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第二十話 : 軍艦マーチから始まる異世界風カーアクション

岩原たちが、ギャング集団『コンドル』のラッキーホース派とゴリラ人間を追っている時に、金門橋に向かって航行中の戦艦陸奥改二では、所属不明の宇宙船に謎の光を浴びせられ制御が効かなくなっていた。

 「・・・砲雷長、所属不明機の様子は?」

 

 艦長はこめかみの真ん中を人差し指で抑えながら現状を確認した。

 

 「ハッ!現在、自動運転装置だけが乗っ取られている状態でほかは正常に機能できる模様です。」

 

 「そうか・・・。ならば速やかに敵対勢力を排除されたし、砲雷長!」

 

 「ハッ!三番砲塔うちーかたーはじめー!」

 

 砲雷長がそう叫ぶと、超電導粒子砲レールガンに改造された三番砲塔がウイーンという音ともに所属不明機の方へ向いた。

 

 「てーっ!!!」

 

 砲雷長が叫ぶと同時に『ヴォン』という奇妙な音とともに三番砲塔から放たれた青白い光線が所属不明機を貫いた。

 

 船員1「よっしゃ!命中じゃあ!!」


 船員2「みたかエイリアンども!これが神国日本の力よ!!」


所属不明機はあちこちから爆発が起き、スリットの赤い光も徐々に暗くなりながら落下していった。

 

 船員たちやヤジ馬たちが狂喜乱舞する中、艦長は戦力だけが封じられていないことに猛烈に嫌な予感がした。

 

 「エイリアンの船からの乗っ取り(ハッキング)にしてはいささか不明な点が多すぎる・・・。何か別の目的があるのか?」


 そのころ木暮と岩原は、いまだにあの逃走車を追っていた。

 

 「やばいにゃ!」

 

 「どうしたアーシャ君?」

 

 「飛行できる時間が後数分しか残っていないにゃ!」

 

 アーシャによるとパトカーを含めた緊急車両は、小型のジェットエンジンで空を飛ぶが、ほとんどは浮遊魔法でカバーを行っているとのこと、つまりこの魔力が切れると飛行する際は常にエンジンをフル稼働しなければならず、あっという間にガス欠になってしまうとのことらしい。

 

 「しかたない。降りるにゃ!」

 

 アーシャが『地』と書かれたところまでシフトレバーを倒すと、パトカーは徐々に高度を下げてタイヤを縦に直して飛行機が着陸するかのように地面に着地した。

 

 ガリクソン「あらゆる物理攻撃が効かないなんて厄介ネ。」

 

 岩原「そうだな、せめて磁石で対象物にくっつくことができる特殊な筋力増強着物パワードスーツがあればいいんだがな・・・。」

 

 アーシャ「あるにゃ。」

 

 岩原は驚愕の面持ちでアーシャを見た。

 

 「あんの!?」


 アーシャはコクンと頷いて難易度の高そうなことを口にした。

 

 「トランクの中にスーツが一式入っているにゃ。」

 

 「一筋縄ではいかないってか・・・よし分かった!」

 

 岩原は決意を固めるとシートベルトを外して走行中のパトカーの扉を開けた。

 

 案の定、宋から銃弾を浴びせられかけたがホイホイとよけてトランクを開けて中のスーツを引っ張り出した。

 

 それは、黒いフルフェイスヘルメットのような被り物にガスマスクのようなものが付いており、上着とズボンは侍の鎧をサイバーパンク風にしたもので、手袋と靴には丸く黒いものがついていた。

 

 《なんかすんげー見た目だけど、あえて突っ込まないようにしよう。》

 

 岩原はそう思いながらも、宋の銃弾をよけながら車内に戻った。

 

 一方こちらは敵サイド。

 

 銃をすべて外してしまった宋は、苦虫をかみつぶしたような顔をしながら座席に戻った。

 

 宋「なんか、岩原の奴変なスーツをトランクから引っ張り出してきたわ。」

 

 黒人男性「おそらくパワードスーツでしょう我が同志。」

 

 宋は爪を噛みながら、あれに対抗できる手段を考えているとおもむろに携帯が鳴りだした。

 

 黒人男性「どうぞ。」

 

 宋「謝謝」

 

 宋は、中国語で感謝の意を黒人男性に伝えると、携帯の通話ボタンを押した。

 

 「ハイ、ハイ・・・そう・・・わかったわ。」

 

 宋は、みんなに聞き取れないように中国語で相手と会話して電話を切った。

 

 黒人男性「失礼ですが誰からですか?」

 

 宋「間違い電話みたい。」

 

 運転手「それでお嬢。奴らどうします?」

 

 サイドミラーをみると、岩原がパトカーの上にのっていて今まさにこちらに乗り移ろうとしているところだった。

 

 こちらに乗り移るのも時間の問題と判断した宋は、運転手に自分の要望を伝えた。

 

 「パトカーを粉砕できるだけの武器を頂戴。」

 

 「了解。」

 

 運転手はそういうとカーナビに表示されているものの一つを押した。

 

 すると、宋の横のドアの一部がひっくり返って、中から変わった形の銃が出てきた。

 

 形から見るとそれは、棒猫型ロボットが主人公のアニメに出てくる腕にはめる大砲に、たくさんの機械的な装飾を施したものである。

 

 運転手「それは40年式ブレスレットバスターというものです。大戦時に俺たちアメリカ人が敵兵から鹵獲したものを自分たちが使いやすいように改良したものですよ。」

 

 宋「これはどういう仕組みで動くのかしら?」

 

 運転手「手のひらに出っ張りが触れているでしょう?そいつがトリガーです。それを手前の方向にひくと、中で魔石に対して搭載されている小型のマイクで詠唱が行われ自動的に爆裂魔法が発動します。」

 

 宋「パーフェクトだ!我が同志。」

 

 運転手「感謝の極み。」

 

 ニヤッと笑うと宋は、屋根の窓を開けてそこから勢いよく放った。

 

 『ボーン!!!!』というすさまじい音ともに、青白い炎の塊は岩原たちのパトカーめがけて飛んで行った。

 

 それは、ちょうど岩原が筋力増強着物を着用した直後だった。

 

 岩原「やばい!」

 

 アーシャ「みんなー!パトカーから脱出するにゃ!!!」

 

 それを合図に岩原はとっさに大ジャンプを、アーシャは体を若干丸めながら右側のドアから、ガリクソンとジムはそれぞれ近くの扉から脱出した。

 

 その数秒後に弾はパトカーに着弾し、爆発の威力でパトカーは燃えながら宙に舞った。

 

 木暮「岩原!アーシャ!」

 

 すぐに木暮のパトカーが追いついてみんなの無事を確認した。

 

 岩原「木暮さん。俺とアーシャはすぐにでも行けます。塚田君、私達に俊足魔法を・・・。」

 

 塚田は頷いて詠唱を開始した。

 

 「風の聖霊よ、この者たちに奇跡の追い風を与えたまえ・・・『フローチェ』!!」

 

 岩原「すまない塚田君・・・。行くぞ!アーシャ。」

 

 アーシャ「了解にゃ!」

 

 そういうと二人は目にもとまらぬ速さで逃走車を追いかけた。

 

 木暮「頼んだぞ。」

 

 二人がしばらく渋滞の中を車の列を飛び越えながら走っていると交差点の先に、車を蹴散らしながら走っている目的の車を見つけた。

 

 「あそこにゃ!!」

 

 「逃がすかよ!!」

 

 なおもスピードを上げてようやく追いついた。

 

 運転手「あいつらしつこいな!」


 宋「またこれで蹴散らしてやるわ。」

 

 そういって宋は、ブレスレットバスターで爆裂魔法を連射した。

 

 アーシャ「また来るにゃー!!」

 

 岩原「よけろ!!」

 

 岩原はそのパワードスーツの性能をフルに使って、アーシャは持ち前の身体能力でタイトスカートであるにもかかわらず、それをものともしない身のこなしでよけていった。

 

 だが、彼らがよけるたびに停車してあった車に次々と被弾し、爆発炎上してしまっていた。

 

 岩原「こりゃあ、後始末が大変だぞ・・・。ん?アーシャどうした?」

 

 見るとアーシャは半泣きで顔を真っ赤にしていて瞳孔も開ききっていた。

 

 岩原「まあ、無理もないさ。大丈夫、あの車の始末は俺が木暮さんに口ぎきしておいてやるから。」

 

 アーシャ「ぱ、ぱ、パンツみられてしまったかもしれないにゃ・・・。」 

 

 岩原「あ、そっちね・・・。」

 

 岩原は頬を染めながら明後日の方を向いた。

 

 岩原「そ、そうだ。一つ提案があるんだが・・・。」

 

 アーシャ「にゃに?」

 

 宋「(・д・)チッ!玉切れか・・・。」

 

 宋の武器は先程の連射で魔石を消費してしまったのか、カチカチと音が鳴るだけで煙も出なくなった。

 

 すると突然ドンという音がした。上を見ると、岩原が屋根の上にへばりついているではないか。

 

 そして、その背中にはアーシャも乗っていた。

 

 呆気に取られていると、岩原は宋が座っている方のドアとハイピースが座っている方のドアを手袋についているすごい磁力で引きはがした。

 

 接近戦を強いられた宋は、とっさのことに対応できずアーシャの引っ掻き攻撃を食らった。

 

 宋「いやっはアアアアア!!」

 

 妙な叫び声をあげながら宋は痛さでのたうち回った。

 

 その頃、岩原は魔導士と壮絶な銃撃戦(相手は、小規模の爆裂魔法を出している。)を繰り広げていた。

 

 岩原が、急所を狙って撃てばハイピースはそれに対抗して無詠唱の俊足魔法で残像が残る速さでよけて小規模の爆裂魔法で反撃するといった具合である。

 

 そうこうしているうちに、木暮のパトカーも追いついた。

 

 木暮「では、塚田君。頼みましたよ・・・。」 

 

 塚田「ハイ・・・。偉大なる大地の神グランディアよ・・・今こそ悪しきものの体を貫き給え『ヴラデストロ』!」


 すると、走行中の逃走車の下から先端がとがった岩の柱が勢いよく飛び出してきて、車ごとハイピースの体を貫いた。

 

 「アーッ♂」

 

 彼は断末魔の悲鳴を上げながら絶命した。

 

 走ったまま下から貫かれた車は自分を強化していた魔導士を失ったため、貫かれたところから勢いよく裂けて前後が真っ二つになってしまった。

 

 木暮「すさまじいな。」

 

 塚田「これで私は軍事用の魔法で民間人を殺した大罪人、故郷に帰れなくなっちゃったな。」

 

 木暮は、先程塚田の言っていたことを思い出して、そういうことかと自分の判断を悔やんだ。

 

 運転手「wao? what’s happened? (な、何が起きた!?)」

 

 後ろからすごい衝撃が来たので慌ててバックミラーを見ると、後ろが丸ごとなくなっていることに驚いた。

 

 宋「まずいこのままだと、止まってしまう!早く降りるぞ。」

 

 運転手「大丈夫です。我が同志。この車は前輪駆動で主な電気系統は前の方に集中していますから。」

 

 その時、フロントガラスにすごい形相でへばりつく男がいた。岩原だ。

 

 岩原「とまれ!ゴリラだぞー!!」

 

 宋・運転手「ギャアアア!!」

 

 運転手「キタネー日本人めそこをどけ!本当にゴリラとして動物園に売り飛ばしてやろうか!?」

 

 そういいながら彼はワイパーで岩原の顔をたたいた。

 

 岩原「いてててて!ちげーよ!ゴリラ人間が交差点で待ち構えているんだ。このままじゃ突っ込むぞ!!」

 

 宋・運転手「・・・え?」

 

 まさかと思って窓から顔を出すと、交差点でゴリラの亜人がこっちに向かってゴールキーパーの構えをしていた。

 

 宋「いちぬけた!」

 

 運転手「にーぬけた!」

 

 宋と運転手は、それぞれ近い方のドアから脱出した。

 

 岩原「アッ!ずりーぞーお前ら!お前らに寝しょんべんする呪いをかけてやるからなー!」

 

 アーシャ「そんなこと言ってる場合じゃないにゃー!!」

 

 哀れ逃げ遅れた岩原たちは、自動車もろとも天高く放り投げられた。

 

 岩原・アーシャ「ワアアアア!!」

 

 木暮「岩原君!アーシャ君!」

 

 岩原は駐車していたセダンタイプの車に背中から落下した。

 

 「背中いたあ!」

 

 背中をさすりながら岩原が周りを見渡すと、先程吹き飛ばされた車の残骸と金門橋に向かって再び走り出したゴリラの亜人が見えた。

 

 「クーッ・・・。パワードスーツがなかったら即死だったぜ。」

 

 そして、岩原はアーシャが見当たらないことに気づいた。

 

 「あれ!?アーシャは、アーシャ!」

 

 アーシャを探していると木暮のパトカーが追いついてきた。

 

 木暮「岩原君大丈夫かね!?」

 

 岩原「ええ。ですが、アーシャが見当たりません。」

 

 木暮「なんだと。」

 

 岩原「アーシャ!!痛てて・・・腰打っちまった。最悪の日だぜ。」

 

 アーシャ「それはこっちのセリフにゃ。」

 

 岩原が声のする方を見ると、着地に失敗したのか肥料を積んでいたフォードの1928年製ピックアップトラックに頭から突っ込んでいた。

 

 岩原「アーシャ!おえっ・・・大丈夫か?」

 

 岩原は木暮と一緒にアーシャを引っ張りだした。

 

 アーシャは、顔は肥しまみれになっており、口から大量のそれをモロモロとこぼしながらつぶやいた。

 

 「私は肥しが大嫌いにゃ・・・。」

 

 木暮「・・・警察署の風呂場で洗ってこい。私が許可する。」

 

 アーシャ「そうさせてもらいますにゃ・・・。」

 

 アーシャはタオルで顔を拭きながらパトカーに乗った。

 

 「ところで岩原君。宋と運転手はどこに逃げたかわかるかね?」

 

 「すみません。とっさの出来事だったので・・・。」

 

 「まあいい。小型の無人回転翼機を使って偵察してみるか。」

 そういうと木暮は、パトカーのトランクから回転する羽が前後に二つずつついている機械とそれを操る機械(操縦機)を取り出した。

 

 岩原「なんですか?それ。」

 

 木暮「こいつは『ドロンパ』という偵察機だ。こいつに内蔵されている透視機能つきカメラを使えばどんなところに隠れていても一目瞭然だ。」

 

 木暮はその機械を地面に置くと操縦機の棒を上に倒した。


 すると、ドロンパは見る見るうちに上昇してしばらく上がると空中に停止した。

 

 岩原「この画面で見れるんですか?」

 

 木暮「そうだ。」

 

 岩原は物珍しそうに操縦機の真ん中にある画面を見つめた。

 

 木暮「近い近い!他人から見たら変質者だぞ岩原君。」

 

 岩原「いやだってさ・・・透過機能があるんならおにゃの子の素っ裸も見れるんじゃないかと思っt・・・あだっ!」

 

 木暮の拳骨が岩原にクリーンヒットした。

 

 木暮「警察の前で堂々と覗きします宣言するな!私だったからよかったものの、ほかの連中だったら即逮捕だぞ。」

 

 話によると、この機械はあらかじめ撮影してある人物を隅々までデータ化し、少しでも似ている人物がいれば任意で建物を透過する機能が使えるという。

 

 木暮「いたぞ!宋だ!!」

 

 岩原「何か鞄のようなものを持っています。」

 

 宋は、廃ビルの中に入っていき、玄関の前で大柄の男性から何かを手渡された。

 

 木暮「爆弾の爆破装置かもしれん。岩原君、確かめに行ってくれないか?もし爆破装置であれば全力で止めてこい!!」

 

 岩原「了解しました!!」

 

 岩原は姿勢を正して敬礼をした後、パワードスーツの機械音を鳴らしながら全速力で宋のいるビルに向かって走り出した。

 

 木暮「・・・頼んだぞ。」



 戦艦陸奥と所属不明機との戦闘は、正直言ってものすごくあっけなかったなと個人的には思いました。

 ただ、メインはあくまでカーアクションなのでそこのところご了承ください。<(_ _)>

 まあ、カーアクションも派手に壊すシーンとかふんだんに入れると、それを表現するのに時間がかかってしまうのでかなりしょぼい出来になっちゃいましたけどね。 (;・∀・)/・・・次回もよろしくです!


     

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