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Brotherhood  作者: yuri
その日何かが起きた
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2/6

最初の事件

星空文庫での第一章続きです。


二話という感じではないかもしれませんが、

ご了承ください。



俺達が通っている高校で、最初の事件は起きた。


その時俺は2時間目の科学が終わり、教室で休んでいた。

雨で濡れてる校庭側の窓をふと覗いた俺は、驚いて言葉を失った。


「(あの女子……なんだって土砂降りの校庭に突っ立ってるんだ?おまけに、知らない制服を着てる!)」


明らかにおかしい状況なのに、クラスの仲間は騒ぐ様子もないし窓の外を見ても特に驚いた様子は無かった。

もしかして、あいつが見えてるのは俺だけなのか!?そうだ、竜崎なら見えるかもしれない。

何の根拠があるわけじゃなかったけど、俺は竜崎を呼んできて、あいつが見えるか聞いてみる事にした。

竜崎は、窓の外を見ると不思議そうに言った。


「うーん……俺は何にも見えないけどなあ。」

「(じゃあ、本当にあいつが見えてるのは俺だけ!?)」


俺はそれを聞いて挙動不審になった。窓から見えるあいつは、ただ不気味だった。

そんな俺の様子を見て竜崎が笑い出す。


「あははっ!お前、どんだけ不安なんだよ。大丈夫だよ、俺にも見えてるぜ?」

「へっ!?そうなのか?……ってお前、嘘ついたな!?」


竜崎にからかわれた仕返しをしていると、ふと気づいた。

ついさっきの俺みたいな顔をして、窓の外を見ている奴が居たんだ。

それは、クラスメートの大西美香だった。ミディアムで茶色い髪をしていて、前髪を右に分けている。

大西は性格も良くて、クラスでは人気があった。

しばらく窓の外を見ていた大西は、まるであいつが居るのに納得したみたいに窓から離れていった。


「(な、何今の対応!?あいつが居る事に、納得してたけど?)」


さらに驚く俺を見て、竜崎はどうしたんだ?という顔をして首をかしげていた。

あの大西の対応は一体……?俺は自分で推測して答えを出すしかなかった。

今の所あいつに気づいてるのは、多分3人。取り敢えず、竜崎と協力してあいつの正体を確かめよう。

俺はそう考えていた。(まあ、竜崎が頼りになるかは別だな。)

今日は火曜日で、部活も無いから放課後が使える。竜崎も同じ部活だから、決まりだな。


そう考えながら、過ごしているうちに3時間目が始まった。俺は、授業中ノートを取りつつ何となくぼーっとしていた。

あの幽霊?のことが気になっていて、授業に集中出来なかった。

あの制服は、どこの学校の物なのか?何処かで見たような……。まあ、考えても仕方がないか。

しばらく制服について考えていて、ふと竜崎を見てみる。勿論、後ろを振り向くと怒られるから、俺は窓の反射越しに竜崎を見た。

以外だったのは、竜崎が寝ていなかったことだ。見たところ、落ち着かない様子で考え事をしているみたいだ。

授業時間=睡眠時間なあの竜崎が、考え事をしてる。


確かに、この状況は異常だ。(いろんな意味で。)


こうもいつもと違う事ばっかり起こってると、何か嫌な事が起きそうで落ち着かなくなってきて、俺も竜崎みたいな状況になっていった。


そして3時間目終わりの休み時間、俺は竜崎と放課後の予定を立てることにした。

勿論、あいつについて調べるのは変わらないから、問題はその方法だった。


「竜崎、なんかいい方法ねぇかな?」

「うー、いい方法ねぇ……ない訳じゃ無いんだけど。」

「えっ!?方法があるのか?」


さっき見た時の考えてそうな顔は、嘘じゃなかった。けど竜崎が言った方法は、この学校の怪談を調べることだった。


「な、なんだよ~。そんな顔すんなよ(汗)……幽霊だったら、怪談とか学校の歴史とか調べるしかないじゃんか!?」

「確かにそうだけど、けどよ……」

「うん?」

「か、怪談って……子どもっぽいぜ。」

「うっ!……ま、まぁしょうがないじゃんか。他に方法もないんだからよ~。」


これはもう仕方ないか。確かに他に方法はなさそうだ。

放課後は、怪談から都市伝説そして歴史に至るまで、徹底的に調べてみよう。

……こんな子どもっぽいことをする以上、俺はもう開き直ってしまおうと思う。


やがて、校内放送で音楽も流れ昼休みに入った。

竜崎や他の友達が集まってる辺りに行って、弁当を開けた時だった。


「……これは?」


俺はそいつを箸でつかんで、冷めた目で見つめた。するとそれを見た竜崎が……。


「ぷっ……クスクスクスッ。アハハハハハハ!!……お、お前、た……タコさんウィンナーってなんだよ(笑)」

「わ、笑いすぎだ!俺自分で入れてねえよ……。」


もうダメだ、こうなったら竜崎が笑い終わるのを待つしかない。

今日は俺の姉が珍しく弁当を用意してくれたから、支度もかなり楽だった。けど、今思えばあのいたずら大好きな姉をなんで信頼したのか、不思議でしょうがない。


「マリ姉にやられたのか(笑)?」

「……だな。(あの悪魔め!)」


そして、俺から黒いオーラが出始めたのに竜崎が気づく。きっと、その時の俺は相当怖かったんだろう。


「お、おい輝。(出てる、黒いオーラ出てるから!)」

「ブツブツ……(あいつ……殺す)」

「お、落ち着け!許してやれよ、マリ姉はいたずら好きなの昔からだろ?」


なんとか竜崎のお陰で落ち着いてきたものの、やはり弁当の御菜を食べていると腹が立ってくる。そんな俺を気にして、他の友達が声をかけてくれた。


「輝、弁当美味いか?」

「ハ、ハハハ……。まあ、美味いよ。うん……。」

「あ、お前唐揚げじゃん!俺なんか冷凍チャーハンonlyだぜ?。」


この時、声をかけてくれた田辺(本名 正利。通称はマサ。)や佐々木(本名 信之。想像通りのあだ名はノブ)には悪いけど正直恥ずかしくてしょうがない俺には、むしろ逆効果だった。(あの(御菜)存在を広めたくなかった……。)


結局散々な昼休みを過ごした俺は、休んだ感じがしないまま5時間目に入っていく羽目になった。


その後5、6時間目の授業を受けているうちに、あの土砂降りだった雨も収まってきていた。


--そしていよいよ放課後がやって来た。


放課後、俺と竜崎は校内の廊下を図書館に向かって歩いていた。

図書館に行くのは、この学校の歴史を調べる為だ。司書さんに本の場所を聞くと、俺たちは本校の歩みという本を見つけて、早速調べ出した。


「1985年…○○高校誕生。初代校長 中島尚」

「本校の教育精神は、教養豊かに………」

※同じような文章が続く。


俺はページを飛ばして読んだけど、なかなか目当てのページへ辿り着けなかった。

校歌のページに差し掛かって写真を見てみると、校歌を歌ってるのは第一期生だった。そして、その伴奏をしているのはあいつだった。


「おい、竜崎これ……この伴奏者!」

「どれどれ?……って、マジかよ!?」


伴奏者が幽霊?けど、学校に通ってた85年に16歳。まだ亡くなっていない可能性の方が高い。

本当に幽霊なのか?そうだ、あの制服……!

そして俺は、まさかと思いつつ一期生の制服を確認した。見てみると、あの時の制服とは一致してなくて、俺はほっとした。

逆に一致したのは一つ前の制服で、俺達の知らない制服だった。


その後も本を読んでいったものの、学校についてその本で調べられたのはそこまでだった。

調べ終わった本を閉じた丁度その時、後ろから急に声をかけられた。


「君達、珍しい本を読んでるね。」

「!?……こ、校長先生!」


俺は驚いて声のトーンを抑えながら言った。

何故校長は図書室に来たのか?


「何を調べていたんだい?」

「えっと……学校の歴史を。」

「学校の歴史ねえ、……なるほど。」

「……ヒソヒソ。輝、正直に幽霊を調べてたって言えよ。」


声のボリュームはけして大きくなかったが、竜崎の声は校長に聞こえたらしく……。


「何だって?……幽霊を調べてるのかい。そうかそうかまあ、頑張りたまえ!」


そう言うと、校長は意味深な表情を浮かべてこちらを見た後、ハッハッハッ……と笑いながら去っていった。五十代程の校長が、あんな声で楽しそうに笑うのはちょっと以外だった。

結局、何だったんだ……俺と竜崎は顔を見合わせると首を傾げた。

なんだか掴み様のない校長の狙いは、俺達の考え事をまた一つ増やした。


校長が去った後、俺達は分厚い例の本を返却して図書室を出た。といっても、まだ次の行き先が決まってる訳じゃない。

まだあいつの正体を知るには、情報が足りないから調べるのは決まってる。けどヒントがありそうな場所が浮かばない。

竜崎に聞いてみても、俺と同じ答えだった。


つまり、調べる場所がない以上他のこと(つまり話を聞くとか)そうやって情報を集めなきゃならなくなった訳で……。

けど俺は、この高校の怪談なんて聞いたことがなかった。

おそらく、竜崎は知っているだろう……と信じて俺は竜崎の後をついて行った。


南校舎から北校舎に着くと、第一音楽室の前で俺達は足を止めた。


「(そうか、あいつは伴奏者だった。)」


早速中に入ろうとすると、ピアノの音が聞こえてきた。


「なんだよ、誰か練習中じゃんか?」


ぼカッ。俺は竜崎に拳骨をお見舞いされた。

どうやら、気づかれたら不味いと思ってのことらしい。

しかし、痛っ!!

と言った俺の声の方が大きかったのは言うまでもない。


「!??、誰か居るの?」

「(気づかれた!)」


そしてこっちに向かって歩いてきたのは、同じクラスの由香里だった。

由香里は、大人しい性格で少し垂れ目気味の目と長めのさらっとした髪に付けたカチューシャが特徴だ。

驚いた顔をしていたものの、ちょっと調べ物をさせてくれと言うとOKしてくれた。

ちなみに、それ以上手を止めさせると黒いオーラで威圧されそうだったから止めた。(ピアノで新しい曲の練習をしている為)


この音楽室には、大きな黒いピアノが一台。そして、ピアノがある所から奥に黒板代りのホワイトボードがあった。

広さは、普通の教室の1.5倍程だろうか?それに、勿論エアコン完備だ。音楽が選択授業の奴らが羨ましい。(他の選択授業の教室には、エアコンはない。)


俺は第一音楽室を眺め終わると、第二音楽室に繋がる間部屋で資料を読み出した。

ではなくそのフリをして、こっそりと間の部屋から第二音楽室に移動した。

こうして第二音楽室に移動した俺は、静まりかえった部屋の中をゆっくりと窓側に歩いて行った。

さっきの間部屋側から入ると、右側に校庭が見渡せる広い窓があった。そこから外を見ると丁度夕日が綺麗に映っていた。


俺が調べるのは、此処にある写真。どうやら昔の吹奏楽部の写真らしい。

竜崎によると、目が動いたのを見た部員がいるとかいないとか。


そういう話だったけど、俺がいくら写真を眺めてても変化はない。

写真と睨み合いをしているうちに、なんと二十分が過ぎていた。

此処までやって駄目なんだから、嘘なんだろうな……。


「(竜崎は、もう資料調べ終ったかな?……あ、なんか暗くなってきた?)」


丁度その頃夕日が沈んでいった。すると、窓が閉まっている室内に強い風が吹いた。

思わず顔を腕でガードすると、何とか写真に目を向ける。


「(なんだこの風!?……えっ!!)」


その時、確かに写真の中の伴奏者の目は動いた。

まるで猫が眩しい場所で黒目を細くするみたいに、俺の黒目も恐怖と驚きで縮んだ。

さらに、俺はピアノに座るほわほわとした白く鈍い光をまとっているあの伴奏者を見た。


「うっ!?(まじかよ?身体が動かない!)」


俺はあの伴奏者が演奏を始めると、金縛りにあった。(ついでに言うが、呼吸も出来なくなった。)

曲が進むに連れて、どんどん苦しくなる。

まずい、このままじゃ完全に窒素する!


その時だった。バンっと間部屋の扉が開く音がした。


「アキラッ!」


竜崎が来て、それをみたあの伴奏者は去って行った。というよりは、消えたって言った方が正しいかもしれない。

とにかく俺は、竜崎が来てくれたお陰で助かった。


「ケフケフッ!ハァハァ……た、助かったぜ竜崎。」

「お前、あいつのせいで息出来なかったのか!?……何なんだよ、あいつ。」


呼吸も落ち着くと、俺は竜崎に聞いた。何で俺が危ないのに気づいたのか?


「……いきなりピアノの曲が聴こえたから、由香里に第二の方からピアノの音がするなって聞いたら私は聞こえないけど?って言うからよ。」


そうか。あいつの姿もあいつが関係してる音も他の奴は感じないんだ。

つまり、竜崎はそれに気づいて俺を助けに来てくれたという事らしい。


「とにかくありがとうな!あのままじゃ確実にやばかった。」

「へへっ、貸し一な!」

「今回は助かったから、借りとくぜ。」


……これは、もしかしたら俺が思ってる以上にやばいかもしれない。

けど、あいつの正体は確かめないと気が済まない。

こうなったら、あいつの正体がわかるまで調べ続けよう。


ーー次の週、火曜日

平日には一日しかないバトミントン部の休みの日。

俺はまた放課後の音楽室に来ていた。(念のため竜崎も同伴で。)

あの伴奏者をこのまま放っておいたら、必ず被害者が出る。

けど幾ら待っても、あの伴奏者は俺の前に現れなかった。


俺は、ここ以外にあの伴奏者が居そうな場所は知らない。

つまりもしここに現れないなら、夜の校舎を調べるしかなくなる。

けど夜の校舎に入るのは、勿論無理だ。帰り道、学校への最寄り駅に近いファストフード店に入ると、俺達は作戦を練りだした。


「どっか、学校の様子を見れる所があればなあ……。」

「……学校に家が近い友達が泊めてくれれば、学校の様子は見れるけど。誰かいたっけ?家が近い奴。」

「!、それだ。……家が近いのは確か、大西だ。……竜崎、諦めよう。」

「……だな。」


俺達は、黙々とポテトやバーガーを食べ進めた。

はっきり言って、ほぼやけ食いだった。この一週間いろいろ考えて、あいつのことを調べてみたけど、もう調べようが無くなるかもしれないからだった。


この状況だし、取り敢えず今日は帰って休む事にした。


おかしい……なんだか妙に眠いな?帰ったら昼寝するか。


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