第18話:殿、異国の調味料で天下布武
港町「布武宿」が発展し、海賊も味噌汁で従った頃。
ついに――異国の船が港に現れた。
帆には見慣れぬ紋章。
船員の肌は浅黒く、髪は巻き毛、服は鮮やかな赤や緑。
そして甲板から降りてきたのは、大きな荷を背負った商人風の男だった。
「ワタシ、トオキョウ商人。コノ村ニ、アタラシイ味、モッテキタ!」
村人たち「おおおぉぉ!」
俺「しょーゆ?みそ?」
商人「ノンノン!コレ、“オリブオイル”!」
―――
大樽を開けると、中には黄金色の液体。
鼻を近づけると、ほのかに青い草のような香りが広がった。
「これ……あぶら?」
「そう、果実カラ搾ル、体ニヨイ油!」
俺は味噌汁オタクでありながら、歴史マニア。
知っている。オリーブ油は健康食材!
戦国時代どころか、この異世界に革命を起こすアイテムだ!
―――
商人はさらに袋を取り出す。
「コレ、“スパイス”。肉ニフリカケル、旨サ倍増!」
中からは胡椒のような黒い粒や、赤い粉が現れた。
村人たちは目を丸くする。
「な、なんだその香りは!」
「くしゃみ出そうだが……なんか食欲が湧く!」
俺は拳を握った。
「これ!つかう!てんかふぶ!」
―――
すぐさま試作。
味噌汁に胡椒を一振り――
「うっ……辛い!でも、うまい!」
焼いた魚にオリーブ油を塗る――
「なんだこれ、香りが変わるぞ!?」
煮物に赤い粉を入れる――
「からっ!でも体が熱くなる!」
村人たちは大興奮。
味噌と醤油に続き、新しい調味料の世界に足を踏み入れてしまったのだ。
―――
だが問題が一つ。
商人「コレ、タダジャナイ。塩ト同ジ、金ト交易!」
父上「……布武丸、これは外交問題になるぞ」
確かに。
調味料は戦略物資。
胡椒ひと粒が金一枚なんて時代もあったのだ。
俺は味噌汁を啜りながら、真剣に考えた。
「……こうしょう……みそ……しょーゆ……」
そうだ。
異国調味料×和調味料のセット外交!
―――
後日、港で盛大な宴が開かれた。
味噌汁にスパイスを加えた“スパイシー味噌汁”。
魚を醤油とオリーブ油で焼いた“照り焼き風”。
異国商人は大喜び。
「オーマイ!コレ、ウチノ国デ売レル!」
そして取り引き成立――
オリーブ油とスパイスを仕入れる代わりに、
味噌と醤油を“異国へ輸出”することになった。
―――
村人「殿、とうとう海外進出だ!」
父上「布武丸……お前、本当に天下を取るつもりか……?」
俺は胸を張った。
「ちょうみりょう!せかい!てんかふぶ!」
村人たち「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」
布武丸、5歳。
異国商人と調味料外交を結び、天下布武がついに世界規模になった夏の出来事である。




