↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/12

○第二話 「日本での活動」

同じ名前でXを始めてみました。

第二話

「日本での活動」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


異世界の迷宮都市ラグナで活躍する千騎一行であるが、日本ではただの日本人高校生である。


ただし、全て普通の日本人高校生とは言い難かった。



*********

*********

●第一世界●

●日本●

●海岸展望台●



2人と解散した千騎はその足で海を見渡せる展望台に来ていた。すでに夜の闇に包まれた展望台は、千騎の持つ電気ランタンが無ければ何も見えないくらいには暗い。



「ーーー千坊。元気そうやな」



そこに現れたのは、懐中電灯を照らすスーツの男を連れたこれまたスーツの中年の男。千坊と呼ぶその様子からも千騎との関係は悪くないと思える態度である。



「ええ、今回も無事に戻れましたよ」

「商売相手がいなくなって困るのはワシやからな。それに何より千坊はワシの甥っ子やけ。怪我でもされたら大事やで」



中年の男がガハハと笑う。



「んで、今回の仕入れはどない感じや?」

「これになります」

「おい、光」

「はっ‼︎」



千騎から巾着を受け取った中年の男が、後ろに控えさせていた男の懐中電灯で巾着の中身…宝石を確認する。



「相変わらずの高品質やな。これなら裏のルートでも十分にいい金になるがな」

「対価は期待しても?」

「もちろんやで。いつも通りパーセンテージにはなるが、それなりの金は渡せると思うで」



中年の男が巾着を懐にしまい、その代わりに封筒をいくつか取り出す。



「前回の分の現金や。1頭30万にはなったで」

「渋いですね」

「無茶言うなや。こっちだって甥っ子の頼みやから非合法ルートで売ってるんやで?多少の安さは諦めんと」

「まあ、無茶を言ってるのはわかってますし、叔父さんには無理をしてもらってるのは分かってます。今回分に期待しましょう」



そう、この中年の男は今は亡き千騎の父親の弟であり、非合法な家業をしている人間であった。



「全くもって、千坊も手強くなってきたで…っと、紹介し忘れとった。こいつはうちの組の若頭で【 右京(うきょう)】や」

「右京と申します」

「これはどうも」



背後で控えていた男が千騎に頭を下げる。それに対して千騎も頭を下げる。



「どうせ、しばらくはこの取引続けるんやろ?ワシも毎回暇なわけじゃないからな。ワシが来れない時は右京に任せるで商品渡してやってや」

「それはそうですね。しかし…」

「安心してかまわんで。こいつが受け取りに来る時は、こいつにもワシの儲け分から分前を渡すことになっとる。利益がある以上は裏切らん」

「…分かりました。よろしくお願いします」

「ええ」



右京と千騎が握手を交わすと、千騎の叔父は両手をパン!と鳴らす。



「さて、愛しい甥っ子の顔も見れたし、ワシらは帰るで。千坊はどうする?」

「金も入ったので今日はカラオケにでも行こうかと。どうせ帰ったところでですし」

「あー、千坊のかあちゃんは相変わらずか」

「ええ…まあ、虐待されないだけマシと言うやつです」

「ワシがヤクザやなきゃ、間違いなく引き取ったんやがなぁ」



千騎の家での立場は半ば放置子に近い。千騎の母親はあまり千騎に興味を示さず、居れば邪魔そうに見るだけだ。ここ最近は会話した記憶すらなかった。



「ワシと兄貴の両親ももうおらん。もしも独立するなら金は出すで?」

「何度か言ってますが、そこまで頼れませんよ。それに金を稼ぐ手段はあるのですから」



千騎はゆっくりと歩き始める。



「今後とも良い取引を…<天草組>組長【天草(あまくさ) 轟(とどろき)】殿」



その瞬間。千騎の身体が夜の闇の中に溶けて消える。



「…あれが、組長の甥っ子さんですか?」

「そうやで?そしてどこからともなく宝石を仕入れてくる凄腕の手配人やで」



轟が巾着から1つ取り出したルビーを見る。



「他の組でも、組長が宝石の密売で莫大な利益を上げてると噂になってますが…」

「まあ、最初は珍しいく甥っ子が頼んできたから張り切ってやったんやが。予想を遥かに超えるものを持ってこられたさかい、取引を続けてるわけや」

「なるほど。確かに宝石もぱっと見相当な高品質。これならば裏ルートでそれなりの金額になりますね」

「流石ワシの甥っ子やで」



轟がニヤリと笑いその場を立ち去る。



「ーーーしばらくはこの蜜月関係を続けたいもんやで」



*********

*********

●同時刻●

●ラグナ●

●冒険者ギルド●



冒険者ギルドにある会議室。そこでギルド長と副ギルド長が話し合っていた。



「ーーー<太陽の民>か。少々危なっかしいな」



そう呟くのはギルド長の【クラナ・ゴドウィン】。その手には<太陽の民>の記録が握られている。



「冒険者ランクは駆け出しを抜け下級冒険者である4。クランランクも2になりました。才能はあるのでしょうが…」

「ちと性急だな」



副ギルド長【ネイ・ヒンピンス】の言葉に、クラナは答える。



「到達階層は地下10階。しかも10階層主の強力なモンスターも討伐成功。4から5にランクアップしてもおかしくない功績だ。これがわずか3ヶ月じゃなきゃ、褒めちぎれるんだがなぁ」

「職員からの報告によれば、飲みの席など他の冒険者との交流はほぼ無いようです」

「それもいかんな。低ランク冒険者は多くの交流で知識を得て経験を学ぶ」

「まあ、彼らは異民族ですので、周囲の冒険者達も話しかけづらいのかと」



<太陽の民>はこの周囲の人種とは違う人種だ。【白色ヒューマン】(地球での白人)が主流のラグナでは多少なりとも浮く存在でもある。



「いっそのことどこかのクランに頼むか?例の魔法に興味が湧くクランもあるだろうし」

「危険では?1人でも引き抜きがあれば<太陽の民>は」

「その時はその時だ。それに全員が高位の魔法を使えるなら、クランが崩壊しても移動先はあるだろう。最悪我々が紹介してやればいいさ」

「まあ、仲良しこよしで冒険者稼業はこなせませんからね。しかし、彼らとアルターエゴ商会の塩の取引もあります」

「塩か」



クラナは眉を顰める。


ラグナにおいて塩の供給は重要な課題である。内陸の内陸、山岳地帯にあるラグナでの潮の供給はラグナの住人達にとって死活問題であった。それは冒険者ギルドも同じである。



「しかし、そんな莫大な量の塩をどこから仕入れてるんだ?」

「さあ?私も確認してみましたが岩塩ではなさそうでしたよ」

「ちっ、まあ供給されてるだけよしとするか」



話題がそれ始める。



「そういえば、<太陽の民>は迷宮で得た素材をほぼ持ち帰っているようだが」

「アルターエゴ商会に売っている様子ですよ。塩のついでだとは思いますが」

「冒険者が直接商会に素材を売りつけても買い叩かれる。だから我々冒険者ギルドが買い取り、まとめて交渉を行う。冒険者の中じゃあ常識ではあるが、知ってるかどうかって話になるな」



冒険者は実力がなくては務まらない。しかしそれは逆を言ってしまえば、実力さえあればどんな人間であろうと大成できてしまう。たとえ数字等の計算どころか文字が書けなくてもである。


そして、そういう人間が商会に素材を持ち込んでも、商人達に買い叩かれるのが常であった。



「まあ、アルターエゴ商会は常識的商会と聞きます。ツテを得た以上はそれなりの取引をしているのでしょう」

「だといいがな」



クラナは少し考え込む。しかし、ネイが新たな情報を突っ込む。



「そういえば、<太陽の民>は宝石に目がないようですよ?」

「あ?宝石?確かに見た目は綺麗だが、あんなもん貴族様の道楽だろ」

「ラグナの宝石は高品質として知られてますから、もしかしたら塩の産出地で売ったりしてるんじゃないですか?」

「ふむ」



この予想は当たりであった。ただし貴族相手ではないし、合法ではないという点がつくが。



「やっぱり内情を探る意味でも、どこかのクランと合同任務をさせた方がいいな」

「とすると、連合侵攻ですか?」

「それしかないだろうよ」



ーーー連合侵攻。それは新鋭の複数クランと熟練のギルド直属クランで迷宮侵攻を行うことである。


目的は大人数によるモンスターの間引き、そして新鋭クランの教育。そして何より新たに頭角を表してきたクランの内情調査である。



「とはいえ、10階層では少々なぉ」

「15は行きたいところですが…」



迷宮は10階層までは初心者の階層であり、間引きが必要ない程度には冒険者達の狩場となっている。


つまり、間引きが必要なのは中級者向けの階層なのだ。



「まあ、3ヶ月でこれだ。次の侵攻の時にはその先まで進むだろう」

「11階層から上の階層とはまるで違いますが…」

「宝石好きなら13階層まで行くだろうよ」

「ああ、ルビーがモンスターからも迷宮からも獲れる階層ですか。確かに行きそうではありますね」



2人が頷く。



「来月の末にでも指名依頼を出すとしよう。同行するのはどこがいいと思う?」

「<戦うシスターズ>の新人チームと<雷の旅団>の下位チームがいけるかと」

「<戦うシスターズ>…あの暴力シスター共か。あいつら本当にシスターなのか?本当に神官なのか?」

「教会公認ですから」

「うぅむ」



クラナは少し考え込む。



「…まあいい。<雷の旅団>はともかくとして<戦うシスターズ>の新人達は確認しておきたかったし丁度いい」

「ではそのように」



こうして、千騎達に指名依頼という名前の査察が入ることとなったのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エンド

最後までお読みいただきありがとうございました‼︎

ブックマークや感想をいただけると、とても励みになります。

次回も是非よろしくお願いします‼︎

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。