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第一話 〜補習〜

 六波羅光一は補習を受けるために指定された教室に入った。


 補習。それは、成績が足りなかったりすると受けさせられる、例のアレだ。

 と言っても、六波羅は試験に落第したから補習を受けている訳ではない。自動車に轢かれてしばらく入院していたため、その分の遅れを取り戻せるようにと優しい優しい担任が予定を組んでくれたのだ。


「はぁーあ。め〜んどくせぇ……」


 六波羅は椅子にドスンと腰を下ろしながら小さくボヤく。

 すると、隣のクラスメイトが声をかけてきた。


「六ちゃん。めんどい眠い分からないの三拍子揃った補習の世界へようこそ。お前もこれから一週間、ここの住人だな」


 このクラスメイトの名前は伏見秀才(ひでとし)。折角親から「秀才」なんて大層な名前を貰っているのに万年補習に追試の馬鹿な奴だ。あと、こいつには彼女がいるらしい(本人談)。

 ちなみに俺用に組まれた補習なのに何故こいつがいるかと言うと、馬鹿過ぎてどの単元だろうが補習が必要らしい。


「うるせぇ。眠いとか言ってるからお前は万年補習なんだ。少しは努力しろ。ていうか六ちゃんって呼ぶな」

「んな。努力すれば出来るってのは勝ち組の理論だろー。そんなものは俺には当てはまらないのだ。キリッ」

「自分で“キリッ”とか言ってんじゃねえよ……」


 軽口を叩き合いながら、六波羅は鞄から数学の教科書を出す。


「はいは〜い。数学やるから〜。早く教科書出せ〜」


 生徒には割と容赦がないことで知られる、巨乳にポニーテールの担任が入ってきたところで雑談は終了する。横目で見ると、早速伏見が数学の教科書を忘れていた。


 これから見るであろう地獄に対して覚悟を決める六波羅であった。


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