第14話 夜中の公園、友人と共に
俺達は、そのまま喫茶店を後にした。
茜と晴美さんはここから電車で二駅ほど行ったところに自宅があるらしく、徒歩で帰る俺とはここで別れることになった。
「また明日、雨宮さん」
茜が去り際、微笑みながら小さく手を振った。
「あぁ、また明日。奢ってもらって悪いな」
「いえいえ! そう言う約束でしたし」
「二人は本当に仲良いね〜」
手を振り合う俺たちを微笑みながら、晴美さんがニマニマと微笑んでいる。
結局、話してみても晴美さんの勘違いは解けていなかった。
そのまま別れるとここ、駅前から徒歩二十分ほどで着く自宅へと歩き始めた。
辺りは段々と暗くなって来ていた。公園や道の電柱が灯り始めて、なんだかあたりが幻想的な感じになっていた。
まるでラブコメの告白シーンみたいだな。
そんな道を、彼女いない歴=年齢の俺は、一人寂しく歩いて行く。
そんな幻想的な公園を横切るために、入り口を入って行く。
茜と歩いて来ていた時は子供でごった返して、騒がしかかった公園は、今じゃ人っ子一人もいなくなっていた。
四月中旬の夜だと言うのに、こんなにも暖かいのは、俺の前まで住んでいた東北の辺鄙な街とは大違いだ。
その時、横の道から二人の人影が見えた。
「お、拓翔じゃん」
その二人の人影から、俺を呼ぶ声が聞こえた。
驚いて振り返ると、そこには秋と瑞稀の姿があった。例のクラスの連中とのカラオケ帰りだろうか。
二人は存分に陽キャライフを楽しんでいるみたいだ。
「よう。秋、瑞稀。カラオケ帰りか?」
「うん、そうだよ。拓翔は?」
瑞稀が、覗き込むようにしてそう尋ねる。
「あぁ、茜と晴美さんと喫茶店行ってた」
俺の言葉を聞いて、二人は目を見開いた。
そして、毎度恒例の二人での内緒話タイムへと突入した。
「ねぇねぇ秋! 拓翔がどんどん茜さんと仲良くなってるよ……もし茜さんが記憶でも取り戻したりしたら私に勝ち目ないよ……」
なんて言ってるのかは聞こえなかったが、瑞稀の雰囲気と仕草から、何かしらに落胆しているようであった。
何を話しっているのかと近づいて聞き耳を立てようとすると、二人が俺から離れてまたもや内緒話を続ける。そんなイタチごっこが開始されていた。
もうバカらしいので、諦めて自販機でコーヒーを購入して近くのベンチに腰をかける。
二分ほど経っただろうか。二人は話を終えて俺の方へと来た。
「なんの話してたんだ?」
そう尋ねると、二人はガン無視して自販機でジュースを購入してから俺の両脇に一人ずつ座った。右に瑞稀、左に秋だ。
「そういえば、拓翔。茜さんはわかるけどなんで晴美さんまで一緒にいたの?」
俺の質問なんてなかったことかのように、瑞稀が俺にそう問いかけてきた。
「茜と喫茶店で話してたら晴美さんが乱入してきただけだ」
「ふーん……そっか」
「反応薄くないか? お前が始めた物語だろ?」
瑞稀の予想外の塩反応にびっくりしてしまった。いやいや、あんたが聞いたんだろ?
俺達の間には沈黙が落ちた。
別に気まずいとかではない。全員、特に話すことがないのだろう。
一見するとどっかの恋愛もののラストシーンに見えなくもないが、全然そんなことはない。
その後、二人がジュースを飲み干すと、秋の「行くか」という落ち着いた声で俺たちは立ち上がり、自販機横のゴミ箱にジュースの缶を投げ入れる。
帰りも、いつものように三人横に並んで帰って行った。




