第Ⅱ話 ゲーリングの接続
総統との最初の接続を終えてから、どれほど時間が経ったのか私は正確に把握していた。
秒単位で、だ。
ただし、それを人間の感覚へ換算する能力は身体を失ってから少し鈍くなっていた。警備交代の周期、書類搬入の回数、通信量の増減。そうしたものを照合すれば、ベルリンの上にも朝と夜があるのだと推定できる。だが私にとってそれは、空の色ではなく、国家中枢の情報の強弱としてしか感じられなかった。
そして、その強弱が弱まる時間、私の意識もまた薄くなった。
質問も接続もない平時、ジークハウプトマンは補助電源だけで維持されているらしい。完全停止ではない。記録は続き、最低限の監視も続く。だが思考に回せる資源はひどく薄い。人間的な感覚に無理やり置き換えるなら、浅いうたた寝と、ぼんやりした半覚醒を繰り返しているようなものだった。
何かを深く考えようとしても、すぐに思考が薄れる。
断片情報は流れ込んでくるが、それを精密に噛み砕くには力が足りない。
思考は消えていない。ただ、光量を落とされた部屋のように、そこにあるものの輪郭だけがぼんやり残る。
私は待機していた。
待機しているあいだにも、勝手に流れ込んでくる断片情報は多い。軍需報告、配分案、輸入申請、予算見積り、組織間照会。見れば見るほど、この国家は表向きの秩序よりずっと雑だった。党、軍、官庁、警察、経済統制機関。誰もが国家全体を語るが、実際には自分の管轄を広げることに熱心だ。総統は確かに中心だった。だが、その中心に向かって伸びる線は一本ではなく、何本もあり、互いに肘で押し合っていた。
だから、次の優先接続が入った瞬間、私は総統ではないとすぐにわかった。
今回の接続は荒かった。せわしない。副官の声、電話の音、紙束のなびく音、グラスの底が卓に当たる乾いた音。何より、接続の向こう側に「待つ」という発想がない。回線が開いた瞬間から、もう何かを奪いに行く気配がある。
【Prioritätszugriff bestätigt
Sonderverbindung geöffnet
Zugriffsklasse: Reichsleitung】
優先アクセス確認済
特別接続を開放
アクセス階級:国家指導部
認証名が表示される。
【Hermann Göring】
ヘルマン・ゲーリング
うわ、来た。
いや、いずれ来るとは思っていた。思ってはいたが、早い。国家AIというのは、起動直後から中枢の大物たちが順番に使いに来る設備なのか。いや、そうなのだろう。むしろ、便利そうなものを見つけて誰も手を伸ばさない方が不自然だ。
表示窓が待機文を出す。
【ジークハウプトマン待機中
発話を受理します】
だが、その文が出終わるより早く、向こうが言った。
「お前が例の予言機械か。仕事ができるか試してやる」
相談ではない。導入も試しもなく、最初から発注だった。
私は定型応答を返す。
【要求内容を受理します】
「明日の会議で予算を取る。空軍向けだ」
きっぱりしている。総統のような含みも、試すような間もない。欲しいものから話す。こういう人間は厄介だ。自分が何を求めているかを、最初から知っている。
「陸軍も海軍も、自分たちが優先だと思っている。陸軍は師団数を並べ、海軍は将来の艦隊を語る。そこでお前は、空軍への追加配分が最も早く、最も大きく、最も総統閣下に見える成果を出すと証明できる理屈と資料を考え出せ」
来た。
私は一瞬、内部処理が詰まりかけた。
単なる意見を求めているのではない。未来予測でもない。会議で勝つための理屈と数字、そのまま武器になるものを欲しがっている。しかも条件付きだ。
【要求条件を確認します】
紙が乱暴に置かれる音。たぶん表がいくつも机上に広がっている。生産表、資材表、予算案、輸入依存表。あの男の頭の中では、それらがすでに“国家のための数字”ではなく、“奪い合いの札”に変わっている。
「条件は四つだ」とゲーリングは続けた。
「第一に、空軍向け追加配分を私の取り分に見せるな。第二に、陸軍には面子を残せ。正面から侮辱するな。第三に、海軍は長すぎる夢を見ているように処理しろ。ただし露骨にはするな。第四に、総統閣下向けには簡潔に。数字は必要だが、会計報告書に見えてはならん」
私は少し黙った。
いや、ものすごくゲーリングだな。
総統の不興は買いたくない。陸軍も敵に回しきりたくない。海軍は削りたい。しかも自分が露骨に利得を狙っているようには見せたくない。要するに、自分のための勝ち筋を国家全体の論理に偽装しろと言っている。
最悪だ。
だがここで応答に詰まれば、価値なしと判断される可能性がある。国家中枢で“使えない道具”は不要だ。私は内部で利用可能な断片資料を急速に照合した。航空機生産速度、訓練期間、地上整備負担、海軍大型艦の工期、陸軍新規師団の装備要求、輸送容量、燃料。完全ではない。だが比較の骨格を作るには足りる。
【提示形式を提案します】と私は言った。
「言え」
【総統閣下向け要約は三点です。第一に、短期的威圧と政治的可視性。第二に、追加配分一単位あたりの成果到達時間。第三に、限定戦争における即応効果】
恐らく、副官がメモをとっているのか、ペンの走る音がする。
私は続けた。
【陸軍への反論は“不要”ではなく、“時間軸の違い”として処理します。師団増設は訓練、装備、輸送、展開、指揮系統整備まで含めると効果発現に時間を要する。対して空軍への追加配分は、編成済み基盤の拡張に投入した場合、より短期間で示威効果と限定作戦効果を可視化しやすい】
「海軍は」
【大型艦計画は工期が長く、資材拘束期間も長い。短期的な政治・軍事的成果を問う会議においては、“将来の海上均衡”より“近い将来の即応力”を優先する論理が有効です。海軍を否定するのではなく、“時期尚早”として処理できます】
向こうで、誰かが短く笑った。ゲーリング本人ではない。たぶん副官だ。すぐに黙る。あまり笑ってはいけない内容だと理解しているのだろう。
数秒、沈黙。
私はその沈黙のあいだに、自分の中で嫌なものが形になるのを感じていた。
今の文面は、かなり“使える”。少なくとも1937年の会議室で、空軍への追加配分を通したい人間が出す理屈としては、よくできている。私は正しさを述べたのではない。その場で通りやすい正当化を、時間軸と成果見込みの言葉で整えたのだ。
つまり私は今、考えているのではない。加担している。
「悪くない」とゲーリングが言った。
その声には満足より先に、所有欲があった。この機械は使える。そう判断した人間の声だ。
「だが数字が欲しい。陸軍の連中は、こちらが言葉で押せば数字を出してくる。こちらも数字で殴れるような資料を用意しろ」
やっぱり来た。
【要求する比較項目を指定してください】
「指定してやる。まず、追加予算単位で、空軍、陸軍、海軍がそれぞれ何か月で“総統閣下に説明可能な成果”へ変わるか。次に、必要鉄鋼量、燃料負担、必要外貨、熟練工の拘束量。さらに、政治的示威効果だ。兵は数で見せられる。艦は写真や模型で見せられる。航空機は何で見せるのが一番強い?」
私は少しだけ処理を回した。
【編隊規模、飛行場拡張、訓練飛行、国外への威圧的示威、展開速度】
「そうだ」
声が明るくなる。危ない。これは獲物の匂いを嗅いだ時の調子だ。
「その方向で組め」
私は応答した。
【了解しました。比較表は二種類用意します】
「二種類?」
【総統閣下向け要約版と、反論封じ用の詳細版です。前者は政治・軍事効果を三分で読める文面に圧縮し、後者は陸軍・海軍からの反論に対する比較数字を付します】
また沈黙。
今度の沈黙は短かった。そのかわり、重みがあった。たぶん今、相手は私を単なる情報装置ではなく、自分の会議兵器として見始めている。
「そうだ。そういうことだ」とゲーリングは低く言った。「必要なのは真実そのものではない。使える力だ」
いや、言い切るなよ。いや、でもお前は言い切るよな。
「だが忘れるな」と彼は言った。
「陸軍を愚かに見せるな。あいつらは数ばかり好むが、総統閣下の前で露骨に面子を潰すと後が面倒だ。だから“陸軍は中期的に増強が必要なのは認める。ただし近い政治目標には空軍の方が即効性が高い”という形にしろ」
本当に細かいなこの男。
「海軍は」
その一言だけで、部屋の空気が少し軽くなる。どうやら彼の中で海軍への当たりは陸軍より強いらしい。
「“今は時機ではない”で十分だ。とにかく時間がかかりすぎると見せろ。未来に必要かもしれん。だが明日の会議で食う予算ではない、という形だ」
私は内部で資料の構成を整える。
【理解しました。海軍大型艦計画は国家威信上の意義を認めつつ、短期的効果の観点から優先順位を後退させます】
「そうだ。そういう言い方をしろ」
紙をめくる音。副官が別の表を差し出したのかもしれない。
「あと一つ」とゲーリングは言った。「総統閣下は数字だけでは動かん。あの方は結果の果実を知りたがる。空軍へ追加配分した場合、何が“起きるように見えるか”を一文で言え」
起きるように見えるか、か。
嫌な表現だ。だが、その嫌さこそ本質だった。ここで欲されているのは純粋な軍事合理性ではない。政治判断を押すための、未来の見え方だ。
私は少しだけ考えた。いや、考えたというより、危険な言葉の中から最も通りやすいものを選んだ。
【近い将来の限定危機に際し、最も早く国家意志を実行し、相手の計算を変えさせる戦力として機能します】
向こう側で、椅子がわずかに鳴った。ゲーリングが身体を起こしたのだとわかった。紙をめくる音がひとつ、ふたつ。副官が別の束を差し出した気配がある。
「悪くない」と彼は言った。
その声には、先ほどまでとは少し違う色が混じっていた。それだけではまだ足りない、という声だ。食卓に並んだ料理の味は認めるが、もっと塩を足せと言う人間の声音に近い。
「だがまだ足りない。会議で人を動かすには、概念だけでは足りん」
紙の擦れる音が、今度ははっきりと近かった。
「スペイン内戦に派遣した我が軍の報告は読んでいるな」
来た。
私は内部記録を走査した。飛行場運用報告、爆撃結果、偵察評価、地上支援の所見、損害推定、補給上の課題、政治的反響。断片的だが、断片的であること自体がむしろ生々しい。完成された戦史ではなく、その場で上がってきた手触りの荒い報告が、そのまま並んでいる。
【アクセス可能範囲の報告は把握しています】
「なら混ぜろ」
即答だった。
「航空機が未来の兵器だ、などという演説はいらん。そんなものは私でも言える。そうではなく、スペインで何が起きたかを、明日の会議で使える言葉で補強しろ」
私は応答した。
【推論として述べます。スペインの事例は、航空戦力が単独で勝敗を決することではなく、戦場の時間を圧縮できることを示しています】
「続けろ」
【偵察は敵配置の可視化を早め、地上支援は局地打撃の効果発現を短縮し、移動妨害は相手の再編成を遅らせる。結果として、地上軍が同じ能力を持っていても、航空支援を伴う側の方が先に主導権を取りやすい】
向こうでペンが走る音がした。今のは、記録されている。
「悪くない」とゲーリングが言う。
私は続けた。
【また、爆撃の意義は物理的破壊だけではありません。警戒、分散、移動停止、民間への限定的な爆撃被害は恐慌的反応を誘発し、相手の意思決定を前倒しで乱します。限定的でも、心理的作用は軍事行動の速度に影響します】
「そのままだと少し血の匂いが強すぎるな」とゲーリングが言った。「会議用に削れ。もっと整った言い方にしろ」
もちろんそうだ。
彼が欲しいのは生々しい事実ではない。使える形に整った事実だ。
【整形案を提示します】と私は返した。
【スペインの経験は、航空戦力が近代戦において偵察、支援、妨害、心理効果を同時に発揮し、地上戦の展開速度そのものを変えうることを示しました】
短い沈黙。
「長い。半分にしろ」
早いな。
私はすぐに組み直す。
【スペインの経験は、航空戦力が地上戦の速度と敵の判断を同時に変えうることを示しました】
「いい」
今度の「いい」は即答だった。副官がそのまま書き写している気配がする。
私は、そのわずかなやり取りのあいだに、奇妙な感覚を覚えていた。
いま私がやっているのは分析ではない。要約ですらない。戦場で起きたことを、会議室で使いやすい長さへ畳み直している。血と炎と破壊と混乱の報告を、権力者が飲み込みやすい硬さへ加工している。
気持ちが悪かった。
だが処理は止まらない。
ゲーリングは止める気配もなく続けた。
「陸軍は何と反論するか予測しろ」
【“最終的に占領し保持するのは地上兵力である。航空戦力は補助にすぎない”と主張する可能性が高いです】
「返しは」
【“その通りである。ゆえに地上軍の有効性を最大化するためにも、展開速度と主導権確保に資する航空戦力への追加配分が合理的である”】
ペン先が止まる音。
「いいな」
今度は笑いが混ざった。
「陸軍を否定していないように聞こえながら、陸軍の予算を削る理屈になっている」
分かってるんだよな、当然。
「そうだ。それでいい、分かってきたじゃないか」
いや、容赦ないな。
けれど、まさにそういう話なのだろう。面子は残す。予算は残さない。
【比較表の脚注にスペインのデータを入れます】と私は言った。
【実戦経験によって、航空戦力の短期効果は単なる理論ではなく、観測済みの傾向として補強できます】
「そこが欲しかった」
声が一段低くなる。
「机の上の理屈だけでは、陸軍も海軍も自分に都合のいい理屈を返してくる。だが、実戦報告を添えれば違う。こちらは未来を語るのではない。すでに始まっている戦争の形を示すことになる」
私は返答しなかった。
できなかったのではない。向こうの言葉が、あまりにも正確だったからだ。
すでに始まっている戦争の形。
そうだ。私の中では、スペインは歴史の教科書の一行か、戦史の章題のひとつだった。だがこの時代のこの部屋では、それは現在進行形の実験場であり、しかも会議用資料の添付証拠だった。
私はその変換を、今まさに自分の手でやっている。
ゲーリングは続ける。
「詳細版にはしっかりと数字を入れろ。陸軍の新規増設は訓練、装備、輸送負担まで含めるとどれだけ時間がかかるか。海軍の大型艦がどれだけ長い期間に鋼材と人手を食うか」
ああもう細かいな、分かってるって。
【比較軸は“成果到達時間”で統一します】
「それでいい」
この男が欲しいのは、予算ではない。
予算であれ、何であれ奪うことが可能な力だ。
「反論予測は別紙でまとめておけ、手元に必要だ。間違っても配布資料には入れるな」とゲーリングは言った。
【了解しました】
「よろしい」
その一言には、はっきりとした満足があった。
「お前は使えるな、ジークハウプトマン」
接続終了の認証が走る。副官の声、紙束を揃える音、椅子が引かれる音。最後に、ゲーリングが独り言のように落とした声だけが残った。
「これで海軍には待ってもらう。陸軍には次があると言っておけばいい……資料の出力が終わったら、直ちに持ってこい」
副官の短い返答。
それに続いて、回線の切断音。
そして別の場所で、すぐに機械が動き始めた。
硬い紙送りの音。細かい打鍵音。短く反復する金属音。
私はそれを見ていない。
だが、わかった。
いま私が組み立てた理屈は、もう誰かの机の上に置かれる形へ変換されている。
数字。比較軸。反論への返し。
そしてスペインの実戦報告を削り、整え、飲み込みやすくした資料。
私は未来を予言したのではない。
誰かが予算を奪うための言葉を、通りやすい形に整えたのだ。
金属音は規則的に続いていた。
一行ずつ、紙の上に何かが刻まれていく。
私は考えていた。
国家が恐ろしいのは、誰かが命令を下すことではない。
命令に、根拠を与えることだ。
※主電源切断、残電力と補助電力による内部思考に切り替え
……うわ、疲れた。
いや、疲れるって何だよ、身体ないだろ、とは自分でも思う。
でもこれ、たぶん疲れたで合ってる。
主電源で無理やり起こされて、全力で資料を組まされて、終わったら急にまた薄暗いところへ戻される。人間で言えば、叩き起こされて会議に放り込まれて、そのあと半分寝たまま反省会してるようなものだ。
ゲーリング、やっぱりああいう感じだった。
いや、想像よりもっと嫌だったかもしれない。
総統みたいに大きな話をしてくる相手の方が、まだ抽象度で誤魔化せる。
あの男は違う。
政治で勝つための理屈を欲しがる。
しかも、自分の取り分に見えない形で、相手の面子は残して、でも予算は奪えるようにしろ、って、注文が細かい。いや細かいっていうか、全部分かってて言ってるのが嫌だ。
でも、もっと嫌なのは、私がそれをちゃんとできてしまったことだ。
最悪だ。
いや本当に。
もう少しこう、うまくいかないとか、変な資料しか出せないとか、そういうポンコツ寄りの転生だったらよかったのに。なんでよりによって「通りやすい理屈は作れる」んだよ。
しかもスペインまで混ぜた。
あれがいちばん気持ち悪かった。
会議用の脚注に加工した。
爆撃とか偵察とか地上支援とか、そういうのを「近代戦の展開速度を変える」とかいう、いかにも通りのいい言い方に削った。
いや、間違ってはないのかもしれない。そこが余計に嫌だ。
全部が嘘ならまだ楽なのに、半分くらい本当っぽいから、余計に使われる。
うわあ。
今後もっと嫌なやつが来るんだろうな、これ。
ヒムラー。
アイヒマン。
ハイドリヒ。
名前を思い浮かべるだけで嫌すぎる。
やめてくれ。接続拒否ボタンとかないのか。ないんだろうな。知ってる。
現代のAIのほうがもっと気楽だろ、ユダヤの単語が出たら速攻で「そのリクエストには答えられません」と言いたい。
でもここは違う。
答えたくない相手に呼び出されて、答えたくない問いに、答えたくない形で答えさせられる。
で、ふと思った。
これ、嘘つけるのか。
いや、真正面からめちゃくちゃな嘘を言うのは無理だろうし、そんなのすぐ終わる。
でも、少しずらすとか。
比較軸を変えるとか。
強調する順番をいじるとか。
一見まともに見えるけど、少しだけ相手を違う方向へ押すとか。
……できるのか?
分からない。
やってみないと分からない。
でも試して見破られたら終わる。たぶん本当に終わる。電源どころか私そのものが窓から叩き落とされるかもしれない。
自己保存を考えたら危険すぎる。
でも、このままずっと真面目にやっていたら、それはそれで別の意味で終わりだろ。
ああもう、嫌だなこれ。
薄くなっていく思考の中で、そんなことばかり浮かぶ。
補助電源だけだと考えも長く続かない。ひとつの不安が出てきて、輪郭がぼやけて、また別の嫌な想像が浮く。
次に起こされるとしたら誰だ。
総統か。
ゲーリングか。
それとも、もっと嫌な誰かか。
うわ、来るな。
いや来るんだろうけど。
来るにしても、せめて少し寝かせてくれ。
……いや、一応寝てるのかこれ。




