第17話:殿、海賊は味噌汁で改心します
港町「布武宿」ができて数か月。
塩や魚が交易に流れ込み、村はますます豊かになっていた。
……だが、それは新たな脅威を呼ぶことにもなる。
「海賊が出たぞーっ!」
漁師たちの悲鳴とともに、黒帆を掲げた船団が港に迫ってきた。
舵を握るのは筋骨隆々の男たち、腰には曲刀、顔には傷。
どう見ても“話が通じないタイプ”。
―――
父上「布武丸!すぐに避難せよ!」
俺「……にげない!つかまえる!」
兵士「殿!?無茶でございます!」
だが俺の頭にはすでに計画があった。
――海賊は潰すより利用すべし。
交通を押さえる者こそ、天下を制すのだ!
―――
港に降り立った海賊団が、村を威嚇する。
「おい領主!米と醤油を差し出せ!」
「さもなくば火を放つぞ!」
村人たちは怯え、兵士は剣を抜いた。
だが俺は両手を挙げて叫んだ。
「まて!みそしる!」
海賊「……は?」
―――
その場に大鍋を運び出し、湯気立つ味噌汁を差し出す。
大根、魚、海藻入り。港町スペシャルの“海の味噌汁”だ。
「……なんだこれは?」
「のめ!あつい!うまい!」
海賊の頭領が渋々啜る――
「……ッ!? う、うまい……!」
次の瞬間、仲間たちも我先にと鍋に群がった。
「なんだこれ!しょっぱいのに旨みがある!」
「体があったまる……!」
「こいつは……妙汁以上の秘宝だ!」
―――
父上「布武丸……本気か?」
俺「うん!なかまに、する!」
結局、海賊団は全員が味噌汁に降伏した。
「これほどの飯をくれるなら、船を貸す!力を貸す!」と泣きながら土下座する頭領。
父上は呆れ果てていたが、結果的に港の治安は安定。
海賊たちは布武宿の“海軍”として雇われることになった。
―――
村人たち「殿すげぇ!海賊まで味噌汁で従わせた!」
「これで海も安心だ!」
俺は海を見渡し、胸を張った。
「みそしる……うみ……てんかふぶ!」
布武丸、5歳。
味噌汁で海賊を捕らえ、外交と海軍を手に入れた春の出来事である。




