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玉藻とタマモは甘やかしたい  作者: マイヨ@貞操逆転男友達【5/29発売】


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14/18

第14話 そういうドキドキじゃないし……

「日本での生活も落ち着いてきたから、そろそろ私がとり憑くべき人を探そうと思うの!」


 夕飯が終わった所で、何やら改まって決意表明をするタマモに対し。


「じゃあ、男をダメにする有能なタマモさん。自分の食べた食器は、ちゃんと流しに持ってきてくださいね~」


「はーい。分かりました」


 お母さんが子供にお片づけを教えるみたいに号令をかけると、洗い物をしている私の所に、トテトテと皿を運ぶタマモ。


 何やら自信をつけているタマモだけど、まだまだ抜けた所が多いんだよな。

 男をダメにするには程遠い。


 まぁ、言われたら素直に動くところは良い子ではあるんだけど。


「学園で、誰か気になる人でもできたの?」

「いや、全然。男の子とはほとんど喋ってないし」


「じゃあ、ダメじゃん」

「だからお願い桃萌。ちょっと付き合ってよ」


「は、はぁ!?」


 な、何を言ってんの、この子は。

 そ、そんな……いくら私が有能だからって、女の私をそういう対象に見るんじゃ……。


「街中で有能男性を探す冒険に出よう!」

「却下。はよ風呂入れ」



 何かと思ったら、要はナンパされに行くって事?

 そんなの、絶対ダメだから。


 私もタマモも確かにビジュは良い方だから、街中で所在なさげにキョロキョロしてたら、格好のナンパの餌食になるよ。


 ったく。

 あの子ったら、本当に危なっかしいんだから。


「ふ~っ。いいお湯だった」

「随分お風呂の時間早かったけど、ちゃんと洗った~? って、髪ちゃんと乾かしなさいよ~」


「熱いから扇風機の前でやる~。あ~あ~。我々は宇宙人、ではなく玉藻様だ~」

「扇風機で乾かしたら、髪傷むでしょ。ちょっとこっち来な」


 食器の洗い物が終わったその足で、冷蔵庫に向かい、棒アイスを取り出しビニールを開けつつタマモの方へ向かう。


「え~。ドライヤーは暑くてめんどい~」


「ほい、アイス。これ舐めてな」

「わ~い♪」


 扇風機の前で体育座りしながらソーダ味の棒アイスをしゃぶっている隙に、タマモ用のヘアドライヤーで根元から髪を乾かしていく。


 ──まったく……。適当なケアしてきた割に、髪質柔らかいんだから……。


 ちょっぴりタマモの亜麻色髪の才能に嫉妬しつつ、髪を乾かしていく。

 髪が私以上に長いだけに、結構時間かかるんだよな。


「ありがと桃萌。はい、これあげる」

「あげるって何を……って、んぐっ!?」


 振り返りざまに、タマモが私の口の中に何かを突っ込む。

 口の中にヒンヤリとした冷気とソーダ味の爽快さが拡がる。


 溶けかけていたそれは、あっという間に口の中で儚く溶けた。


「んっ……。溶けかけだから、私に最後押し付けたな」

「えへへ。バレた~?」


「急に口の中に突っ込まれたから、アイスの溶けた汁が少しタマモの髪についちゃったじゃん」


 そう言いながら、タオルでタマモの髪を拭く。

 拭きつつ、ちょっと心拍を整える。


 ──べ……別に。急にアイスを口に突っ込まれてビックリしたからなだけだし……。そういうドキドキじゃないし……。


 そう自分に言い聞かせながら、私はタマモの髪を乾かした。


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