第20話
二人は石の谷を歩いている
杖は折れてしまい、体を支えられなくなっているため、代わりに智彼が和樹の体を支えている
智彼は付いた尻餅で土まみれに、和樹の体もボロボロになっている
「大丈夫…大丈夫ですから…」
和樹は男性恐怖症の智彼がわざわざ自分を支えなくていいと言っているが、智彼は運び続ける
石の谷を出ても森で、夜の暗闇の中を歩き続ける
いつの間にか、日が昇り始めたときに、出口となる光の筋が現れる
少しずつ、自分たちの学校が現れる
ようやく光の下にでると二人は力なく倒れてしまう
和樹が目を覚ますと、まだ外にいた
様子を見るに、まだ夏休みのようだ
学校には人の気配がしない
智彼を抱え上げて同好会の部屋へ行く
鍵は開いていて、冷房をつけて智彼を寝かせる
部屋の中にあった自分のスマホを見る
するとちょうど日付がお盆の最終日になっていた
「あらら…」
言うまでもなく次に同好会を招集したときに玲子や日向に沢山の文句を言われた
夏休みが終わり、学校の運営が再開する
本来夏休みすべてを使ってゆっくりする業務を二週間で終わらせることになったため、和樹の体力は大幅に削られた
「おはようございます…」
まだ少しぎこちないがしっかりと智彼は会話をしてくれるようになった
「智彼ちゃんその箱どうしたの?」
いつも仲の良い女の子が話しかけてくる
「私の夏休みにできた宝物なの!」
智彼はうれしそうに話す
和樹は社会科の職員室に行く
「どうしたんだ?和樹」
佑一はこちらに振り向く
西暦千年位の時の日本の資料を探してもらう
どの資料を探しても異形についての記載はなかった
しかし、ある中納言についての記述があった
“雷鳴壺の女御は歌合わせでも、絵合わせでも、物合わせでも、帝の心を惹き付けて皇后となった。その中でも素晴らしかったのは、窓の葉の少女の絵だったそうだ”
和樹はその資料を閉じる
「見たかったものは見つけられたか?」
佑一が聞いてくる
「あぁ、少なくとも自分の中での心残りはなくなったよ」




