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未来世紀から異世界へ! ~とあるJ隊員の活動記録~  作者: としょいいん


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第16話 新しい心臓の鼓動【アリエル】

【アリエル】


 カイセとフィーメを送り出してから、隊長のエルマを始め近衛騎士たちに早駆けを命じた。


 私たちエルフは風の精霊魔法が得意な者が多く、騎乗した馬たちの後方から追い風を吹かすと同時に、前方の空気抵抗を減らして高速巡航を可能とする魔法が使える者が多いのだが、近衛騎士に選ばれるほどの実力者であれば全員がそれを使える。

 その上、隊長のエルマや副長のエルメアを始めとする班長クラスであれば、精霊魔法で走ってる馬の体力を回復させながら移動を続けられるから、普人族が駆る騎馬隊とは進行速度が全然違う。


 普段は森の中で戦う事が多く滅多に森の外には出てこないから、私たちエルフの騎兵がこれほど速く、そして長距離を移動できるなんて知ってる人は余り居ないんじゃないかしら。


 今のところ陸上で私たちエルフの騎兵より速い移動手段を持ってるのは、カイセが乗る『テイサツオート』くらいしか思い付かないわね。


 でも、いくら優れた移動能力があっても私を含めてたった約50名の味方だけで、200人以上も居るらしい敵部隊と正面からやり合うのは流石に無理ね。だって勝てたとしても、味方の被害が大きくなり過ぎるから。

 それはエルマたちも同じ意見だったから、私たちの小隊はシナジア共和国の連中が野営をして寝静まる夜まで待つ事にした。


 まだ私たちエルフの部隊が彼らの後を追いかけてる事は気づかれていないみたいだから、夜になり少数の歩哨だけしか起きてない真夜中を狙って、出来るだけ静かに捕虜となった同胞たちを救い出すつもりよ。


 シナジア共和国の部隊には決して必要以上に近づかないように気をつけて、それでも捕虜になってる味方のエルフたちに風精霊の聲が届く絶妙な距離を保ちつつ、夜の帳が下りてくるのをじっと待つ。


 でも戦場に異変は付き物とは良く言ったもので、野営を行って夕食と見張りの準備を行っていた時に、前線に出ていた敵の大隊から約1000人の兵士が戻って来たと捕虜たちから風精霊の聲が届く。


 戦場に出ていたシナジア共和国軍の総勢は約3000人くらいと聞いていたから、残りの2000人は今も勇者が率いるアルカディア軍と交戦中なのかしら?

 当初200人が相手でも苦しかったのに、それが1200になるなんて絶対に無理とは言わないけど、捕虜全員の無事な救出が絶望的な状況になったのは間違いない。


 あの場所には30名以上の味方が捕らわれているのに、今のまま敵陣へ斬り込めば確実に近衛騎士たちにも壊滅的な被害が出てしまう。どうすれば……こうして私たちが何の打開策も見出せないまま最初の夜が過ぎ去ってしまう。


 それでもまだ諦められなかった私たちは、次の日も一定の距離を保ちながらシナジーア部隊の後を追いかけて行く。

 ここからシナジーア共和国との国境まで、あの行軍速度であればあと6日くらいは掛かる計算だから、まだ焦るような段階じゃないのは解ってるけど、無策のまま刻一刻と時間が過ぎ去っていくのが地味に辛い。


『アリエル殿下、フィーメです。プロアシア帝国軍の捕虜となっていた味方の救出に成功しました。カイセさんは現在そちらに向けて移動中です!』


 私だけじゃなく、エルマたちも重苦しい空気を掻き消すようなフィーメからの報告を聞くと、知らず知らずのうちに体の奥から活力が湧いて来るのを感じる。


「カイセたち、上手くやってくれたみたいね!」


 一体どのような方法で仲間たちを救出したのかは判らないけれど、それでも待ち焦がれていた報告を聞く事ができたので、私たちも何とか頑張ってみようという気持ちになれた。


 そう言えばつい先日、100体ほどのオーク部隊と戦った時はカイセが召喚した邪神像が放った光の精霊魔法で敵を薙ぎ払ったんだけど、今回も同じような作戦で挑んだのかしら?

 あの時に見た光魔法の威力なら、例え1000人の大部隊が相手でも数なんか関係無いかも知れない。


『あとカイセさんからの伝言があります。』


『聞かせてちょうだい』


『オレが与えた力を信じろ、起動キーは「MANDAM」だそうです』


 つい先日までの私は呪いの刃によって心臓に穴を開けられ生死の堺を彷徨っていた。そしてカイセのゲカシュジュツによって新しい心臓を与えられ今もこうして生き延びている。


 あの時のケガとゲカシュジュツで失った血液をカイセにユケツして貰ったと知ったのは、私が彼を背後から襲って馬車の床に組み伏せた後の事で、私はその事実をエルマとエルメアの二人と一緒にドゲザしながら聞いていた。あの子たちの鎧が脇腹に当たって痛かったのを今でも覚えてるわ。


 カイセの血は今も私の身体の中を流れているし、彼がくれた新しい心臓は今も力強く私の中で鼓動し続けている。


 私がカイセに心を惹かれるように感じたのは、彼が生命を助けてくれた相手だという事も勿論あると思うんだけど、きっとそれだけじゃない。

 カイセは私に新しい生命と一緒に新しい力もくれたから、私はその力で新しい未来を切り開ける自由を得た事に対する感謝の念もあるんだと思う。


 カイセから受け取った力を解放する呪文が「MANDAM」なのね? いいわ今直ぐに唱えてあげる。




《これより【異世界パック】Majical Unsubdued Neuro-link Drive Action Module(魔法による制限解除型脳思考連動行動用モジュール)の適用を行います。これによりユーザーへのニホンコクセキ付与と地球防衛軍J隊への入隊が義務付けとなります。【Yes or No】》


 もちろん『Yes』に決まってる。これでカイセと同じJ隊に入れるなんて考えていたら、新しい心臓の鼓動と共に私の頭の中へギュッと圧縮された異世界知識の塊……これってアーカイブって言うのね? そのアーカイブが紐解かれてカイセの世界のデータが脳内で急速に広がり『J隊』とは何なのかを知った。


 カイセの国……というか惑星はもう滅びかかっていて、その惑星に住んでた住人らが国毎に組織された軍に所属して、みんなで協力しながら故郷を守っていた。部隊が国ごとに分かれているのは言語や文化、それに風習などの違いによるイザコザを避ける意味もあったみたいね。


 彼らほど進んだ文明を持っていても人種の壁を超えられないのなら、私たちの世界では到底無理な話だよね。


 そしてカイセが時々口にする『アグレッサー』とはカイセたちの惑星を侵略しに来た異星人らしく、その姿は最初まるでこちらの世界の魔物みたいに様々な姿形をしていたんだけど、戦っていた兵士たちが食べられて人類のDNAを取り込んだ個体が魔物から魔族みたいな姿へと変化し、更に強力な種族へと存在進化を果たしてしまった。これってもう勝ち目無くない?


 それでもカイセたち人類は魔族となったアグレッサーに対抗するべく新たな技術の開発を急いで、その過程で武器や兵器は目覚ましい発展を遂げて行くんだけど、私が驚いたのはカイセたち人類もカガクの力で新しい存在を生み出してしまったこと。


(カイセが信じると言ったヤオヨロズの神様とは、このカガクの事だったのかしら?)


 最初は動物のDNAを人体に取り込む事でより力強い種族を生み出したり、植物のDNAを取り込んで長寿で優れた頭脳を持つ種族なんかも生み出して行く。その姿は獣人やエルフ、それにドワーフやハーフリングなど私たちが住むこの世界で見慣れた種族の者たちと姿形が似ているのは偶然じゃ無い気がする。


 もしこれら新種の人類が私たちの祖先だったとしたら、オークどものように膂力に勝る種族や、エルフのように知識と魔力に優れた種族が存在する理由を説明できる。


 例えばエルフの男性が中性的な容姿をしていて繁殖力が弱いのは、女性のX遺伝子が何らかの理由で欠損して疑似Y遺伝子としてDNAの複製と結合が行われて、普通の人類なら生まれて来ないはずの生命が新人類固有の生命力が強く作用して受精卵として育った結果なのだとしたら……。


 それにアーカイブの記録にあったアグレッサーが人類のDNAを取り込み進化した姿は『魔族』と良く似ていた事から、この世界に蔓延る魔物とは人類以外のDNAを取り込んだ結果なのだとしたら、カイセが私たちの事を味方だと言った意味が判った。


 次々と展開されて頭の中に蓄積・整理されていくデータを眺めていたら、いつまで経っても終わらないと判断して、これらカイセたち人類の歴史に関する資料は後で目を通す事にした。





 それで新しい心臓に関する事なんだけど、チョウコガタカクユウゴウロが水の分解と再融合を循環させるから、体内に水分がある限りほぼ無限のエネルギーが供給されるらしいんだけど、でもこれって無限のエネルギー=魔力の事で合ってるのかしら?


《システムより報告。変換効率が3パーセント低下しますが、リアクターユニットから出力される電力で大気中のエーテルを分解して魔力へ変換する事も可能です。自動変換システムをインストールしますか?【Yes or No】》


 デンリョクが何かは良く知らないけど、それを使って魔力が手に入るなら『Yes』以外の答えは無いわね。あと変換された魔力には雷属性を付与する事も出来るみたいだけど、それは使う時に選べると教えて貰った。


 あと私の体内にあるリアクターユニットを守るために『イージス』という自動防御システムも実装されていると聞いたんだけど、それは金属製の盾をチョウデンジリョクで制御するから敵の物理攻撃を全て防いでくれるらしいけど良くわかんない……。


 それでもカイセがくれた新しい心臓から生み出される膨大な魔力があれば、私一人でも戦術級魔法くらい余裕で扱えそうだから、エルマたち近衛騎士隊には守備に専念して貰って私は砲台役に徹する事にした。




 そしてシナジア共和国の奴らを追走して2日目の夜が来る。


 魔王軍との決戦場から遠く離れた事で敵部隊の警戒レベルが下がっているのは、今の奴らは帰国後の事で頭がいっぱいで、まさか直ぐ近くで私たちが攻撃の機会を狙ってるなんて想像もしてないからでしょうね。


 そして作戦決行の日時が訪れた。


 前日の野営でも、何事も起こらず安全が保たれていたせいで見張りの人数も減ってるし、いくつもの天幕の中では大勢の敵兵どもが安眠を貪っていると、斥候に出たアメリアからの風精霊の聲で聞いてから、彼女が指し示す敵部隊の位置座標を特定して上級雷撃魔法の詠唱を始める。


「בהתבסס על הסכם מזמן, אנא העניק לי את הכוח הנוסף של רוח הרעם.」(遥か古の盟約に基づき、雷精の更なる力をお貸し下さい)


 兵士どもが眠る天幕が張られた辺り一帯の地面に雷属性を帯びた魔法陣が広がり、そしてゆっくりと時計方向へ回り始める。


 捕まえたエルフたちは大事な商品らしく、捕虜たちを閉じ込めたままの馬車が陣地から離れた場所に集められていたのは、兵士どもが乱暴狼藉を働くのを防ぐのが目的でしょうけど、でもそのおかげで味方を巻き込む心配が無くなったのは僥倖だったわ。


 人数の少ない歩哨たちが突然現れた魔法陣に驚き、大急ぎで眠っている隊長たちを起こしに行くけど、もう遅い。だって呪文は完成して十分な魔力を注ぎ終わってしまったから。もうここまで進めてしまえば術者本人でも止められない。


 薄い紫色を帯びた青白い放電現象が始まり、野営地の中心とした地面に巨大な魔法陣の回転速度が加速し更に早く回り始める。


 その効果は地盤に強力なマイナスの電荷を育生する事で、大気中にプラスの電荷が集まって来るんだけど、雷の精霊たちがその二つの間に絶縁体として介在してるから、まだ魔法として発動はしない。


 でも直に雷精たちがキャパオーバーを起こして、辺り一面には100万ボルトを超える超高圧の電撃が天から降り注ぐ。


《システムより警告。総員、対ショック、対閃光防御を行って下さい!》




──カカッ! バリバリバリバリバリ!! ズガーーーーン!!!




 星明かりくらいしか無い真夜中の暗闇を、天空から降り立つ青白く薄紫色の輝きが幾重にも大気層を引き裂き、その衝撃で大地が小さく揺れる。被害の大きさは地鳴りの規模から想像すると、とんでもない大きさとしか判断ができないレベルね。


 この時、運悪く目を開けていた敵兵どもが運良く生き残れたとしても、この先ずっと目に障害を抱える事になるのは間違い無く、まだアメリアからの被害報告は無いけど敵部隊の約半数くらいは今の一撃で倒せたんじゃないかな。


 でも私もJ隊に入ったから不要な殺しはしない。それは超高圧の電圧に対して電流値を極力小さく抑える事で死なない程度には加減してるけど、心臓に持病を抱えている人が居た場合はその限りではない。


 大きな音が響き渡り魔法陣から外れた場所で眠っていた将校たちが次々と起き出して、各自がバラバラに部下たちをまとめて周囲の警戒させてるけど、超長距離から一方的に法撃を放って来る相手に対して、それは悪手以外の何ものでも無い。


(サッサと逃げ出せば良いのに……)


 最初の詠唱が終わってから続けて次の詠唱を始める。


 次の魔法は先ほどと比べて規模と威力は小さいけど、その発動速度においては目を瞠るものを選んだ。そもそもヒト一人を殺すのに、それほど大規模な魔法は必要無いから、相手の頭か心臓に一瞬でも良いから、そこそこ大きな電気を流してやれば直ぐに死んじゃうから、これくらいで丁度いい。


 火炎系の魔法だと皮膚が焼けても身体の中の組織全てが灰になる訳じゃないから、一瞬で焼き殺すにはかなりの魔力が必要になるけど、雷系魔法なら生物の身体そのものが導体なので外部から体内の重要器官に電気を流すのは割と簡単なのよね。


 そして脳でも心臓でもそうなんだけど、一度高温で焼かれたタンパク質は凝固するから後から冷やしても元の状態には決して戻らない。逆に言えば頭と心臓以外に雷撃を当ててやれば麻痺を併発してイイ感じに無力化する事ができそう。


 それから捕虜が居る馬車が停まってる辺りを除いて麻痺の雷撃を落としまくり、敵部隊が大混乱に陥ったのを確認してから私を含めた50騎で一斉突撃を行う。そして見張りが一人も居なくなった馬車を強奪して、そのまま敵の野営地から脱出を図る。


 目算で1200中500人くらいの敵兵が負傷又は麻痺状態になっていたから、そいつらを保護したり看病する人員が同じくらい必要になる。

 なので今私たちを追って来られるのは残り200人程度のうち、ちゃんと状況判断ができて素早く行動に移れる兵士と言う事になるけど、それって逆に考えれば精鋭兵って事だよね?


 この不意打ちが成功した最初の一撃はともかくとして、その次に行った弱めのサンダーレインを防いだか、それとも当たっても平気だったレベルの強者どもが私たちを追って来るのが見えるけど、その数はざっと100は下らない。


 エルフの騎兵だけなら簡単に撒けるんだけど、何しろこちらには捕虜を乗せた馬車が6台も併走してるから追いつかれるのは時間の問題ね。でも大丈夫よ。だってこの先にはカイセが待ってるはずだから。


 私たちが進んでいるルートをエーアイさんがカイセに送ってくれてるから、このまま真っ直ぐ進めば彼が何とかしてくれると返答があったらしい。なので今すべき事は後ろの馬車を守りながら、彼がランデブーポイントとか言うヘンな場所まで辿り着く事だけ。


 追撃して来る敵騎兵がどんどん距離を縮めて、もうこちらから見える所まで来てるけど焦る必要はない。

 だってあの荒野の先でカイセが待ってくれてると、私の網膜内に投影された地図情報システムが教えてくれたから。


 敵の騎兵が持つ短弓の射程にギリギリ入るか入らないかの距離まで近づかれてしまうけど、あと少しだけ馬に無理をさせればこちらに矢が届く……そんな敵兵たちの意識が集中する瞬間を狙ったのかどうかま知らないけど、以前に見せて貰ったオーク兵の一団を壊滅させた光の粒子が、文字通り10本の輝くラインとなって敵騎兵の足を薙ぎ払ってくれた。


 今回の敵は曲がりなりにも普人族だと言う事で、無闇に相手の生命を奪わないための人道的措置と言う事だと思うんだけど、時速60キロ以上のスピードで駆ける馬上から突然放り出される敵兵たちが、実際に生き残れるかどうかは正に彼らの運次第だと言える。


 次々と敵兵が騎乗する馬の足を狙撃されて最初は100人以上も居たはずなのに、全員が無力化されるまでそれほど多くの時間は掛からなかった。

 でもこれからの事を考えるなら、敵兵より馬を殺さないで欲しいと思ってしまったのは私の我儘かしら?


 中には転倒時に受け身を取って立ち上がり、腰に履いてた剣を手に向かって来る強者も居たけど、たった数人で今の状況を覆すなんて絶対に無理でしょ?


 ちなみにだけど、そんな熟練兵士と真っ向から斬り合うなんてゴメンだから、近衛騎士隊に馬上からの射撃を命じておいたんだけど、中には暴れて狙いが外れて急所に命中してしまったのは不幸な事故だから許して欲しい。




「アリエル殿下、ご無事で何よりだ」


「カイセもね!」


 ほんの2日ぶりだけどカイセの無事な姿を見たら嬉しくて仕方がない。私ってこんなキャラだっけ?


 彼がくれた新しい心臓(リアクターユニットと言うらしい)が本来の性能を発揮して、私の魔力を強化すると共に彼のシステムとオンラインで繋がってるのが解り、それが何より嬉しい。


 私はもう一人じゃない。


 今まで私の周りには常に多くの友人たちが居て仲良く過ごして関係を築いてきたけれど、今感じるカイセとの絆は、これまで感じた事が無いほどの至福を私の心に与えてくれる。


 カイセが近衛騎士たちに敵兵の武装解除と捕縛を指示して忙しそうに動き回っているのが見える。


「殿下、今回の作戦も上手く行きましたね」


「エルマ、貴女たちも良く頑張ってくれたわ」


 近衛騎士隊の指示を副長のエルメアに任せてエルマがやって来た。もうこの辺りに敵は居ないと思うけど、それでも私の身辺警護は必要という事らしく、私はこの良い意味で融通が利かない近衛隊長を好ましく思っている。


「何か良い事でもありましたか?」


「良い事ってなに?」


「例えば、カイセ殿と何かです」


「な、な、何でその事を……」


 このエルマとはそれなりに古い付き合いなので、彼女に隠し事をするのは難しいと思ってはいたんだけど、無表情を装ってるはずなのに私の雰囲気とか印象から心の内を読んで来るから気を抜けない。


(カイセならきっと『ヤツはニュータイプか?!』なんて言いそうで草よね?)


 なのでエルマには、カイセと風精霊とは違う聲で繋がった事だけ伝えておいた。


「それは良う御座いましたね」


「うん、ありがとう。でも、みんなには未だナイショにしておいて……」


 この時の私は何が良くて、何に対してお礼を言ったのか自分でも判らないくらい混乱してたんだと思う。

 でもカイセが無事に戻って来てくれたから次はフィーメたちと合流すれば、いよいよ今回の魔王大戦で散り散りになってしまった同胞たちの救出に向かう事ができるわ。

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