「そのブルーグレーの髪は北方の色ですよね?どこから誘拐されてきたんでしょう?」
「分からない。だが、場合によっては、誰かに北に行ってもらわねばならないかもしれない」
「そうですねー、それが婚約の申し込みだったら自分が行きますよ」
「そういうことではない」
隣に馬を並べたユセフの言葉に、ファイサルは少しだけ顔を赤らめた。
まだ、そういうことではない。
第一、彼女の声を聞くどころか、その瞳に色さえも見ていない。
いや、自分は彼女の寝顔をこうして見てしまっているが、彼女はファイサルの顔さえ見ていない。
それどころか、存在さえ知らない。
「早く起きてくれ……」
とはいえ、馬上で急に目覚められて恐怖のあまり暴れられても困る。
「宮に母を呼んでおきます」
「頼む」
ユセフの母は、ファイサルが幼い頃にファイサルの母に仕えてくれていた人間の一人だ。
彼女に任せておけば、この女性が不自由することはないだろう。
腕の中の女性が早く目覚めることを願いながらも、目覚めてしまったらこうして触ることが出来なくなり、場合によってはすぐにいなくなってしまうかもしれないと思うと、ファイサルはすごく嫌な気持ちになったのだった。
にゃん。第四王子なので、イスハークさんの弟さん。兄弟で堕ちたにゃん。




