表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI時代の皇帝劇場-会議室に棲むハレムの狂騒  作者: キジ猫大魔神


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/10

第二部「皇帝はダッシュボードを覗き込む」・第一話「カスタマイズされた古参側近を見る皇帝」

古参の側近を見るとき、私は少しだけ肩の力を抜くことを自分に許している。

 彼が会議室の空調と照明と椅子の角度を整えている間、私はまだデスクにいて、モニター越しに数字の色を眺めている。会議の三十分前から始まる彼の儀式を、直接見ることは滅多にない。


 だが、会議室に入った瞬間の空気で、今日は彼がどこまで「整えたか」が分かる。

 寒すぎもしない、暑すぎもしない、誰の声も浮き上がらない温度。

 あれは、AIにはまだ再現できない仕事だと、私は勝手に評価している。


 彼のことを、家族のようだと感じる瞬間がある。

 弱みを見せていい相手、という意味で。数字が思うように伸びなかったとき、私は真っ先に彼に向かって「何がいけなかった?」と聞いてしまう。

 彼はいつも、「いけなかった」とは言わない。「次に陛下がうなずきやすい形は、こうかもしれません」と、答えの形をすでに整えて持ってくる。


 その老獪さに、私は何度も助けられてきた。

 同時に、「この人は、私のことをどこまで一人の人間として見ているのだろう」と、ふと我に返る瞬間もある。

 彼にとって私は、皇帝である前に、「うなずきやすいかどうか」を測られる対象なのかもしれない。


 AIのダッシュボードが赤を示したとき、私は彼の顔色を探る。

 彼は私の表情を先に探っている。

 その視線の交差点に、本当の意味での「経営判断」があるのかどうか、私にはまだよく分からない。


 ただ一つ確かなのは、彼がいなくなった後の会議室を、私はまだ想像できていないということだ。

 それは、彼を一人の人間として信頼しているからなのか、あるいは、自分の老獪さを支えてくれる装置として依存しているだけなのか。

 その違いもまた、AIには区別がつきにくいだろうと、自分で自分に言い訳している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ