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今日も今日とて、隣のコイツが腹を空かせて。皆を困らせています!!   作者: 土竜交趾
~ 第一部最終章 ~ 新たなる時を刻み始める世界
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第三話 集う傑物達 その二

お疲れ様です。


後半部分の投稿になります。




「おいテスラ!! 机に齧り付いてばかりいるんじゃなくて体も鍛えろといつも言っているだろう!?」


「ネイトさん。適材適所と言われている様に僕は僕自身に出来る事をしているのですよ」


「おい、グシフォス。貴様……。この釣り竿は一体何だ」


「あぁ……。適当に荷物を詰めていたらいつの間にか紛れ込んでいた様だな」


「嘘を付け嘘を!! 俺は貴様の釣りには絶対に付き合わんぞ!? 貴様の釣れない釣りは永遠に終わる気配を見せないからなっ!!!!」


 超越者達の明るい会話に耳を傾け朗らかな気持ちを胸に抱きながら眺めて居ると此方から随分と離れた地上に太陽の光量を容易く越える閃光を放つ魔法陣が浮かび上がった。




「――――。相変わらず辛気臭い場所ね」


「お、お、お疲れ様です!! ミルフレアさん!!」


 軽い駆け足で光の中から現れたミルフレアさんと付き添いの女性に対して深く頭を下げた。



「あらっ、お久し振りね。御機嫌如何かしら??」


 ミルフレアさんが紫色の長髪を軽くかき上げて思わず背筋がゾクっとする視線を此方に向ける。


「御蔭様で元気に毎日を過ごせていますよ。隣の女性はえっと……」


「ライネだ。ミルフレア様の側近として今日は帯同した」



 ライネさんね。確か、ミルフレアさんの里で大暴れした時、マイと会敵した方だったな。


 オレンジ色の髪が太陽の光を受け取ると見ている者の視線を独占してしまう様に美しく光り輝く。


 背はミルフレアさんと同じ位で体に積載した筋力は女王の側近の者として誰しもが太鼓判を押す程であろう。


 纏う空気の重さ、鋭い眼光。


 側近足る者が身に着けなければならないものは全て装備しており女王の暗殺を企てる者が居れば恐らく彼女をどうやって無効化すべきかを考えざるを得ないであろう。


 武に携わる者であるのにも関わらずその御顔は端整そのもの。


 見に纏う圧を解除して街中を歩けばきっと男性達の視線を集める事だろうさ。



「そうなのですか。態々御足労して頂き有難う御座います。ミルフレアさん達の天幕はあちらで、訓練場の中央には後で食事やお茶の御用意をさせて頂きます。師匠達が間も無く平屋から現れますので大魔会議まで今暫くお待ち下さい」



 これからの予定をざっと説明し終えると改めてミルフレアさんと対面する。


 頭上から降り注ぐ太陽の光を吸収した紫色の髪は煌びやかに輝き顔の中央をスっと流れる整った鼻筋と端整な顔立ちは世の男性を魅了する力を備えている。


 記憶の勾玉で見た少女の面影は完全に消失しており、今俺の目の前に立っているのは酸いも甘いも嚙み分ける立派な大人の女性だ。



「態々ど――も。所で、お腹の傷口はどうかしら??」


「御蔭様で完治しましたよ」


「それは良かった。それと……、御免なさいね。手違いとは言え貴方を傷付けてしまって」


 あ、あらら?? 突然どうしたのかしら。


 ラミアの里で激戦を繰り広げた時とは真逆の優しさを受け取ると得も言われぬ感情が湧いてしまう。


「あのね?? 私は鬼でも悪魔でも無くて優しい心を持った普通の女性なのよ?? そう身構えないの」


 俺の心を見透かしたミルフレアさんが困った様な、嬉しい様な複雑な表情を浮かべた。


「す、すいません」


「分かってくれればいいのよ。ね?? この下らない会議が終わったのならうちの里に来なさいよ。里の者総出で貴方を迎えるわよ??」


「い、いえ。自分にはやるべき事が山積しておりますので、嬉しいお誘いですが丁寧に御断りさせて頂きます」


「レイド、といったか。ミルフレア様は男性の役目を果たせと仰っているのだ。それを断るのは一人の男として情けないとは思わないか??」


 お願いします、どうかその手の類の御話はそこでお止め下さいませ。


 これ以上淫靡な方向に話しが傾いてしまいますと……。



「ガルルゥゥ……」


 こっちに聞き耳を立てている覇王様の娘さんが襲い掛かって来る蓋然性があるのですよ。



 天幕の設置作業を一時中断させて、整った鼻筋に物凄く恐ろしい皺を立てて嘯く声を放つ彼女に対して戦々恐々の想いを抱いていると平屋の戸に動きが見えた。



「うむっ、揃っておるな。これから会議を始める。各族長と補佐役は平屋に集まれ」


 師匠がいつもより更に険しい顔のまま訓練場に続く階段の頂上に足を置くと方々に散らばる彼等に対して召集命令を下す。


「貴様に命令される覚えは無い」


「あら、あなた。じゃあ私が命令すれば良かったのかしら??」


 腕を組んでそっぽを向くグシフォスさんに対して師匠の後ろからフィロさんが睨みを利かせる。


「ふ、ふんっ。時間が惜しい。それでは行くとするか」


 あ、あはは……。龍一族を統べる覇王様も奥様には頭が上がらない御様子ですね。


 この広い世界の縮図を垣間見た気がしましたよ。


「よぉし!! 世界の命運を別つ作戦の会議を聞くとするか!!」


「ボーさん、もう少し声量を落としたらどうでしょうか?? 此処に居るのは僕達だけじゃないのですから」


「わはは!! 俺は気にせん!! さぁ行くぞ!! フェリス!!」


「私もテスラさんの言葉に賛成します。あなたはもう少し慎ましい行動を覚えるべきですよ??」



 続々と平屋の戸を潜って行く傑物達の背を見送っていると隣から少しだけ疲労を籠めたミルフレアさんの声が届いた。


「さてと、それじゃあ私も行かなきゃね」


「えっと……。師匠達から昔にあったミルフレアさんとの軋轢の経緯を伺いました。今日はどうして此方に足を運んで頂けたのでしょうか??」


「本当は足を運ぶつもりは無かったんだけど……。これから始まるのは昔のケジメ、だからね」


 彼女がそう話すと寂し気な様子で地面を見下ろした。


 そうか、俺の母親はミルフレアさんにとって大切な恩師だったのだ。


 自分が居ない所で恩師、いいや。恩人との最後の別れを済ますのは憚れるという訳なんだな。


「有難う御座います。師匠達もきっと喜んでいますよ」


「それは無いわ。アイツ等とはもう既に縁を切っているのよ??」




「縁は切れても…………。絆は切れていないと思います」


「ッ」


 俺の言葉をミルフレアさんが受け取るとハッとした表情を浮かべて此方の目を直視した。




 そう、例え家族の縁は切れたとしても分けた血は切っても切れない様に師匠達との間で築き上げられた絆は何があっても決して断ち切れないのだ。


 そしてその太く堅牢な絆が再び両者の間に縁を結ぶ。


 俺はいつかそうなると考えているんだよね……。



「ほんの少し前まで赤子だったのに……。嫌ねぇ、私も年を取ったのかしら」


 ミルフレアさんがふっと嬉しそうな笑みを浮かべて此方を見つめる。


「魔物の寿命は約千年続くと言われています。ミルフレアさん達は残り約七百年生を謳歌出来ますのでまだまだ若輩者にあたる御年齢ですよ」


「こらっ、女の年をいじるんじゃないの」


「あいたっ」


 彼女が可愛らしい拳を作ると俺の頭をポカンと叩く。


「でも有難うね。御蔭様で腰を入れて会議に参加出来そうよ」


「それは何よりです。それと早く向かった方が宜しいですよ??」


 さもないと……。


「こらぁぁああ――!! ミル――――!!!! 早く来――――いっ!!!!」


 平屋の前で大声を出して召集命令を叫んでいるフィロさんに叱られてしまいますので。


「うるさっ。アイツの声は本当に昔から変わらないんだから」


 はは、ご愁傷様です。


「それじゃ行って来るわ。ライネ、行くわよ」


「畏まりました」


「蛇は大昔から嘘つきで嫌われ者……、か。全く。前途多難過ぎて今から足が重いわよ」


「そう仰らずに。何かあれば作戦の不参加の決定を下せば良いのですから」


 俺に軽く右手を上げて軽い挨拶を済ませてからフィロさんの下へ歩んで行くミルフレアさんの姿を見送ると少しだけ強張った双肩の力を抜いた。


 これから始まる会議は俺の母親を殺す為のモノ。


 無意識の内にそれが体全体を重くしていたのだろうさ。


 それと我が強過ぎる師匠達とグシフォスさん達との衝突の危惧もそれに一役買っていると判断出来る。



 このまま何事も無く会議が進めばいいんだけどね……。


 危惧が杞憂に変わる事を願っていたのだが、それは早くも総崩れとなってしまった。



「グシフォス!! こっちに来い!!」


「俺は此処に座ると決めたのだから貴様がこっちに来るべきだ」


「うっわ、うるさ。あんたの馬鹿みたいに大きな声は頭に響くからもう少し静かにしなさいよね」


「エルザード!! 貴様ぁ……。我等ミノタウロス一族を愚弄する気か!?」


「愚弄って言葉本当に理解している?? あっ、そっかぁ!! あんたの頭の中は筋肉まで出来ているから難しい言葉は覚えられなかったのよねぇ――」


「こ、こ、この腐れ淫魔めが!! 俺の力をそのふざけた体に……」


「あなた?? 今のはエルザードさんが正しいですよ。間も無く会議が始まるのですから静かにして下さいっ」


「何ぃ!? お前はアイツの味方をするのか!?」


「キャハハ!! だっさ――。奥さんに馬鹿にされてやんのぉ――」


「こ、こ、このぉぉおお……」


「じゃかましいぞ!! 貴様等ぁぁああ――――!! 静かにせいと言っておるじゃろうがぁぁああ――――――ッ!!!!」



 師匠、お疲れ様です。


 心労祟って倒れない様、気を確かに持って下さいね??



 平屋程度の木造建築物では決して収まりきらない大き過ぎる喧噪と力の圧が俺の頭の中に心配という名の花を咲かせてしまった。


 出来る事なら仲裁に一役買いたいけれども、此方もやるべき事が山積していますので何卒穏便に事を進めますように強く願います。


「レイドさ――ん!! しちゅう――を持って来て下さぁ――い!!」


「あ、分かりました――ッ!!」


 アレクシアさんの可愛い叫び声を背に受けると一時中断させていた作業を開始。


「ふぅっ、こりゃまだまだ時間が掛かりそうだぞ」


 訓練場の中央に置かれている資材一式を右肩に担ぐと己に与えられた任務を達成させる為に再び労働の汗を流し始めたのだった。



お疲れ様でした。


相も変わらず花粉症に悩まされている日々を送っております。その所為か、中々筆が進まなくて苦労しているんですよ……。


そんな事は知らないね、と。大変手厳しい表情を浮かべている読者様の声が聞こえて来たのでプロット執筆に戻りますね。


話しは変わりますが今から約九時間後にWBCの日本の準々決勝が始まります!!


試合開始時間に合わせて起床してワクワクドキドキしながら観戦しようと考えていますね。果たして準決勝進出となるのか……。日本代表の力を遺憾なく発揮して勝利を掴み取って欲しいですね!!



それでは引き続き良い週末をお過ごし下さいませ。

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