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次の日起きると、セピアの身体は楽になっていたが当分の間、調査と言う名の外出は自粛を余儀なくされた。
「お身体を大切に」
そう言ってメイドはベッドから出してくれず、強制的に休養させられる。
出られるのは王妻教育の勉強の時だけ、食事すらも部屋で摂らされ、ほぼ監禁状態だった。
それが何日も続いた。
「勇さんは?」
「聖人様が付いていらっしゃるので大丈夫です」
「外に出たいのだけど」
「王様か王息様、聖女様の許可が必要でございます」
「ロホは?」
「ロホ様は勇様とご一緒です」
淡々と答えはするものの、一向に部屋の外へ出してくれないメイドに、大丈夫だと言い続けた。
それでも「駄目です」と、頑なに阻止するメイドに、時間が経つにつれ、日が過ぎるにつれ、強行突破をかけようかと一瞬考える。
(でも…お世話になっているし…)
ここへ来た時から付いてくれている、初老の女性メイド。
リオナに迷惑をかける事を考えると、実行できずにいる。
それに、時折だがロホも勇も顔を見せに来てくれる。
(オール様だって来てくれた…)
今日、ロホが持ってきた、ベッド横のおすすめの本3冊が「外、出なくても良いんじゃない?」と訴えかけてくる。
(『タイトルの無い本』も『やり返しては死ぬ』も気になる…ロホの一番は『死に戻りの巻き戻り』らしいけど…)
布団を握りしめ、小さな声で唸っていると、部屋がノックされた。
「少々お待ちください」
リオナが訪問者の確認に行く。
案内されて入って来たのは、両親と聖女だった。
「お母様!お父様!」
「セピア!大丈夫なのかい?」
二人共セピアに駆け寄ると、抱きしめた。
「大丈夫よ、心配かけてごめんなさい」
セピアは両親の腕の間で、ぎゅうぎゅうと圧迫される。
少し苦しいが、それでも最後に領地へ帰ったのは半年前だ、久しぶりの再会に純粋に嬉しさがこみ上げてくる。
「セピアが苦しんでますわ」
聖女が二人に手を緩める様、促すと漸く両親はセピアから離れた。
「本当に心配したんだよ」
父親がセピアの頭を撫でる。
「倒れたって聞いたから…気が気じゃなかったわ」
母親もセピアの手を両手で握りしめた。
「大丈夫よ。あの日はただ寝不足だっただけよ」
部屋の壁に設置された鏡に映る、両親の髪の色と目の色は、セピアとあまりにも違う。
両親と同じ髪と目の妹の姿が、ここに無い事にセピアは気が付いた。
「リーベは?」
「あの子は今日、学校で来れなかったの」
「そう。…会いたかったわ」
「また家に帰った時会えるさ」
「そうね」
(学校か…いいな)
セピアは家庭教師で、同年代と勉強はしない。
覚える事が多すぎて、同じ速度では『全て遅い』のだ。
その代わり、同世代と交流する場も設けられはする。
お茶会や夕食会がその場になる。
(今月はまだしていないから…リーベも来れる日に…)
帰省する前に妹に会いたいと、考えるセピアだったが、目の前の両親は何か言いたげな顔をしていた。
「…どうしたの?」
心配して来たにしても、領地から王城まで転移魔法を使っても遠い距離だ、何か他の要件もあるに違いないとセピアは考えた。
「セピア。心配して来たんだよ。お前を」
倒れたセピアの為、聖女が両親を迎えに来たと言う。
「そしてね。…言いにくいんだが」
「何?」
「お前、先祖の…ノアール国の事を調べているんだってね」
聖女からそう聞いたと、父親は暗い顔をする。
母親の手にも、力が入った。
「えぇ」
「…調べるのをやめる訳には行かないか?」
父親の言葉に、セピアはびっくりし目を見開いた。
「どうして?」
「あの国に…ノワールに関わって欲しくないんだ」




