○第一話 「高校生達の異世界冒険」
新作投稿になります。
ある程度書き溜めができたので投稿します。
ハーメルンでも投稿予定です。
第一話
「高校生達の異世界冒険」
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ーーー【スキルガチャボール】。
それは、とある神が、戯れに創造せし秘宝。神は戯れに、それを多重世界へとばら撒いた。
あぁ、私を楽しませておくれ、と。
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●第二世界●
●迷宮都市:【ラグナ】●
●冒険者ギルド●
迷宮都市というのはこの世界特有の都市である。放置すればモンスターを吐き出し被害を与える迷宮。しかし、きちんと管理すれば多くの利益をもたらす。
迷宮都市とは迷宮から得られる利益を元に発展した都市である。迷宮あるところに迷宮都市があり。それがこの世界における迷宮都市である。
「ーーー冒険者クラン<太陽の民>の皆様ですね?」
迷宮都市ラグナの冒険者ギルドにおいて、女ギルド職員が3人の冒険者に声をかける。
「…確かに、自分達はクラン<太陽の民>ですが。貴方は?」
代表者のまだまだ若い青年が女職員に応える。その他のクランメンバーと思われる2人の青年達はそれを見守っている。
「私はギルド職員の【エマニエ・ニュラー】と申します。実は3ヶ月ほど仕事でギルドを不在にしておりまして」
「ああ、見たことない職員さんとは思ってましたが、そういうことでしたか」
青年が納得の表情を浮かべる。
「ええ、それでちょうど入れ違いで結成された冒険者クランが、大活躍してると聞きまして。是非顔合わせをと思った次第です」
「だ、大活躍ですか?そこまで大したことはしてないのですがね」
青年は謙遜をする。しかし、彼らの活躍はエマニエには筒抜けであった。
「いえいえ。結成3ヶ月で構成員全員の冒険者ランクが最低の1から4までランクアップ。しかも、迷宮の地下10階まで侵攻できている。これを大活躍してないとは言えませんよ」
「そ、そうですか?」
青年が照れくさそうにしている。
「あ、すみません。自己紹介がまだでしたね」
「なら俺からするか…俺は【久遠 義景】っす。冒険者ギルドの定める役割だとタンク…盾役っす。今後ともよろしく頼みますわ」
「よろしくお願いします」
義景とエマニエは握手を交わす。義景は180センチを超える大男であり、重装備の鎧は名乗り通りの盾役である証拠であった。
「じ、自分は【相良 真一】です。こ、攻撃担当です」
そう言った真一は己の槍を見せる。その瞬間に彼のかけた眼鏡がずれたため、彼はそれを直す。
「そしてリーダーを務めてます【千羽 千騎】。索敵及び義景のサポートをしながらの攻撃役です」
腰に多くのナイフを備えた千騎が最後の自己紹介を終える。
「以上が冒険者クラン<太陽の民>のメンバーです。といってもクランランク1の弱小クランの上、僅か3人のクランですが」
「その件ですが…」
エマニエが手荷物から書類とメダルを取り出す。そしてそれらを千騎に手渡す。
「この度正式にギルド会議でクランランクのランクアップが決定されました。今後<太陽の民>はクランランク2のクランとなります」
「はぁ、そうですか」
千騎は興味なさそうに受け取る。
「噂通りですね。冒険者ランクやクランランクに興味がないという話」
「全くないというわけではないですが…我々の主目標はそこにありませんから」
千騎は笑みを浮かべたまま応える。
「さて、それでは我々はこれで」
「本日はお帰りになられるので?」
「ええ、迷宮でそれなりの収入は得られましたので」
千騎達はエマニエを置いて、そのままギルドの建物を出ていく。
「あれが新たな系統を使う異民族の魔法使い」
「ーーーあ、エマ‼︎」
「【アンナ・マリー】」
そこにいたのはエマニエと同じくギルドの女職員であるアンナであった。
「どうしたの?」
「クラン<太陽の民>と顔合わせとクランのランクアップを伝えてきたのよ」
「あー、妙な連中だからねぇ」
うーんとアンナが考え込む。
「普通なら迷宮で手に入れた素材とか資源はギルドに売るのに、保存が難しいもの以外は持ち帰ってるみたいだし。なによりランクアップ早すぎ」
「それに3人共新たな魔法系統でしょ?」
魔法が存在するこの世界においても、魔法を使えるというのは珍しい部類だ。例えるならば、冒険者30人に1人2人使えるかどうか。その中で実力ある魔法使いはさらに希少だ。彼ら彼女らが使う魔法は大きく分けて、火、水、風、土、光、闇の6属性であり、その中に適性のある属性の魔法を使用する。高位の魔法使いほど使える属性が増える。
しかし、<太陽の民>の冒険者達は全員が高位の魔法使いレベルの魔法属性適正を保有し、既存の魔法以外の新系統の魔法を使用可能だ。明らかに新人レベルの人材ではない。
「まだギルドの中だけで他の冒険者達には伝わってないけど…大手はどこかで聞きつけるかもね」
「でも、なんでしょ?」
「うん。固定メンバーみたいなんだよね」
クランには2種類のクランが存在する。片方は大手クランなどの企業型ともいうべきクラン。そしてもう片方が固定クランと呼ばれる、身内だけのクラン。
<太陽の民>は間違いなく固定クラン側であった。
「しかも、相当排他的みたいね」
通常、冒険者達はクラン外の冒険者とも酒を飲み交わし、情報の交換やら交渉を行う。そのため意外にもフレンドリーな冒険者は多い。
しかし、<太陽の民>は違う。初対面の相手には警戒の色を隠しもせず。勧誘どころか酒の誘いすら乗らない。
最低でもこのラグナにはいないタイプの、そして非友好的な冒険者である。救いなのは上下関係はしっかりとわきまえているところくらいだろうか?
「今後次第ね」
「あ、そういえば…<太陽の民>の関係で聞いた噂なんだけど、<アルターエゴ商会>と取引してるんだって。この前なんて相当量の塩を納品してたって」
「塩?というかアルターエゴってここら辺でも大手の商会じゃない」
<アルターエゴ商会>。数多の国にまたがり商売を行う多国籍商会であり、ラグナを領有する小国では頭が上がらないような大手商会である。
「そういえば、見たことないくらい純度の高い塩が売られてたけど…」
「その塩のおかげか、随分と塩の値段が下がったから助かるけどね♪」
「まあ、ここは内陸も内陸。山に囲まれた山岳地帯だからね。塩は高くもなる」
岩塩の産出地帯でも見つけたのかしら?と呟きつつ、エマニエは仕事に戻る。
「ーーー彼らの主目的って何かしらね?」
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●第一世界●
●日本●
●とある森の中●
ーーーパシン‼︎
襖が閉まる音が森の中に響く。
「さて、今回も大量だな」
武装を解いて私服姿になった千騎が、義景と真一にニヤリと笑みを浮かべる。
「塩は金貨100枚。迷宮の収入が金貨5枚。物価の違いやらなんやらあるが、だいたい日本円で…」
「ひ、105万の儲けだね。1日の儲けとしてはすごいよ」
「つっても、その通貨が使えるのはあの世界だけなんだけどな」
千騎は肩をすくめる。2人もクスクスと笑みをこぼす。
「素材はいつも通り保管するとして、金貨100枚を使って買った物を現金化しないとな」
「これが一番手間ではあるんだよなぁ」
「え、えっと、今回買ったのは何だっけ?」
真一が手荷物を漁る。
「あー、確か宝石の…エメラルドとルビーだったか?向こうだと日本ほど高くなかったからそれなりに買ったはずだが」
「む、向こうだとダンジョンの中で取れるし、な、何なら素材として落とすモンスターもいるしね」
巾着の中にはそれなりの量の宝石が入っていた。おまけに千騎達には分からないが、その全てがそれなりの質を保っている良質な宝石だった。
ラグナでは宝石の類は価値はあるがそれほど珍しくない。近くで産出している鉱山もあるし、何よりも倒すと宝石を落とすモンスターがいるためである。
なお、日本で正規の取引できれば、巾着の中身全てで億の現金との取引すら可能であった。
「きちんとしたルートで売れれば、俺らも億万長者なのに」
「仕方ないだろ。ラグナだったらともかくとして、この日本じゃあ俺ら未成年なんだから。下手に取引して親に連絡なんて事態は困る」
「そ、それじゃあ、千騎君。ま、任せてもいい?」
「おう」
巾着を真一から受け取った千騎は、投げ渡されたそれをリュックサックに乱雑に突っ込む。
「おいおい無くすなよ?」
「当たり前だろ。俺たちの軍資金だぞ?」
千騎がリュックサックを背負う。
「それじゃ解散にするか?」
「そうだな」
3人はその場で解散して帰宅する。
「そういえば、もう3ヶ月なのか。俺達が異世界に行けるようになって」
ーーー神の玩具であるスキルガチャボール。それは千騎に力を与えた。
それは異世界に行くことのできる≪異世界門≫と呼ばれる能力。世界と世界を繋ぐ道を作る力。
「ラグナでしばらく力と資金を貯めた後は、次の世界に行くかな?」
千騎と義景と真一は異世界を旅行する旅行者でもあった。
「いい世界があれば移住するのもありだな」
千騎は暗くなった街の中に姿を消すのであった。
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エンド
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