第27話
高校の最寄り駅に集合する
電車に乗って数駅で目的地に到着する
三泊四日ということもあって玲子以外の全員が大荷物だ
「もし忘れ物があってもすぐ戻れるから安心ですね」
和樹は歩いて朱音島という場所へ行く
もう十年以上行っていない場所であり、しかも祭りもないのに行くのはもはや人生初めてだ
ケの日の町並みを見回す
階段を上がりきってようやく神社が見える
「お待ちしておりました、私が巫女長の岩戸舞です」
「しばらくの間よろしくお願いします」
和樹はこの神社の管理人に挨拶する
「玲子、部屋は空けておきましたのでご案内して」
言われると玲子に先導されて本殿に併設された建物に入る
その時に掃除をしていた一人の青年が目に入る
平屋の部屋に行くと玲子が鍵を鍵穴に刺す
「ここが女子の泊まる部屋だよ」
中は神社らしく和室になっていて、奥には露天風呂もある
「ここならゆっくりできそうだね」
珠兎が最初に部屋に入る
「先生はどうするの?」
愛莉が聞く
「…」
「玲子ちゃん?」
「…!」
話しかけても上の空でもう一度呼びかけてようやく現に戻ってくる
「…はい」
玲子は番号のついた鍵だけを渡して部屋に入っていく
「先生…勝手に入っちゃだめだからね」
珠兎が戒める
「入らないよ…ただ何かがあったら言ってね」
和樹も渡された鍵の番号の部屋に向かう
部屋に荷物を置いて、和樹は外に出る
先ほど見覚えのある顔が居た気がする
「やっぱり幸斗か…」
かつて剣道場でライバルだった男と会う
ただ同級生なのに自分より圧倒的に身長が低く、若くも見える
「和樹か…」
どこか幸斗は驚いた顔をする
「刀は…持っていないんだな…」
「やっぱり足の怪我は完全には治らないみたいだ…最近傷口が開いちゃってね」
和樹はヘラヘラと話す
「そうか…」
ライバルと戦えないことになのか幸斗は残念そうな表情をする
「玲子が言っていた団体は君の団体だったんだね」
「そうだよ、まさかこんな形で君と再会するとは思わなかったけど」
「お爺ちゃんの墓にでも手を合わせに行くかい?」
「そうしよう」
二人は朱音島を出る
森の中の階段を上がり、見知った道場に行く
しかし、何カ所は腐食や劣化で崩れている
そして一つの墓石を見つける
「皆ここで眠っているんだ」
「うん」
幸斗が頷く
二人で手を合わせる
(ただいま…ごめんね、すぐに戻ってくる勇気が湧かなかったんだ)
心の中で墓石の人たちに謝る
神社に戻ると何やら巫女がひしめき合っていた
「あんたどこに行ってたの!」
巫女のうち玲子と同い年くらいの女の子が幸斗に向かって叫ぶ
「あんたみたいな無能が舞様と一緒に住んでるってことでも腹立たしいのに、唯一できる掃除もしないで!」
見た目の年齢としては幸斗と同じくらいだが、実年齢はおそらく全く違う
「幸斗は…」
「いいんだ」
自分が言おうとする前に幸斗が止める
「どうしたんですか~?」
本殿から巫女長が出てくる
「いえ…ただ幸斗さんが神社から居なくなっていて心配していただけです…」
「そうですか…」
その女が嘘を言うとまた巫女長は戻っていく
それに合わせて幸斗と和樹は部屋に行く
和樹の泊る部屋で二人きりになる
「見たでしょ?これがうち、男の人権がない場所」
この神社は将来の巫女養成に力を入れているが、巫女は女性しかなれないため必然的に自分と同じような状態になる
「似たもの同士だな…僕も学校では人権がないんだよ、同じ理由でね」
そんな笑い話をした後、幸斗は出て行く
そして夜が明ける




