第16話:殿、宿場町と海を繋げましょう!
街道外交が成功し、隣領との道は整備された。
旅人も商人も増え、村はまるで小さな宿場町のように賑わい始めている。
「殿、最近は宿を貸してほしい旅人まで出てきましたぞ」
「うちの納屋を使わせたら、味噌玉三つで泊まっていったぞ!」
……味噌玉が通貨代わりになってるのはどうかと思うけど。
いよいよ本格的に“宿場町”を作る時が来た。
―――
俺は棒きれでまた地図を描く。
「ここ、みせ!ここ、やど!ここ、いちば!」
村人は目を丸くする。
「殿……ただ泊まるだけじゃなく、市まで?」
「そう!ひと、もの、あつまる!」
父上も腕を組んで唸った。
「なるほど……道の真ん中に人を集めれば、交易が加速するな」
―――
さらに俺は地図を伸ばし、遠くを指差した。
「ここ!うみ!」
「海?」
「まさか、そこまで道を伸ばすつもりか!」
そう、俺の狙いは港町。
海へ道を通せば、塩も魚も交易品も一気に入ってくる。
しかも戦略的には、海路こそ天下統一の近道だ。
―――
翌日から、村人総出の開墾が始まった。
森を切り開き、沼を埋め立て、丘を削る。
「殿、こっちは地盤が緩い!」
「砂利を入れれば固まる!」
「殿、川が氾濫しそうだ!」
「水路をこっちに!」
地質学知識とオタク考古学を総動員し、俺は道を導いた。
―――
そして数か月後。
村と村を結ぶ宿場町が生まれ、海へと続く街道が完成した。
漁師が港を開き、商人が塩や魚を運び、旅人が噂を広める。
「殿のおかげで、海の幸が食えるようになったぞ!」
「味噌汁に魚を入れたら最高だ!」
……結局そこに落ち着くんだな。
―――
やがてこの宿場町は「布武宿」と呼ばれ、
海と陸を繋ぐ交易拠点として栄えることになる。
俺は港に立ち、波の音を聞きながら呟いた。
「みち、うみ、てんかふぶ!」
村人たち「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」
布武丸、5歳。
街道を海に繋ぎ、宿場町を築いて交易の時代を切り開いた夏の出来事である。




