第22話
朝に和樹が学校に入ると、玲子の声が聞こえる
気になって剣道場に入っていくと、どうやら朝練を剣道部の先生としているようだ
こちらがメインの部活ということもあり、機敏さは目を見張る物がある
練習が終わったようで、先生に礼をして片付けをする
彼女は隣町の巫女を育てる寮から通っており、将来的には家の方の神社に戻って親の仕事を手伝うらしい
そのためにも厳しい教育を受け、所作も整っている
どうやらこちらに気がついたようで、鋭い目をしながらこちらに歩いてくる
「なんですか、剣道どころか運動もできないのにのぞき見なんて気持ち悪い……あんたみたいなオスなんかこの学校から消えればいいのに」
そう言って自分の横を通り過ぎる
「は~い、“なぜ”と聞かれたら“ば”を探しましょう、これの訳は“~なので”となっているため理由を聞かれる問題の答えになりやすいです」
もうすぐ期末試験なので期末試験の問題を解きやすいように解き方の説明をする
「前にも言いましたが、問題文と本文は何回も読み返しましょうね、何度も読んですりあわせるのが大切なんですから」
和樹はそれだけを言い残して残りの時間を自習にする
頭の中では期末テストに出す問題を考えていた
前期よりも読解の要素が強い問題にしようと思っているが題材が決まらない
和樹は教科書にある文章を漁る
(伊勢物語か…)
すでに他の先生から試験で出したり授業で扱った文章については話をされる
伊勢物語で扱ったのは筒井筒で他は全く触れていないそうだ
(だったら僕の読んでいる文章は使われていないな)
和樹は伊勢物語の中からある段を選ぶ
期末試験がないため同好会では特段の活動をしない
どちらかというと皆は教室を使って勉強会をしている
その様子を少しだけ見て、和樹は職員室に行く
「和樹先生」
職員室で里見先生に話しかける
「どうしました?」
「期末試験の題材が決まらなくて…」
由衣奈先生も今年から来た先生なのに二学年分の問題を作らされて大変そうだ
和樹はすでに担当する二学年の題材が決まっているので問題ない
「僕もついさっき決まったばっかりですよ、焦らなくていいんじゃないですか?」
「いえ…私はお仕事が遅いので早めに決めないといけないんです…」
確かに由衣奈先生はテンパりやすく、よく教科主任に納期遅れやミスで怒られている
かく言う自分も不真面目すぎると教頭に怒られてはいる
「一旦、安パイな源氏物語にしたらどうですか?」
「あ…ありがとうございますぅ…」
言われて先生は自席に戻る




