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空港そして逮捕

空港内を亮たち三人が歩いていると亮は

突然立ち止まってマシューに聞いた。

「すみません、DHSは逮捕権を持っていますか?」

「はい、国の安全のためならどんな者でも逮捕できます」

「では、お願いします」


亮はそう言って突然搭乗口の方に走り出し

シルバーのキャリーケースを持った男の肩を掴んだ

「ジェイコブ・ヒューズだな」

亮が男の名を呼ぶと手を振り払って逃げ出した。

マシューたちは意味が解らず男の道を塞ぐと

ジェイコブは亮に向かって殴りかかってきた。


亮はその手首を掴みいったん右へ捻って

背負い投げで床に倒しそのまま腕をねじり上げた。

「ミスター・ダン、この男は何者ですか?」

亮に追いついたマシューが聞くと亮は簡単に答えた。


「3年前の麻薬密売で指名手配中のジェイコブ・ヒューズ

身長176cm、体重83kg、髪と目がブラウン

1988年3月14日デンバー生まれ、

ただ今の体重は110kgくらいかな」


「そのジェイコブ・ヒューズである証拠は?」

イーサンは亮の言った事を疑っていた。

「髪はブロンド、目はブルーです。

とにかく僕の記憶は間違っていません、

空港警察を呼んでください」


亮がイーサンに頼むとジェイコブが

体をひねってマシューに聞いた。

「俺がジェイコブ・ヒューズだと言う

証拠があるのか?もし間違えていたら

 訴えるぞ」


「あります。人相を変えるのは太るのが

1番です。一見別人に見えますからね

 でも、その耳は間違いなく3年前に見た

ジェイコブ・ヒューズの耳です」

亮は冷静に答えた。


「そ、そんな馬鹿な3年前に見た耳なんて・・・」

信じられない顔をしているジェイコブを

マシューが空港警察に引き渡した。


「ミスター・ダン、あの男のパスポートを見たら名前が違って

 責任問題があるので警察に来て欲しいそうです」

マシューが困った顔をして亮に言うと

自分の記憶に絶対の自信を持っている

亮は一緒について行った。


「わかりました」

空港警察に向かって歩きながら

イーサンは亮に聞いた。

「ミスター・ダン、事情は分からないが

どうして疑われてまで

あんな男を捕まえる必要があるんですか?」


「僕は人間の心と体をボロボロにしてしまう

麻薬が大嫌いだからです。

そして麻薬はテロリストの財源です」

亮は言葉少なげに真剣な顔をして答えた。


警察の別室で待たされた亮はコーヒーを一口飲んで

「よく映画で見る警察署のコーヒーが不味そうだけど

そうでもないですね」

 亮は無愛想なマシューとイーサンに話しかけた。


「ミスター・ダン、さっき見せた

逮捕術どこで習いました?」

マシューが亮の動きが手早いので驚いていた。

「学生時代はボストン警察で日本語の通訳の

アルバイトをしていましたから

 その時に習いました」


「ではその時にジェイコブの資料を?」

「ええ、僕は記憶力が良いものですから

今度テロリストの

データを見せてください役に立ちますよ」

亮はニッコリと笑った。


「それはできませんが、記憶力を良くする

方法ってあるんですか?」

マシューは亮の言った事に興味があった。

「ええ、人間の脳って一度にそんなに

多くの事を覚えられないんです

 最大15秒。まるで容量の少ない

フラッシュメモリーです」


「ん?」

イーサンも亮の言っている事が気になった。

「たった15秒?じゃあ、どうやってそんなに

多くの事を覚えられるんですか」

「人間の脳は記憶する時に情報を

整理しながら記憶していくんです。


 たとえばジェイコブ(日本語ではヤコブ、

キリスト12使徒の一人)と言う名だったら

聖書に出てくる名前これはすでに記憶

されているので新たに記憶する必要がない、

 つまり記憶と言うのは古いデータに新しい

情報をプラスして繋いでいくものなんです」


「でも、忘れてしまう事が多い」

「ええ、新しく覚えた事はメインメモリに

移し替えなければなりません、

 その方法が反復なんです」

「確かに覚えようとする事は何回も口ずさむ」

イーサンが亮の話にだんだん引き込まれてきた。


「ただ、耳で聞いた事より目で見た方が

記憶をするのは早い、音声は分析が

入るけど画像、映像見た目そのままです

からねストレートです、だから

映画を観て場面、場面は覚えていますが

セリフはほとんど覚えていないはずです」


「なるほど」

マシューが感心しているとさらに亮は

「子供のころ体験した楽しかった事や

怖かった事を今でも思い出せるのは

 何度も無意識に反復しているからです」


「そう言えば私は子供の頃、

木から落ちそうになってぶら下がっている

 映像をいまだに思い出す」

イーサンが亮に言った事に賛同す

るようにマシューも言った。


「私は祖母が目の前で眠るように逝くシーンだ」

「マシュー、その時の周りの様子は?」

「ああ、みんなが泣いていた、目の前に窓が

有って、カーテンが花柄だった」


「そうです、それが記憶の呼び戻しです。

おそらくイーサンがどうやって助かったか

 思い出せないはずです」

亮はが言うとイーサンがうなずき掌を見て


「そうだ、たしかに思い出せない。

おかしいなあのぶら下がっていた感触は

いまだにあるのに」

マシューとイーサンはたった数分の会話で

単なる警護の対象ではなくて

亮に好意を持ってきていた。


「僕はその記憶能力が他の人より強いだけです」

「なるほど・・・」

二人は納得して笑っていると

空港警察の取調官が入ってきた。


「お待たせしました、男の身元がわかりました。

言われた通りジェイコブ・ヒューズです

 指紋で確認が取れました。

今FBIがこっちに向かっています」


「そうですか、よかった。では行きましょう」

亮は笑って立ち上がった。

「えっ、ちょっと待ってください。

FBIに説明をしてください」


「僕たちは急ぐので後はお任せします」

亮が言うと空港警察官が困った顔をした。

「DHSとFBIは仲が悪いんだ!何も言うな」

マシューは空港警察官を睨み付けて脅すように言うと

亮に向かって丁寧な言葉を言った。


「さて行きましょう、ミスター・ダン」

マシューとイーサンはサングラスを

外し目を合わせて笑うと

二人は亮の警護をする事を誇りに思った。


三人が空港から出るとすれ違いざまに

フレイザーとパティが隣の

自動ドアを開けて入ってきた。


~~~~~

「あら?」

パティが声を上げるとフレイザーが聞いた。

「どうした?パティ」

「朝からタシキードを来ている男がいたわ」

「それはそれは、どこかでサミットでも開かれるんだろう」


フレイザーとパティを含めた五人の

FBI捜査員を向かい入れた

空港警察署員はジェイコブ・ヒューズのいる

取調室の隣の部屋で

フレイザーに自分たちが捕まえた話をした。


「しかし。よくわかったなあ」

フレイザーは手配された頃のジェイコブの写真と

マジックミラーの向こう側の写真を見比べていた。

「パティ、私は隣の部屋でジェイコブと話を聞いてくる」

フレイザーが部屋を出て行くとパティが署員に話をした。


「私はパトリシア・フォールドです」

パティが握手を求めると

「ロム・ライトです」

ロムは美しいFBI捜査官に握手を求められ

手の汗をズボンで拭いて恥ずかしそうに握手をした。


「よろしくロム、ところで人相の変わった

ジェイコブをどうやって見つけたの?」

パティは首を左に8°傾けかわいらしく聞いた。

するとロムは額から汗を流し始めた。


「どうしたの?急に汗をかいて」

「いや、その・・・」

「ひょっとしたら嘘をついていたんですか?」

「はあ」


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