第36話:殿、サツマイモで秋の外交を!
夏が過ぎ、布武宿の海岸は観光客でにぎわいを見せたまま、季節は秋へ。
布武丸は焚き火の前に座り、じっと黄金色の芋を見つめていた。
「……さつまいも!」
村人「殿、また新しいものを……?」
父上「その“芋”がどうしたというのだ」
俺は拳を握った。
「これ!あきの!おかし!てんかふぶ!」
―――
まずは“スイートポテト”。
焼き芋を潰し、砂糖とバターを混ぜ、こんがり焼き上げる。
甘く香ばしい匂いが村を包んだ。
子供「なにこれ!ほくほく甘い!」
大人「ケーキみたいだ!」
次に“鬼まんじゅう”。
蒸した芋を角切りにして小麦粉と混ぜ、蒸籠で蒸す。
「もちもち……! 芋がごろごろ!」
「お茶に合う!」
そして“芋ようかん”。
裏ごしした芋に砂糖を練り込み、寒天で固める。
「……上品な甘さだ……!」
「殿、これを都に持ち込めば……」
―――
案の定、宮廷からの使者がやってきた。
「布武丸殿、秋の茶会を開かれるとか。国王陛下が直々にご参加なさる!」
父上「ひ、陛下が再び……!」
俺はにやりと笑った。
「よし!いも!ぜんぶ!だす!」
―――
秋の宮廷茶会。
団子派、カステラ派、クッキー派、そして新興のケーキ派まで集まってざわつく。
「布武丸殿、今度は何を出す気だ……?」
「まさか……“芋”などと言わんだろうな」
だが運ばれた盆には、黄金色のスイートポテト、角切りの鬼まんじゅう、艶やかな芋ようかん。
国王が一口。
「……ッ!? これは……甘い……秋の大地そのものの味だ!」
貴族たちも次々に食べては驚愕。
「ケーキ派だが……これは認めざるを得ん!」
「団子と芋ようかんを合わせると……最高ではないか!」
「いやいや、スイートポテトの上品さこそ!」
……はい、また派閥争い始まりました。
―――
だが最後は国王が笑い飛ばした。
「布武丸!そなたの菓子は季節を超えて心を豊かにする。
秋の芋菓子、見事である!」
俺は芋ようかんを掲げ、叫んだ。
「さつまいも!あき!おかし!てんかふぶ!」
宮廷&村人「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」
―――
布武丸、10歳。
サツマイモで秋の菓子外交を仕掛け、宮廷を“秋派”に染めた秋の出来事である。




