表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女に愛された侯爵令嬢は愛を貫く決意をする  作者: 樋口 涼
異世界から来た少女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/25

1

その場に居る皆が唖然とする中、テーブルの上に居る事に気が付いた彼女は、慌てて降りようとする。

それにいち早く手を差し伸べたのは、珍しくブランだった。


「大丈夫ですか?」


皆より動揺が薄いブランが、彼女に声をかける。

灰色の髪が静かに揺れ、肩から滑り落ちる。


長い指先が彼女の手に触れ、目が合うと、一瞬少女は硬直した気がした。

おずおずと彼女は頷きながら、床に降り立ち服を正す。

見た事がない形状の服…その形にセピアは驚いた。


(あ…足が見えている!)


それに気が付いた男性陣が、一斉に目を背けたが、ブランだけが身に着けていた上着を脱ぎ「失礼」と言いながら彼女の腰に巻いた。


その行動に少女は困惑の色を浮かべていたが、何となく流れに任そうと言う意思が見て取れた。

派手な音と閃光にしては、テーブルの上に在ったであろう紙類が舞い、ティーカップ達が倒れているくらいで、部屋に破損は無かった。

その場に居た者達にも大した被害はない。


恐らく、風の聖人ブランが風魔法で周りを防御し、聖女が皆の目を閃光から守ったのだろう。

呼ばれたメイド達が光の速さで、テーブルを整え新しいお茶をセットする。


そして、兵士達と共に去ると、部屋には最初に居た王と王息。

四人の聖人と聖女。

そして、現れた少女と…去るタイミングを逃したセピアだけになった。


「あ…」


この場に自分は『必要が無い』と、セピアが退出しようとした時だった。

少女が声を出した。


「あ!待って!行かないで!」


セピアの元へ駆け寄り、腕を掴むと懇願する様にぎゅっと身を縮めた。

皆が目を見開く。


いきなりセピアへ突進した少女へ、オールの横に居るロホが火魔法を、その隣のマホンが木魔法を発動する体勢になり、オールの前に座る聖女が何かをしかけていた。


それに反応してか、アスールが水魔法をロホの周りに張り巡らせ、ブランはセピアと少女の周りを風で取り巻いた。


「落ち着け」


渋く威厳のある声が部屋に響く。


「害はなさそうじゃ」


声の主はグリ・ソヴァール。

この国の王でありオールの父親だ。


王の声に皆、魔法を消し、背筋を伸ばした。

少女だけが、セピアにしがみ付き少し震えている。

顔も青ざめてはいたが、話し出した王の方へ顔を向ける余裕はあるらしかった。


「少女よ、名は何と言う」


ブランに続いて、王もまた皆に比べて落ち着いていた。

王たる者の態度で、彼女へ向く。

セピアの横で震えながら、テーブルの上に現れた少女は『立花勇』と名乗った。


「立花…勇。か」


何やら王は、思い当たる節があるかの様に振舞う。

その王に、ブランが姿勢を向き直した。


「申し訳ございません、ソヴァール陛下。少々軸がズレた様です」

「…その様じゃな」


二人は勇の出現に驚いたものの、存在自体には驚いて居ない様だった。


「どういう事ですか?」


少し顔を王に向け、オールが聞く。


「…その者の事をご存じなのですか?」


息子の問いに答える前に、王は皆に椅子に座る事を促し、セピアも少女と共に同席する様告げられた。

少女がその場から動かない為、皆から離れた扉の側に椅子が用意される。

隣り合った椅子で、腕が組まれ…オールと聖女からの視線が、セピアは痛く感じた。


「まず…何から説明しようかの」


王はどっしりとした体格を椅子に預け、顎に手をやると少々長めの髭を親指で撫でた。

髪と同じく金色の髭は、柔らかそうに親指に押しやられるが、すぐに元の位置に戻る。

金貨の様な目が細くなり、思案している様子が窺えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ