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「オールには言ったの?」
「…わしとお前の関係か?」
「ええ」
(関係!?)
「で、どうする気?」
「どうもこうも…せん」
「オールはいつ王太子になるの?」
「…お披露目会の後だ…」
「そう…金の目を持つのは私なのに?」
全ての歴代王が、金貨色を受け継いできた。
金貨色の目は王族の印とも言えるからこそ、王と聖女が親子だと言われている。
「平等だなんだと言いながら、結局は『息子』ね」
「そういう事ではない」
「そうでしょう?正当な本当の王の娘である私は成れないもの」
(正当な本当の王?)
まるで他に王が居た様な聖女の言い方に、疑問をセピアは持つ。
「自分でも分かっているでしょう?私の父…貴方の兄が自死して貴方が継ぐとなってから金貨色に変わった事」
(父!?変わる?)
思わぬ話題に、セピアは目が丸くなる。
「貴方もそもそも金貨色に近かったからバレていないけれど…今回は私が居るのよ」
「お前は…聖女だ」
「えぇ。聖女ね。お母様の血が銀の髪をくれたわ」
「それ以上に何を望む」
「セピアよ」
(私!?)
「セピア嬢は…オールの婚約者だ」
「婚約破棄されるかもと不安にさせておいてその言い草?」
「オールは婚約破棄などしない。させはしない」
「あら?どうして?」
「わしを継ぐ者の横に、セピア嬢は必要だ」
「優秀で優しく…強い。ものね…」
「それだけではない」
「他に何かあるの?」
二人の会話に、セピアはドキドキと胸が高鳴るのが分かる。
自分に封印されていた力以外にも、何かあるのかと。
知らない自分を、他者が知って居る居心地の悪さは有るが、相手は自分よりも何十年も生きている立派な大人の上、王だ。
「セピア様」
「はい!!」
二人の会話に集中して、メイドが声をかけている事に気が付かなかったセピアは、思わず声を張り上げた。
「?…お風呂の準備が出来ました」
「あ。はい」
二人の会話の続きを聞きたい気持ちが在ったが、メイドにそんな事は言えず、セピアはお風呂へ足を向けた。
(…王様と聖女様…叔父と姪だったのね…)
メイドに頭を洗われながら、聞いた話を反芻する。
長子継承のプリシカ国で、王に兄が居た事等一度も聞いた事が無かった。
(自死って言っていたから…)
隠されたのだろうなと、思い至る。
(それにしても…気配で話の内容まで聞こえちゃうなんて)
封印が解かれ、まだ制御しきれない所為で立ち聞きの様な事をした事を、セピアは恥じた。
「気を付けよう…」
「どうかされました?」
「ううん。大丈夫」
(あれ?それにしては勇さんの方、何も聞こえなかったなぁ)
最近は泣き声も無く、落ち着いて来た様子の勇だから、不思議ではないとセピアは考えた。
(まぁ…二人の会話に集中してしまったし…)
身体を洗われ、温もりに身が蕩けそうになりながら上がる頃には、人形の様にされるがままのセピアで、ベッドに転がされていた。
「オイルマッサージね」
「はい」
「貸して。私がやるわ」
夢心地のセピアの体に、人肌の暖かさになったオイルが垂らされる。
眠い瞳でドアの方を見ると、メイドの後ろ姿が見えた。
(あれ?…)
「セピア…」
耳元で聖女の声が聞こえた。
「マッサージしてあげるわね」
オイルを持ち、垂らしているのは聖女だった。
一瞬身構えたが、身体を調べてくれた時に何もされず無事だった事と、さっきの盗み聞きの負い目があって、セピアは拒否できない。
「あら。大人しいわね」
そう言ってパンツだけ、着けたセピアの背中をマッサージする。
「背中。綺麗よ」
もう封印も何もない。
「ありがとうございました」
セピアはお礼を言ってなかったなと、薄目の中、聖女に礼を言う。
「ふふふ。良いのよ…」
「貴女は元気でいてくれたら…それで良い」と言うと聖女はセピアをベッドの上で転がした。
仰向けになったセピアの、一糸纏わぬ上半身が聖女の目の前に現れた。
「あぁ…貴女は本当に綺麗」
そう言うと、聖女はセピアの臍の上、紅い痣に口付けをした。




