第30話:殿、宮廷デビューでカステラとクッキーを!
国王視察から数か月。
とうとう正式に布武丸に召しがかかった。
「国王陛下よりお達し! 布武丸殿を宮廷に招かれたいとのこと!」
父上は仰天。
「布武丸……いよいよお前が……」
重臣は青ざめた。
「まだ九歳にして……宮廷デビューとは……」
俺は胸を張った。
「……おみやげ!かすてら!くっきー!」
―――
布武宿の村人総出で準備が始まった。
カステラは卵と砂糖をたっぷり使い、黄金色に焼き上げる。
クッキーは小麦と砂糖をこね、香ばしく焼いて甘い香りを漂わせる。
村人「殿!これは甘すぎるのでは……?」
俺「いい!これ、こくさいこうしょう!」
忍軍は護衛に付き、陶工は特製の菓子皿を作った。
もはや“お菓子外交軍団”である。
―――
そして宮廷。
大理石の広間、天井には金箔の装飾。
絹と宝石をまとった貴族たちが並ぶ中――
布武丸登場。
「なんだあの小僧は?」
「ただの子供ではないか」
「いや……あれが“味噌汁の御子息”……」
ざわつく貴族たち。
―――
俺は堂々と手土産を差し出した。
「これ!かすてら!これ!くっきー!」
国王は怪訝な顔をしつつも、ひと口。
「……ッ!? ふわふわ……甘い……!そして、この丸い菓子……サクサクと香ばしい!」
ざわつく貴族たちも我先にと手を伸ばし――
「なにこれ!うまい!」
「茶に合うではないか!」
「いや酒にも合うぞ!」
たちまち場はカステラとクッキーの宴会場と化した。
―――
国王は高らかに笑った。
「布武丸! そなたは不思議な子供よ。戦ではなく、菓子で民も領主も従わせる……その才、我が宮廷に必要だ!」
父上「は、ははぁ……!」
重臣「殿!これで我が家は安泰ですぞ!」
俺は胸を張り、黄金色のカステラを掲げた。
「かすてら!くっきー!てんかふぶ!」
宮廷の面々「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」
布武丸、9歳。
宮廷デビューを果たし、カステラとクッキーで貴族たちを従えた秋の出来事である。




