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玉藻とタマモは甘やかしたい  作者: マイヨ@貞操逆転男友達【5/29発売】


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7/15

第7話 私の方が上手く作れるし……

「さ~て、お昼だ」


 4限の授業が終わり、背中を伸ばしてタブレットを机の引き出しに戻すと。


「ほら。タマモ、お昼休みだよ」

「ん……むにゃ……はっ⁉ えっ、授業は?」


「スースーと可愛い寝息立てて、よく寝てたよタマちゃん」


 つっぷしていた机から慌てて起き上がってキョロキョロと周りを見回すタマモ。


 まったく……。

 授業中に寝ちゃうなんて、本当に玉藻前としての自覚はあるんだろうか?


 まぁ、今朝は早朝に起きてたし、仕方ないか。


「後でノート写させてあげるから、ちゃんと目を通しておくのよ」

「うう……有能な女になる道は険しいなぁ……」


 ボヤキながらタマモがよだれを拭う。


「タマちゃんは、お昼どうするの? お弁当は持ってきてる?」

「何も持って来なかったです……」


 今朝は鮭の解体でバタバタしてたもんね。


「私も今日はお弁当持ってきてないから学食にしようか」


 という事で、私とタマモと紗江の3人で学食に向かった。

 お昼時という事で学食の中は当然混雑しているのだが、


「珍しい。白玉会長だ」

「昼休みに学食ではあまり、見かけないもんね」


 私の姿を見て周りの生徒が少しザワつく。


 普段の私は、生徒会の仕事を片付けたり、ランチミーティングをする関係で生徒会室に籠っている事が多い。


 今日も本当はそのつもりだったけど、イケちゃん先生とバトルした余波で、乃依姉ぇが生徒指導室送りになったので今日はフリーな昼休みだ。


 しかし、生徒会副会長なのに生徒指導室送りって、乃依姉ぇは本当に面白ぇお姉さんだ。


「あれが今日から入学したっていう留学生か」

「銀髪美少女だ~」

「アイスランドから来てるんだっけ?」


 そして隣を歩くタマモも、新参の留学生だし銀髪という目立つアイコン持ちなため注目の的だ。


「桃萌~。お願いがあるんだけど……」

「はいはい。昼ご飯くらい奢ったげるわよ」


「わぁ~い♪」


 お金ないもんねタマモは。


「わぁ~! ジャパニーズラーメンだぁ。忍者マンガのメンマも食べてたし、これにしよう。あとは~」


 ラーメンに合わせるなら半チャーハンかチャーシュー丼が定番だろうけど、もう何を追加するか、優秀な私には分かる。


「お稲荷さんでしょ?」

「正解~。なんで分かったの?」


「ん? タマモだから」


 普通は、うどんや蕎麦のメニューの時に一緒に食べる物だけど、さっきから目線が『お稲荷さん130円』の札に釘付けになってたし。


「なんか、モモちゃん。やっぱりタマちゃんには甘いよね?」

「え? そ、そう?」


「うん。何か、他の子への接し方と違う気がする」


 人間観察が趣味の紗江からジトっとした目を向けられ、


「ま、まぁ、この学校の子はみんな優秀だからさ。その点、タマモは日本に来たばかりだからフォローしないとだし」


 まぁ、タマモの正体は妖怪だからな~。

 とは言えないので、ここは留学生であるという点を強調しておく。


 こういう点では、タマモを留学生設定にしておいて良かった。


「ふーん……」


「ふわぁ⁉ この赤いの辛いよ桃萌!」

「ちょ⁉ 味噌ラーメンに乗ってる赤いのは唐辛子だから、それだけで食べちゃ、そりゃ辛いさ!」


 どこか納得していない様子でジト目を送って来る紗江が気がかりであったけど、案の定目を離せないタマモ。


 まったく、この子は本当に手間がかかる。


「ほら。お稲荷さんの方を食べな」

「うん……。モグモグ」


 唐辛子の辛さは、水を飲むと却って口の中で拡散してしまうので悪手なため、私はお稲荷さんをタマモに渡す。


 そして、それを素直に受け取って食べるタマモ。


「なにこれ美味しい! 朝に食べた味噌汁のお揚げも美味しかったけど、この甘じょっぱいの最高!」


 どうやら、お稲荷さんも気に入った様子なタマモ。


 ──けど、何か美味しそうに食べてるタマモを見てると、モヤモヤするなぁ……。


「あ、桃萌もいる?」

「むぐっ。別にいらないのに」


「何か、こっち見てたから。桃萌も欲しかったんでしょ? お稲荷さん」


 ボーッと見てたら、突如タマモがお稲荷さんを私の口に突っ込んできた。


「べ……別に。私は、学食のお稲荷さんはキライなのよ」

「え~? 朝の味噌汁にもお揚げ入れてる桃萌が?」


 心底不思議そうな顔で覗き込んでくるタマモ。

 その顔の前では、何故か私はウソがつけなくて……。


「だって、お稲荷さんなら、私の方が上手く作れるし……」


 そう言いながら、私はプイッと横を向くと、ニマニマした紗江と目が合う。


「モモちゃんヤキモチ焼いてる~」

「ばっ!? ど、どこがよ!」


 別にそんなんじゃないし!


 玉藻の末裔としては、お稲荷さんには一家言あるだけだし!

 どうせなら、タマモには本物を食べさせたいだけだし!


「えっ、焼き(もち)!? ジャパニーズ年越しで食べるアレも学食で食べられるの?」

「いいから、アンタはさっさと味噌ラーメンを食べ切りなさい! 辛い所は取ってあげたから!」


 食い意地のはったタマモを一喝してから、私は何かを誤魔化すように、学食の味噌汁をすすった。


 タマモの味噌ラーメンから移した鷹の爪がちょっと辛かった。


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