第10話
「品詞分解は一度一文をさっと読む、そしてさっと呼んでいる中に係助詞がないかを探す、あれば文末は省略消滅がない限り連体形か已然形になります」
いつもと変わらず授業を進める
「係助詞を除けば、他の品詞は常に直前の用言を活用させるからだのであとは文末から直前の品詞を確認しながらその連鎖で解けます」
チャイムが鳴り、授業が終わる
七組から出て、また屋上に行く
屋上に行くと案の定愛莉がいる
「どうしたんですか?」
顔を上げないままこちらに寄ってくる
そのまま抱きつかれる
和樹からしたら恐怖だ
セクハラで訴えられたらたまったものではない
「ごめんなさい…ごめんなさい…!」
およそ愛莉からは一生聞くことがなかったであろう言葉が出てくる
「…どうしたの?」
「生意気言ってごめんなさい…」
愛莉は錯乱状態でこちらの発言を聞けていない
「大丈夫だよ…落ち着いて」
しばらく経ってようやく愛莉が落ち着く
「私が…生意気なことができてたのは先生の温情だって言われて…」
「佑一か…」
口調からして想定できるのは一人しか居ない
「温情なんかじゃないよ…ただ君に昔の僕を重ねていただけだ」
あのときの雪子先生も自分に対する温情の気持ちで助けていたわけではないだろう
「でも…私…男の人にはああするってことしか教えられてなくて…」
自分の母の教育が偏っていたことはわかったが、それを簡単には修正できない
「大丈夫、ゆっくり変わっていけばいいんだよ…僕だってすぐに更生したわけじゃないんだから」
愛莉も落ち着いたみたいで屋上から出ていくがその頃には日が赤くなっていた
職員室からまたあの人に電話をする
「またかけてくれたのね」
雪子先生が出てくる
「知ってたんですか?愛莉のこと」
質問の仕方と時間の経過から相手もその意図を察する
「あの子と親の教え方が中々に酷かったのはよく知ってるよ…どうやらあの子のお母さんはたくさんの男からお金を吸い上げてた人だったみたいでね」
「雪子先生の方でどうにかできなかったんですか?」
「その対象じゃない私が看たとしても、実際に男の人と触れない限りその認識は直らないはずだからね」
「…それが、僕をうちに推薦した理由ですか?」
「…半分はそうだね、君にはあの子たちの、男の人との関わり方を学んでほしいから信頼できる君に頼んだんだよ」
「そうですか…」
和樹は電話を切る




