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低血糖

「僕もあなたと同じ大学です」

亮は卒業者名簿の名前を憶えていた。

「そうか、そうか」

アサドは急に亮に親しみを持った。


「ダン様、清算が終わりました。

889万ドルのチェックです」

マネージャー風の男がチェックを持ってきた。

「税金は?」


「アメリカ人は30%を天引きしますが

日本に持ち込まれるなら

 日本で所得申告していただければ結構です」

つまり、アメリカで納税しなかった場合は

日本で一時所得として

申告し納税した後に日本からアメリカに

送金されるシステムだった。


「分かりました、納税します」

「わかりました。ありがとうございます」

亮は日本円で6億円のお金使い道を考え倦んだ。

「團さん」

そこに中国人が声をかけてきた。

~~~~~

数10分前

「恐れ入ります、劉泰平のお知り合いではないですか?」

ラスベガスのカジノのVIPルームで亮は

突然中国語で声を掛けられて驚いた。


「はい、知っています」

「よかった。以前北京の劇場でお見かけしました」

「ああ、あの時ですね」

亮は北京の劇場で主席の救命処置をした時を思いだした。

「はい、私は北京で不動産業をしています。呉明瑛と申します。

 あのベンか言う男にぜひ勝ってください」


「ありがとうございます。では僕があの男と

勝負した時、協力をいただけますか

 その時の掛け金はお返しします」

「了解しました」

呉は亮に深々と頭を下げた。


~~~~~

「團さん、素晴らしい勝ち方でした。

カードを見ないで勝負するなんて

 まるで透視が出来るみたいでした。どうやったんですか?」

呉は亮の勝負を絶賛した。


「秘密です」

亮はカードをある薬を飲んで神経を研ぎ澄まし

カウンティングしていたと説明する事は無理だと思った。

「わかりました」

呉はどんなテクニックを使って亮が勝ったかは聞くのを止め

超能力者で有ると思う事にした。


「ところで、レイズしていただいたお金をお返しします」

「いいえ、あれはあなたが勝負で勝ったお金です。

私がお金を受け取ったら

 八百長になってしまいます」

「そうですね」

「それより、私とビジネスをやりませんか?」

「ビジネスですか?」


「今、中国はバブルで金持ちは金をたくさん持っていて

 それを何に使うか考えているもし良かったらその使い道を

 考えてくれませんか?」

「はあ、はい」

亮は劉泰平の知人の日本人と言うだけで

ビジネスの話を持ちかけられて驚いていた。


「実はあなたの事は調べてあります。

あの時の的確な判断と行動、そして

 今日のゲームの勝ち方。感銘しました。あなたを信じます」

呉は名刺を亮に渡すと両手で亮の手を握った。

「わかりました」


亮は呉に名刺を渡すと嬉しそうに受け取り

「必ず、連絡をください」

50歳過ぎの男が亮に深々と頭を

下げVIPルームを出て行った。


ザックは興奮して亮にハグをした。

「凄いです。亮」

「いや、ザックもうこんな事をしないでください」


「わかっています。もうギャンブルはしません」

ザックは謙虚に亮に謝った。

「よかった、これでニューヨークから

ワザワザ来たかいがありました。

 さあ祐希とケンの所へ言って安心させましょう」

「はい」

亮はザックと肩を組むとケイティは

亮の腕にしっかりと抱きついた。


「ケイティは幸運の女神だよ、ありがとう」

「ううん、私はあなたのスペードの

ロイヤルストレートフラッシュ見ただけでも

 幸せよ」

三人は横一列に並んでVIPルームのドアを開けると

ブルーノと祐希とケンが待っていた。

「聞いたよ、凄かったな」

ブルーノが亮の肩を叩くと亮は体をふらつかせた。


「どうした?」

「いいえ、ちょっと疲れたようです」

亮はそう言って首を左右に振った。

「副作用かな・・・ザックは大丈夫かな・・・」

亮は副作用が気になって呟いた。

「ザック大丈夫ですか?」


亮がザックに聞くとザックは複雑な顔をして答えた。

「人の声が頭に響いて気持ち悪いです」

「我慢してください。薬の効果が切れれば大丈夫です」

「いつ切れます?」

「さあ」

亮ははっきり返事が出来なかった。

その時亮の耳に聞こえたのは飛んでも無い声だった。


「あいつを殺せ、600万ドル持っている」

亮はザックの顔を見たがその声が聞こえた様子は無かった。

「ザック疲れたろう、部屋に戻ると良い」

「亮はこれからどうするんですか?」

「朝一の飛行機でニューヨークに戻ります」

亮がザックに言うとブルーノが亮とザックの肩に腕を乗せた。

「どうした、二人とも変な顔をして・・・」


~~~~~

「あの男の金を奪い返せ」

ホテルの入り口近くのドアの前でベンは

体の大きな男に命令していた。

「はい」


二人はカジノの中に入ろうとするとベンは

「あの男はこのホテルに泊まっていない、外に出たら襲え」

「はい」

二人が首を伸ばし亮の姿を探していた


~~~~~

その時亮の所に電話がかかってきた。

「ああ、やっと電話が通じた。

いったいどこに雲隠れしていたのよ」

「小妹かポーカーをやっていた」

亮が悪びれた様子も無く答えると

小妹がヒステリックに怒鳴っていた。


「まったく・・・私たちをほったらかしにして

ラスベガスに遊びに行くなんて、ただ到着が早すぎるけど」

「ごめん、訳を後で話すから大声でしゃべるのは止めてくれ」

「普通に話しているわよ・・・蓮華と桃華をそっちへ行かせるわ」

「倉沢さんは?」

「とっくに部屋に戻っているわ」


「助かった、とても調子が悪い。フラミンゴのカジノに居る」

亮の声に力が無かった。

「大丈夫?亮」

小妹が亮の名前を呼ぶと電話が切れた。

「ブルー、バーでちょっと休みます。

ザックたちみんな大金を持っているので

部屋に帰してください」

亮はテーブル席に腰掛けるとブルーノに後の事を頼んだ。


「ああ、わかった」

ブルーノは心配そうに亮を見ている

三人に部屋に戻るように促した。

ブルーノは辛そうにしている亮の蝶ネクタイを外した。


「それからケイティに今日のギャラを・・・

お蔭で奴らを油断させることが出来ました」

亮は2千ドルのチェックをブルーノに渡した。

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