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事のあらましを、各々がテーブルに着いた後、アスールにロホが説明する。
すると、アスールは軽く伸びをした。
「あなたねぇ…王の御前よ」
ロホが深いため息を吐くが、アスールは気にも留めない。
「封印が解かれて、なんか変わった?」
明るい調子でアスールに聞かれ、セピアは面食らってしまう。
(変わった…事…)
「力が…在るなって…」
「それくらい?」
セピアの中で、察しが良くなったのはよく分からないからと、言わなくてもいいと判断した。
「ええ…」
「さっき解かれたばっかりだから、セピアも慣れていないし混乱してるのよ」
「分かりなさいよ」と、ロホが付け加えた。
「ふーん。じゃあ、もう悩まなくて済むな」
アスールはニカッと笑う。
いつもより幾分陽気な彼は、少しお酒が入っているのが窺い知れた。
「あなたねぇ…」
呆れ顔のロホが「酔ってるわね?」と指摘する。
「否、酔ってない」
「嘘だわ。左頬も紅いわ。…どこかで酔って寝てたんでしょ」
左頬の紅さを指摘されると、アスールの肩がビクッとなる。
(違うのかしら)
セピアは何となく、アスールが酒とは違う事を指摘された様な風に動いた。と、感じた。
居心地の悪い様な、後ろめたい空気がアスールに纏わり付いた気がしたのだ。
「寝てないよ…これは…その…」
「なぁに?それとも誰かに叩かれた?」
「いや、まぁ…」
照れる様にアスールが笑い、ロホが「女の子ね」と呆れて言ったが、セピアはアスールの反応がいつもと違う様に見える。
(誰かに叩かれたのは合ってそう…だけど)
聖人を叩く人などいるのだろうか。と、セピアは疑問に思う。
ロホが言う「女の子」はアスールの場合、たまにあるが…。
アスールのぶち壊した空気に、王もオールも…聖女までが呆気に取られ、話をどこまで言えば良いのか、続きはどうするべきなのか悩んでいた。
「まぁ、俺の事は良くて…セピア嬢の話だ」
ロホを躱す為に、アスールは話を戻す。
「変わった事がないならさ、解決したって事でいいじゃん」
あっけらかんと言い放つアスールに、聖女は苛ついた。
「軽く言わないで」
聖女の視線に、怯む事無くアスールは向き合う。
「確かにセピア嬢からしたらアレだけど。今後どうするかが大切じゃないっすか?」
「そう…だな」
アスールの言葉にオールが同意すると、ロホとマホンも頷いた。
「セピア嬢には力に慣れて貰って、騎士や護衛レベルに抑えてもらえりゃ問題ないでしょ」
アスールの提案に王が頷く。
「それでもした事が」と、聖女は反論したが、当のセピアがどうしたいか問われ、アスールの案に賛成なのを聞くと黙った。
「…セピアが良いなら…良いわ。大丈夫なら…それで」
大人しくなった聖女は、セピアの心配だけを口にした。
「そうですね。それに…少し、落ち着きたいです…」
いきなりですから。と、疲れた表情をセピアは見せた。
それを見て、皆が夜も更けた事を思い出し、早々に部屋へ引き上げて行った。
「セピア、今日は一緒に居るわ」
聖女が先に寝室へセピアを押し込めながら言う。
何かあったら抑えられるのは聖女だけだと、王もそれを推した。
王に言われれば、セピアに反論は無く、退室直前にその話声が聞こえたオールも反対できなかった。
「先に支度をしときなさい」
聖女がリオナの代わりのメイドに、セピアのお風呂を頼む。
そして、応接間に王と二人残るとドアを閉めた。
メイドの準備を待つ間、ベッドに座っていると応接間の声が聞こえた。
どうやらメイドには聞こえていないが、自分には聞こえているらしかった。
「何を話しているのかしら…」
聞き耳を立てる事は不作法だったが、セピアは好奇心に駆られた。




