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玉藻とタマモは甘やかしたい  作者: マイヨ@貞操逆転男友達【5/29発売】


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17/19

第17話 今のタマモには言わないでおこう

「タ~マ~モ~。昼休みは、よくもやってくれたわねぇ~」

「な……なんで怒ってるの桃萌?」


 学校が終わって家に帰りタマモと2人きりになった事で


 今日の昼休みでは、私に要らぬ嫌疑が掛けられた。


 異国からはるばる単身でやってきた……(という設定の)いたいけな留学生に、留学してきて早々、異国の地でバイトをさせようという鬼畜女というレッテルだ。


 慌てて否定したけど、

『有能で、人の気持ちなんて分からない白玉会長ならやりかねないかも……』

 みたいな空気がぬぐい切れず残り、何か微妙な空気で終わった。


 あれ? 私って選挙で選ばれた生徒会長だよね?

 なんか、自信無くなってきたぞ……。


「そもそもバイトって留学生はしていいんだっけ?」

「うん。資格外活動許可申請を出入国在留管理庁に出せばオーケーだって。イケちゃん先生が『面倒くせぇな』ってブツブツ言いながら調べてくれて。書類様式もホームページから印刷してくれたの」


「へぇ。流石はイケちゃん先生」


 ダウナーでヤル気ないように見せかけて、ちゃんと生徒想いなんだよね。


 出入国在留管理庁なんて、教員じゃまず関りなさそうな行政機関の事まで調べて……。


 ──って、ん? 行政機関?


「タマモ……。タマモって、お母さんの転移の妖術で日本に来たんだよね?」

「そうだよ。一瞬でアイスランドから日本まで来れたんだよ。凄いでしょ」


 エッヘンと胸を張るタマモ。


 たしかに妖術は、大半の人間は知らない夢の魔法のような物だ。

 だが、それ故に表の社会においては、その存在自体が考慮されていないため……。


「その書類を行政に出したら、不法入国がバレて、タマモ捕まっちゃうよ」

「ふぁ⁉」


「いや、だって正規の入国手続踏んでないし」


 本当は、私の妖術でちゃちゃっとその辺の行政の公式データは書き換えるのは可能なんだけどね。

 当局に見つかって、強制送還エンドなんて私は認めないから、後でちゃんとやっとこう。


 でも、今のタマモには言わないでおこう。


「ええ……そんなぁ~」

「どちらにせよ、学校への書類には保護者の同意署名の欄もあるし、タマモには無理なんじゃない?」


 ここぞとばかりに、可能性の芽を摘む私。

 まるで毒親にでもなった気分だけど、タマモを護るためだから仕方ない。


 仕方ないったらない。




 ◇◇◇◆◇◇◇




「あ~あ……。バイトしたかったな~」

「ま~だ言ってるの?」


 翌朝の朝食でも、タマモはまだバイトの事が心残りなようだ。


「だって、桃萌に少しはお金入れたかったし……。この朝ごはんだって……」

「別に女の子一人分増えたからって、食費なんて大して変わんないし」


「そういう桃萌は昨日お仕事してたんだよね? どういう仕事してるの? 時給はいくらもらえるの?」

「え? ああ……。昨日はただの打合せだけだったからね。何もお金なんてもらってないよ」


「ふーん」


 ──ふぅ……危ない。


 私の仕事はちょっと特殊だから、あんまり他の人には言わないようにしてるんだよね。

 手伝うって言いだされても困るし、一緒に仕事してる相棒の美琴は、対人関係にかなり難があるからなぁ……。


「おはようございます会長」

「うげっ。火華さんが来た」


 ちょうど朝食を食べ終わった所で、乃依姉ぇがお迎えに来た。

 まるで、家の中を見ていたかのようなタイミングの良さだ。


「乃依姉ぇおはよう」

「おはようございます会長。はい、どうぞ」


「ん、これなに?」


 朝の開口一番で、乃依姉ぇが何やら封筒を私に渡してきた。

 受け取った封筒は、ずっしり重いので中をあらためると。


「ふぇ⁉ 札束!」


 横から見ていたタマモが素っ頓狂な声を上げる。


「……乃依姉ぇ。なにこのお金?」


「会長、何も仰らなくていいんですよね。そちら、私からほんのわずかばかりな金額ですがどうぞお納めください。実は会長のクラスで(とう)ちょ……ゲフンゲフンッ! 会長がお金に困っているとの事を小耳に挟みまして」


 ニコニコとしつつ、でも何かを期待するような笑み。

 私の頭の中に、ある光景がフラッシュバックする。


「……だったら、タマモに乃依姉ぇが直接渡せばいいよね」


 自分でもビックリするくらい冷たい言葉が出た。


「あ、あの……会……長?」

「私を介する意味が分からない」


 私の態度に、困惑する乃依姉ぇ。

 だが、何か自分がマズい事を言ったんだという事は分かったのだろう。


「あ……。こ、これは冗談! 冗談ですから。アハハハッ……」


 そう言って乃依姉ぇが、慌てて札束の入った風呂敷包みを引っ込める。


 けど、その背骨や芯のない態度は余計に私の精神を逆なでした。


「…………行こ。タマモ」

「え。ちょっと桃萌」


 乃依姉ぇを残し、私はタマモの腕を引いて家を後にした。


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