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第十四話:転移者と転移車

予定よりもだいぶ遅れてしまい申し訳ありません<(_ _)>

やはり、少しづつ実生活が忙しくなってきて一週間投稿は無理と判断しましたので、不定期投稿で行きたいと思います。

今回は、岩原の少年時代も交えながら話は進んでいきます。まあ、タイトルでだいぶネタバレしちゃってますが・・・(;^ω^)

あと、人によっては拒絶反応が出るシーンがありますのでご注意ください。



 気動車のエンジンがうなる音に交じって、ゴトンゴトンという心地よい音で少年は目を覚ました。


ふと顔を上げるとそこには、大好きな母の顔が満面の笑みでこちらを見ていた。


「おさむちゃん。もうそろそろ着くわよ、早く支度しなさい。」


「ハイ、ママ」


少年は、眠そうな顔をしながらまたの下に置いてあった小さなリュックサックをしょって親戚のおばあちゃんが住んでいる家の最寄り駅に降りる支度をした。


その時、気動車が耳をつんざくような音を鳴らしながら急停車した。


危うく転びそうになりながらも、少年は何とか耐えて何事かと運転室の方に駆け寄った。


「おさむちゃん危ないわよ!」


母の忠告を無視して彼は乗務員室の窓をのぞいてみたら、運転手さんが外に出ていて、いつの間にか線路内に入っていた自分よりも背格好の低い和服姿の女の子を早く線路から出るよう説得していた。


しばらくして少女は運転手さんと気動車にお辞儀をして消えるように立ち去った。


あまりに急に消えるもんだから、運転手さんはものすごい形相で乗務員室に転がり込んで、そのままフルスロットルで気動車を走らせた。


少年も先程の幽霊のような少女を見てからというもの、母の体に顔をうずめて小刻みに震えていた。


すると先程の少女らしきかすれた声が、なんと車内のスピーカーを通して聞こえてきた。


「して、・・・ユル・・して・・・」「・・スルしか・・・たの」


少年や運転手も含めてもはやパニック寸前だった。


すると追い打ちをかけるかのように突然、ドーンという地響きとともに車両の揺れではない別の揺れが乗客乗務員を襲った。


車内に黄色い悲鳴がこだまする中運転手さんは、即座に地震だと判断して急ブレーキをかけて乗客に落ち着くよう促した。


「お、落ち着いてください!ただいま地震が発生していますが、すぐに収まりますので席を立たないでください!」


だが、現実は非情だった。


一瞬宙に浮くような感覚がしたのと同時に目の前のトンネルが右上に上昇した。


違う、僕の乘っている列車が崖にある線路ごと落ちちゃったんだ。


少年はそんなのんきなことを考えながら落下の衝撃で気絶した。


そんな夢を少年視点で見ていた岩原もベッドから転落した。


「グオオオォォォー痛ってエエエエ!」


隣のソファーで寝ている塚田を起こさないように声を殺しながらもんどりうった後、岩原は後頭部を右手でさすりながら電子時計の方向へ匍匐ほふく前進した。


時計の文字は丑三つ時を指していた。そのためお化けが出る夢を見たのかと思った岩原は、なんとなーくお化けなんてないさと唱えながら携帯電話で踊通部を見ようと充電しておいた携帯を探した。


ふと、今見た夢を思いだして夢の中に懐かしい母のぬくもりを思いだした。まさかとは思うが、あの少年まさか自分自身じゃないのかと岩原は思ったが、母の記憶なんてうっすらとしか思い出せないし、それよりも少女のお化けが脳裏をよぎるので頭をぶんぶんと振りながら携帯を手に取って動画を朝まで見ることにした。


翌朝、塚田は設定しておいた目覚まし時計で目を覚ました。


「アー!よく寝たー!」


ふと横を見ると自分よりも快適な環境で寝ていたにもかかわらず目が真っ赤に充血している岩原が念仏のようなものを唱えながら動画を見ていた。


「何があったかは・・・あえて聞かないようにします。」「ああ、あとみんなに言わないでいてくれると助かる。」


 ちなみにガリクソンは、天井に亀甲縛りにされてアへ顔で気絶していた。


 ~ 一時間後:王立警視庁前 ~


 木暮と大金は、30年代のアメリカの高層ビルにサイバーパンクな建物によくある青白い幾何学模様のスリットが入った建物の玄関の前で岩原と塚田の二人を待っていた。


 「そろそろかな」


木暮が携帯で時間を確認していると、ちょうど時間ぴったりに三人の乗ったパトカーが赤色灯を回しながら二人の目の前に停まった。


 木暮は塚田に対し敬礼し塚田も顔色を悪くしていながらも反射的にそれを返した。


「ご苦労だったな塚田君、顔色が優れないが具合でも悪いのかね?」


 「いえ、課長、私の体調はすこぶる良好です。ですが、その・・・あの・・・」


 塚田が言葉を濁していると、後部座席のドアが開き中からサングラス越しでもわかるくらいに目の下にクマができた30代前後の日本人男性と、それに首輪をつけられた耳や唇にピアスをつけたアメリカ人女性が出てきた。

 

 その異様な光景に木暮と大金は、思考が一時停止して白目になった。


 「岩原さんンンンンン!あんたに何があったアアアア!」


 大金が意識を取り戻し敬語を忘れて岩原にツッコミを入れた後、木暮も遅れて意識が戻った。


 「き、君はっ!誰が容疑者を首輪につないで来いといったアアアア!」


 岩原は特に悪びれる様子もなく眠そうな声をあげて犯人を殺したり逃がしたりしてないからセーフと言った。


 「確かに殺すなとしか言わなかったけれども、拷問は本来第二課がやることなんだぞ。」


 「それじゃあ岩原さんを逮捕しちゃうんですか?この場で・・・そうなった場合、容疑者に対する警察の許可なしでの拷問による証拠隠滅の疑いが適用されて公務執行妨害で・・・」


 木暮は大金が言いたいことを彼の口の前で手を開いて静止させた。


 「その心配はいらんよ。王立警視庁のお偉いさんのほとんどが岩原の米京都での活躍を知っておるし、何よりここら辺の治安がいいのは警察としては少々悔しいが岩原君のおかげだからな。だから特別に警察という肩書もあるし、それによって逮捕はできないのさ。」


 「なんか主人公補正感が否めませんが、分かりました。私もこの件はあまり口にしない方がいいですね。」


 「そうしてもらうと助かるよ大金君。」


 すると岩原は、あたりを見回して感じた違和感を木暮に話した。


 「そういえばあいつは、マックスはどうしました?」


 「ああ、あいつなら逃げたさ。」


 木暮は、キリッという擬音がふさわしいどや顔で警察にあるまじき失態を岩原に話した。


 「おめーらも人のこと言えねーだろうがアアアア!」


 「落ち着いてください岩原さん!何もただで逃がしてしまったわけじゃないんです。」


 そういうと大金は、腕に巻いてある小さな腕時計をいじくると空中にここの周囲が表示されている地図を出した。


 「こいつは・・・」


 「岩原君これを見たまえ。」


 そこには、道路上をものすごい速さで駆け抜けていく赤い点があった。


 「この赤い点がマックスの現在地だ。そしてこの青い点が大金君の現在地だ。」


 「なるほどつまり小型の追跡機能装置をマックスの体のどこかにつけてわざと逃がしたのですね。」


 ちなみに体の外ではなく注射器で中に入れたらしい。それを聞いた注射が苦手な岩原は、体のあちこちがゾワゾワしたのは秘密である。


 しばらくして赤い点が特別区外のある屋敷に停まったので、いよいよ彼らは二組に分かれて行動を開始した。


 一号車に岩原、塚田。二号車に木暮と大金とそれぞれに分かれている。


 また、ガリクソンはというとマックスが装置の存在に気づいて罠を仕掛ける可能性もあるので、彼の行動パターンを一番に知っているという理由から岩原の監視付きという条件で特別に連れて行った。


 「なあ、ガリクソン。正気に戻っているのなら質問に答えてくれ、やつは、マックはどんな手を使ってくると思う?」


 「私は、いつだって正気ヨご主人様。そうネ~・・・彼は新しい力をすぐに使いたがるから、イーグルに新しい技術や魔法がもたらされた場合、真っ先にマックはそれを使ってくるかもネー、あなたと戦った時に使ったバリアなんかもそうよ。」


 「なるほど、仮にエゲロス皇国の進んだ技術や魔法がイーグルに横流しされたらまずいことになるなー。」


 だが、ガリクソンは首を横に振ってエゲロス皇国はなぜか知らないが合衆国時代に作られた組織を毛嫌いしているので、その時に作られた強盗団『イーグル』(この時はシャドウイーグル)も例にもれず嫌っているのでそれはないといった。


 「そうか・・・ならばある程度なら対処は可能だな」


 そう一言だけ言うと岩原は徹夜で電子遊戯ゲームをしていたのですぐに寝息をたてて眠ってしまった。


 するとガリクソンは、小悪魔めいた顔で塚田の方へ寄ってきた。


 「ねーちょっとそこのイケメンエルフさーん。わたしのご主人様ったらまた私に対して放置プレイを始めちゃったわぁ。」


 「ちょっ!なんなんですかいきなり!」


 塚田は一応既婚者なので、よこしまなことをされまいと安全運転を心掛けつつも抵抗していた。


 その行動がガリクソンのいたずら心に火をつけてしまったらしく、いろんなところをまさぐられた。


 「もう放置プレイに飽きちゃったからぁ、正規の警察にいたずらをして罪をかさねてぇ、そこでいろんなお仕置きを受けてみようと思ったのぉー。」


 「いぃいいぃぃいいやあぁあぁああxっぁあーーーー!い、岩原さん!こいつをなんとかしてくぁwせdrftgyふじこlp」


 二人か車内でどったんばったん大騒ぎしている間にも岩原は、嫌がらせが大好きな漫画家の漫画に出てくる漂流者の空神様と同じ格好で爆睡していた。


 もちろんあの例の夢も見ていた。


 ・・・・・・・・・・・・・・・


「ここは・・・どこ?・・・僕は、いったい?」


 少年が目を覚ますと、そこは無残にも崩れた盛土とともに海岸まで落ちて横倒しになった気動車の中だった。


 「また変な夢を見たな・・・僕と同じ名前のおじさんが奇妙な街でお巡りさんをやっている夢・・・。」


 少年はしばらくぼーっとしていたが、はっとして一番大切な存在を無我夢中で探した。


 「ママ!ママぁ~!」


 うめき声を上げながら転がっているほかの乗客たちをかき分けながら必死で母親の存在を探した。


 「おさむちゃん、ママはここよ。」


 浅黒くふくよかな手が上に掲げられた、間違いなく自分の母親だった。


 彼女は奇跡的に脂肪がクッションになってケガはあまりしておらず、服がガラスが割れて入ってきた土で汚れた程度だった。


 「ママぁ~」


 少年は、半泣きになりながらも母親のもとへ這って行った。


 母のぬくもりを肌で感じていた時、またあの少女の声が今度ははっきりと聞こえてきた。


 「これから、あなたたちを別世界に転送します。大丈夫、おぼれ死んでも記憶を持ったまま転生できることを約束します。」


 「ママッ!またあの声だ!怖いよー」


 しかし、母親は首をかしげてそんな声は聞こえなかったわと言った。


 僕にしか聞こえなかったのかと慌てて周りを見渡すと、あちこちでおぼれ死ぬのは嫌だ―と叫ぶ人もちらほらいたので、どうやら今度は聞こえる人と聞こえなかった人がいるようだ。


 運転手さんは、聞こえたのか聞こえていなかったのかはわからないが、脱出口を確保しようと無我夢中でガラスを割ってみんなが出られるくらいの大きさの穴をあけていた。


 「よし、みなさん!ここから非難してください!津波が来るかもしれませんのでなるべく押さないように一人ずつ脱出してください!」


 「運転手さん・・・なさん・・・ガラスが・・・(運転手さん・・・あんた・・・ガラスが・・・)」


 その時、一人のおばあちゃんがそう言って口をあんぐりとして運転手を見つめていた。


 「大丈夫ですよ、おばあちゃん。どうせガラスを割らなきゃ脱出できないん・・・」


 「んでね!なさんが割ったガラスが元さ戻ってらぞ!(そうじゃねえ!お前さんが割ったガラスが元に戻ってるぞ!」


 「なんだって!」


 そんな馬鹿なと振り返ると、なんと自分が割ったはずのガラスが元に戻っていたのだ。


 「どうして・・・」


 彼が絶望に打ちひしがれているとまたあの少女の声が聞こえてきた。


 「ごめんなさい・・・でも、こうするしかなかったの。」


 「どういうことだ!君はいったい!?」


 そういい終わらないうちに海の水が彼らの乗っている気動車ごと飲み込んだ。


 やがて水圧に耐え切れずガラスが割れて外の海水が流れ込んできた。


 「く、苦しいよママ・・・たすけ・・・て。」


 少年の母親は、息子を助けようと手を伸ばしたのだが距離が遠すぎてむなしく水中をかき乱すだけだった。そして、息が続かなかったのか息子の目の前で力尽きた。


 少年は幼心に死を覚悟したのだが不思議と怖くなかった。なぜなら先程の少女が言う通り自分も母親も異世界に転生できるかもしれない、あわよくばお互い前世の記憶を持ったままどこかで出会うかもしれない、そう思っていた。


 だが、少年はもうあの大好きなあの姿であの声での母親に会えないと思うと自然と涙があふれてきた。


 でも、唯一よかったのはこの甘えからくる涙を誰にも見られなかったことだった。


 「ママ・・・ママ・・・さん・・・母さん!」


 少年時代の夢を見ていた岩原はようやく目を覚ました。


 「お目覚めですか?ご主人様ぁ」


 ふと、声のする方を見ても視界がぼやけて前が見えていなかった。岩原は泣いていた。


 「ああ、今起きた。」


 「かわいそうに、怖い夢でもご覧になられたのですネ。」


 ガリクソンは、岩原の涙を心配そうな顔をしながら拭いてあげた。


 「ああ、まあ、怖いと言われればそうだな。」


 岩原は、恥ずかしさとガリクソンの意外なやさしさで目も顔も真っ赤になっていた。


 ようやく落ち着き、あたりを見回すと景色が止まっていた。どうやら路肩にパトカーを止めているようだ。


彼の向かって左側には、建物の隙間から米京都名物の一つである金門橋ゴールデンゲートブリッジが赤く輝いていた。


再び隣を見ると、にこやかな顔でガリクソンは首をかしげていた。その肌は岩原が眠る前よりもつやがよかった。


まさかと思い運転席を覗くと、やはり塚田がエルフ耳を下に垂らしてアへ顔で昇天していた。


「塚田すまん、俺がうっかり寝てしまったばっかりに犠牲になっちまったんだな。」


 岩原は南無阿弥陀仏と手を合わせた後、ガリクソンの方に向き直り近くの小売店で気付け薬を買ってくるからお前も一緒に来いといった。


 その後、二人のいたずら心がさく裂して気付け薬と称して塚田は、hell souse(第一の地球の骸骨のストラップがついている死ぬほど辛いソースのようなもの)を口にスプーン一杯ぐらい流し込まれてトイレの水にダイブしたのはいい酒の肴になるだろう。


 ちなみに、本来なら病院送りになるような量なのだがエルフ族は辛いものには強いのだろう・・・・・ 

 多分('ω')


「岩原さーん。あなたまでいたずらに参加してどうするんですかあー?」


クチパ〇チ見たいな唇をした塚田は、案の定ぷんすか怒っていた。


「ヒヒヒヒー、わ、悪い悪いもうしませんよ。」


「アー唇がいて―・・ちょっと風にあたってきます。」


「じゃ俺たちも息抜きするかメス豚。」


「ハイ、ご主人様。」


しばらく三人で他愛もない会話をしていると大きな広場に出た。


その一角に、ところどころ車体が不良たちに壊されるにしても不自然にへこんだガラスのないさび付いた気動車が静態保存されていた。


「岩原さん?どうしたんです急に驚いた顔をしちゃって。」


「あら、懐かしいわね~。私が子供の頃よくママがこの車両のことを教えてくれたわ、何でも異世界から来たオーパーツらしいって。」


すると岩原は、その車両に近づいて車両に手を当てて二人に驚愕の事実をつぶやいた。


「お前も・・・やはりこっちに来てたか・・・三陸リアス鉄道105号。」


そろそろ、アクションシーンとか書いてみたい今日この頃。

ではまた('ω')ノ

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