第2話
次の日はチャイム前に教室に着く
「では今日は動詞の授業をしますよ」
「せんせ~なんで古文なんか勉強するんですかぁ~?」
教室にいる半分くらいの生徒が笑い出す
今日の授業教室は3-6
3-6には日向と愛莉がいる
ここでの授業はいつでも大変になる
いつでも愛莉が突っかかってくるからだ
日向は日向で明るくはあるが、髪を金髪に染めているため目立つ
「僕はほかの言語を理解するため、そして自分たちが知りようもない人たちの気持ちを知るためというのが主な理由だと思っています」
愛莉の質問にもまるで普通の生徒の純粋な疑問として対処する
「英語の元になった言語と今の英語、そして日本語の古語と現代日本語…この二つはおよそ同じ変化をしているんです、その変化を読み取ることができればどの言語でも共通した性質を読み取ることができます」
和樹の回答に生徒は黙り始める
「また、社会で生きて行くには会ったばかりの相手の気持ちを読み取る、ある一定のグループの中にあるルールを読み取ることが必要になります…そのときに僕は古文の知識が活かされたと思いますよ」
「でもぉ、先生社会経験ないじゃないですかぁ」
また愛莉は教師を小馬鹿にする
「そうですねぇ…労働社会には出たことがありませんから…でもこれは私の行っていた剣道場でのコミュニケーションや、教員間でのコミュニケーションでも役に立ちましたよ」
「でもそれって労働社会に出たときに役立つとは限りませんよねぇ」
確かにそうだ
自分の経験をいくら積み重ねても完璧な証明にはならない
愛莉もいい視点は持っているが、今回における内容が社会一般であり、その中で一度でも成り立っていれば「社会」での「経験」が存在することになるので反論としても完璧ではない
そんな押し問答をしているとあっという間に授業が終わる
休み時間になり、廊下を歩いているとクラスメイトと話している智彼が目に入る
恐怖症がある以上話しかけない方がいいので通り過ぎようとすると、突然足の力が抜けてしまう
「ひっ!」
智彼だったら手さえ伸ばせば届きそうだったがとっさによけられてしまう
地面に倒れる前にピンク色の髪をした少女に持ち上げられる
「ありがとうございます…」
「大丈夫ですよ~」
和樹も立ち上がる
自分は足が弱く、このように倒れてしまうことも多々あるが、生活自体は一人でできている
職員室に戻ろうと言うときに二人の話し声が聞こえる
「ごめんね…メルちゃん私がだめなばっかりに…」
「いいんだよ、その分私がなんとかするから!」
今日は午後の活動もないためすぐに家に帰る




