第31話:殿、宮廷はお菓子で分裂します
布武丸がカステラとクッキーを宮廷に持ち込んでからというもの――
宮廷の空気は一変していた。
「殿下、団子こそ至高! 串を掲げよ!」
「いやいや、カステラこそ王の菓子!」
「何を言う、クッキーはいつでもどこでも食べられる万能だ!」
……宮廷がまさかのお菓子派閥三分裂。
―――
お団子派は茶人や陰陽師を中心に勢力を拡大。
「団子は茶に合う、心を和ませる!」
「団子こそ和の魂だ!」
カステラ派は異国派の貴族が支持。
「カステラは異国の風! 豪奢で甘美!」
「外交はカステラで決まる!」
クッキー派は若い騎士や役人に人気。
「クッキーは兵糧にぴったりだ!」
「戦場にも持ち込める!」
……いや、戦国の権力争いが完全にお菓子合戦になってるんだけど!?
―――
父上は頭を抱えた。
「布武丸……これはお前の菓子のせいで宮廷が混乱しているぞ!」
重臣「もはや次期宰相は“どのお菓子を推すか”で決まるとか……」
俺は考え込む。
このままでは宮廷が割れて戦乱になる……
でも戦争は嫌だ。
ならば――
「……おちゃかい!ぜんぶ!」
―――
その日、布武丸は宮廷広場に大宴会を開いた。
巨大な茶釜を据え、味噌汁忍軍が団子を焼き、陶工が皿を並べる。
中央の長卓には団子、カステラ、クッキーがずらり。
「さぁ!すきなの!ぜんぶたべて!」
宮廷貴族たち「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」
―――
宴は始まった。
団子派「やはり団子が一番!」
カステラ派「いや、このふわふわ感こそ!」
クッキー派「サクサクが至高!」
……と叫びつつも、全員両手に三種のお菓子を抱えていた。
国王までも笑いながら叫ぶ。
「どれも旨い! 布武丸、そなたが正しい! 争いなど無用! すべて食えばよい!」
―――
こうして宮廷お菓子戦争は終結した。
むしろ「お菓子三種をそろえてこそ真の政治家」という妙な基準が生まれた。
父上「布武丸……お前はまたしても宮廷の秩序を変えてしまったな……」
俺はカステラを齧りながら胸を張った。
「だんご!かすてら!くっきー!てんかふぶ!」
宮廷&村人「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」
布武丸、9歳。
宮廷権力争いを“お菓子推し合戦”にすり替え、すべて平らげさせて平和にした冬の出来事である。




