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立花勇は、セピア達と同様16歳の少女だった。
高2という者らしい。
「高2?」
「あ、高2って言うのは高校と言う学校の年生で…」
プリシカ王国には学校は有れど名称は違う為、勇はどう説明したらいいか悩んでしまう。
「まあ、細かい事はいいわ」
ロホが流し、話を先に進めようとする。
彼女の魂胆は分かっている。
異世界がどんな所かが、知りたいのだ。
もちろん、セピアも同じだった。
「王はどんな人?どんな生活をしているの?移動とかはやっぱり魔法?どんな魔法があるの?服が見た事ない形をしているけれど、足をそんなに出しても平気なの?本とかってある?どんな内容がある?」
矢継ぎ早に聞くホロの目は、らんらんとしていた。
勇は「えっと、あのっ」と繰り返し、答える暇もない。
「ロホ!」
見かねたセピアが止める。
「勇さんが困ってるわ」
「あっ…」とロホは我に返る。
「ごめんね。勇さん、私もロホも…隣国の…その…異世界転移とかの小説が好きで…」
本全般が好きだが、最近の作者はそれが多くてよく読んでいるのだ。と付け足す。
流行がそれなので、勇の世界が気になるのだと。
「あはは。こっちもなんですね」
勇が破顔する。
異世界でも本は発行され『転移物』や『転生物』が流行っているのだと言う。
そして、彼女も読書が大好きなのだ。
打ち解け始めた三人は、夜も更ける中、夕食も部屋に運んで貰うと、ずっと話していた。
勇の世界でも国が色々あり、各国の中で投票や王政の様に血筋での政治が行われている。
そして、本や外国には女王や王子…王女が居るが、勇の国に王は居ない居らず、代わりに総理大臣と言う代表と、多数の政治家で国を運営していると言う。
魔法使いは大抵男手、女性ならば魔女と呼ばれ、双方悪かったり善良だったりと、敵役や味方で物語に登場する。
勇が大好きな人魚の物語も、聞かせて貰った。
「物語としては…似た感じね?」
ロホがふむふむと頷く。
「でも…女王って、女性中の一番上って事?王女は王の子ではないの?」
「女王は王よ。女性の王を女王と言いうの。王女も王の子供。ここは違うの?」
「えぇ、女性でも男性でも『王』は『王』よ」
「王の妻は?…こっちでは王妃と言うんだけど」
「そうね、王が男性なら王妻様、女性なら王夫様かしら…」
セピアの答えに、勇はぽかんとする。
「慣れ無さそう…」
「でしょうね」
お互いの相違点を笑い合う。
王息ではなく王子。
王娘ではなく王女。
男女で区別する事に、セピアもロホも慣れない気分だ。
ロホは特に、勇の世界では自分も『聖人』ではなく『聖女』と呼ばれると言うのに、心底驚いた。
「位の話は…どうなるんだろう」
プリシカ王国では教皇と聖女が最高位だ。
それに続いた属性に特化した者が『聖人』とされる。
「教皇は…男性?」
「そうね」
そこで三人はあれ?っと、違和感を覚える。
王や王の子達…それ以外でも呼称や存在として男女の区別を付けない王国で、何故教皇だけが『男性』として決定して、『聖女』が女性なのか。
「…」
黙ってしまったセピアとロホ。
二人の様子を「要らない事を言ったかも」と、不安になる勇。
「な…何か、ほら、隣の国とかの影響が有るのかも?」
勇はわたわたと手振り身振りをして、空気を変えようとする。
「そうかも…昔から…それが、邪神に関わる事でもあるのかも知れない」
真面目な顔でセピアは呟いた。
「邪神について調べたら、面白い事が分かるかも知れない」
セピアは何となくワクワクし始めていた。
そして、それはプリシカ王国の建国と繋がりがあり、セピアの先祖が居たと言うノワール国にもつながるかも知れないと思えた。
「勇さんが帰る為と、私の先祖を知る為に…調べてみようかな」
紅茶を興奮で渇き始めた喉に流す。
ロホは怪訝な顔をしたが、勇が帰りたいと思っている事を聞いて、それもそうだと共感した。
「関係ないかも…知れませんよ?」
「関係なかったら無いで良いのよ」
勇のあまり希望を持っていない声に、セピアは答える。
「だって、私の魔力の衰退原因が分かるかも知れない」
ロホが納得した表情を浮かべた。
「可能性が有るのだもの。やりましょう?」
セピアは勇に微笑むと、彼女も意を決したのかしっかりと頷いた。




