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第11話

夏休みになる

かといっても同好会の活動はお盆に向けて行われる

今日も場所決めのための資料読みの日として会の部屋を開放している

もちろん全員が来るわけではない

日向はアイドル活動が最も活発にできる時期であり、玲子は剣舞している県道の大会の練習をする時期だ

今日は比較的涼しいので風が通るように窓を開ける

すると、校舎から高校に隣接した森へ行こうとしている智彼を見つける

(どこに行こうとしてるんだ?)

森は生徒が立ち入り禁止とされているため、和樹も急いでその森に向かう



校舎から出る頃には智彼を見失ってしまう

多少危険ではあるが、和樹も森の中に入っていく

少し開けた場所に出てくる

地面にはまだ新しい足跡がある

(ここを通ったのは間違いないな)

足跡を辿っていくとある一匹の黒い影が見える

「にゃあ」

「猫か…」

その黒猫は智彼の足跡を追っていく

いつの間にか足跡は途切れてしまったが猫はそのまま走り続ける

「もしかして行った場所を知っているのか?」

黒猫は和樹の質問に振り返りもせずに走っている



しばらくしてある場所に着く

「石の谷?」

石が積み重なって土がかかって固まったようだ

目線の先には人一人が通ることのできる道がある

両サイドを石で囲まれながらも進んでいく

黒猫は谷の上から走って和樹を追いかける

谷から抜ける



谷を抜ければすぐに森の終わりが見える

森から出て辺りを見回す

「これは…」

和樹が見たことのない景色だ

土地勘がないのではない

風景から現代ではあり得ない設備たち、道路の舗装状態が見える

見る限り畑で覆われているのに機械の一つも見えない

近くにあった民家に入る

「すみません、どなたかいらっしゃいますか?」

中から男の人が出てくる

「そなたはいかなるものに候」

唐突に時代劇のような発言をされたが、言葉遣いですぐにわかる

(ここは古語が使われていた時代か)

とっさに話し方と耳を古語理解用に切り替える

「僕は旅人です、そこの森に入ったら迷ってここに来てしまいました」

「何も持っていないが本当に旅人か?」

「それが荷物を持つ前に森で迷ってしまって」

「それにその見た目…怪しい…」

「私は未来から来たのでこのような格好なのです、他にこのような見た目をした年頃の女の子を見ませんでしたか?」

なんとか警戒を解こうと弁明をする

「それなら見たぞ、あちらの方に歩いて行った」

「ありがとうございます、失礼しました」

目撃証言を頼りに言われた方向へ進んでいく

この地なら現代の奇抜な見た目は目立つため、発見されるのも不思議ではない

早足で追いかけると不安そうな足取りで歩いている智彼を見つける

「小野さん!」

和樹が叫ぶとこちらに振り向く

しかし、こんなときに足の力が抜ける

和樹は膝をつく

智彼も少し驚いて後ずさんでしまう

「大丈夫ですか?」

横から話しかけられる

そこには智彼と同い年くらいの女の人が玄関から話しかけていた



「助かりました…」

自分たちを見つけた女性が男の人…おそらく夫だろう、その人を連れてきて自分を持ち上げてくれた

「あなたたちの声が聞こえて外を見たらこれでしたから…」

「?」

智彼は早い会話についていけてない

「すみません、今日ここに泊まらせていただくことは可能でしょうか?お礼として私も働きますので…」

「構わないよ、むしろ働いてくれるとはありがたい」

日の落ちきった今に二人で行動するのは危険なため何が何でもという思いで頼んだがあっさりと了承してくれた

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