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 それは、父が小学生の時でした。当時はまだ戦時中で、子供同士で遊んでいる上空を敵戦機が飛んでいて、はずしてはくれたものの、撃たれた経験があります。


 敵戦機が去った後、彼らがしたのは薬莢集めです。空になった薬莢を集めて、古物屋に売りに行くのだそうです。そのわずかなお金で、お芋やパンを買って食べていたのです。


 そして終戦しました。


 父たちは相変わらずお腹を空かせていました。


 それは、父と数名の友だちが川で遊んでいた時のことです。


 泥に埋まった不発弾を見つけました。大きさはおよそ三十センチ程度。


 彼らがなにをしたか。


 そう、古物屋になるべく高く買ってもらうために、川で不発弾を洗い始めました。


 途中、ヘソがある、とかそんな話をしながら、いくらで売れるか、なにを食べるかで盛り上がっていました。


 さぁそろそろ泥が綺麗に流れてきたというその時です。


 藪の中から知らないおじいさんがあらわれました。


「あぶないからそれをよこせ。おまえたちは帰れ!」


 と怒鳴られたそうです。


 父たちは渋々不発弾を残して川から去って行きました。


 家に帰り着くかそこらで、爆発音が聞こえました。


 父はあわてて川に戻りました。


 すると、誰もいなくなった川の表面には、フナがたくさん浮いていたのです。


 父はバケツを持ってきて、フナをバケツに入れて持って帰り、祖母にさばいてもらいました。


 今の時代ではとても考えられないことですが、空腹がさせたことと、犠牲者が出なかったことでよしとしましょう。


 ちなみにこの話をする時の父の顔がとても好きです。


 下手をすると私は生まれていなかったかもしれないと思うと、藪から出てきたおじいさんに感謝するのです。


     つづく


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