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第5章

世界が白く染まり、

音がひとつずつ消えていく。


そして――

蝉の声が戻ってきた。


夏の匂い。

眩しい日差し。

あの日と同じ景色。


「蒼真ー! 早くー!」


夕奈が手を振っている。

制服姿で、笑顔で、

まるで何も知らない少女のように。


だが蒼真は、

もう“何も知らない”わけではなかった。


(……5回目は通り魔。

 4回目は病気。

 3回目は倒れて。

 2回目は階段。

 1回目は車。

 全部バラバラなのに……

 全部“夕奈の死”に繋がってる)


運命は形を変え、

理由を変え、

どんな手段でも夕奈を奪いに来る。


(……でも、6回目は違う。

 核心に近づく夏だ)


蒼真は夕奈のもとへ歩き出した。


「蒼真、遅いよー!」


夕奈は笑っている。

だが蒼真は、すぐに気づいた。


(……息が浅い。

 でも、前よりはマシだ)


5回目より症状が軽い。

4回目よりも軽い。


(……なぜだ?

 時間に逆らって壊れていく身体なら、

 本来はもっと悪化してるはずだ)


夕奈は胸を押さえない。

歩幅も普通。

顔色も悪くない。


(……何かが違う)


蒼真は胸の奥に、

小さな希望と大きな不安を抱いた。


坂道を歩く。

前の5回と同じ道。


だが――

夕奈は一度も立ち止まらない。


「蒼真、今日は調子いいかも!」


「……そうか」


(……本当に?)


夕奈は笑っている。

だが、その笑顔の奥に――

“何かを隠している影”が見えた。


(……夕奈。

 お前は何を隠してる?)


海に着くと、

夕奈は波打ち際で足を浸しながら言った。


「ねえ蒼真。

 最近ね……

 胸の痛み、前より減った気がするの」


蒼真は息を呑んだ。


(……減った?

 どうして?)


夕奈は続けた。


「でもね……

 代わりに、変な夢を見るの」


「夢?」


「うん。

 何度も何度も……

 “死ぬ夢”」


蒼真の心臓が跳ねた。


「どんな夢だ?」


夕奈は遠くを見つめながら言った。


「車に轢かれたり……

 階段から落ちたり……

 胸が苦しくなったり……

 知らない人に襲われたり……」


蒼真は息を呑んだ。


(……全部、俺が経験した“死”だ)


夕奈は続けた。


「でもね……

 夢の中の私は、

 “何度も死んでる”って分かってるの」


蒼真の背筋が凍った。


(……夕奈は、覚えてる?

 いや、夢として……?

 でも、なぜ?)


夕奈は胸に手を当てた。


「最近ね……

 心臓が、すごく早くなるの。

 怖い夢を見るたびに……

 “何かが近づいてくる”感じがするの」


蒼真は夕奈の手を握った。


「夕奈……

 それは夢じゃない。

 お前の身体は――」


言いかけた瞬間。


夕奈がふらりと倒れた。


「夕奈!!」


蒼真は抱きとめる。


夕奈は胸を押さえ、

苦しそうに息をしている。


「……ごめん……

 また……苦しくて……」


(……やっぱりだ。

 症状は消えてない。

 ただ“形を変えてる”だけだ)


蒼真は夕奈を抱きかかえ、

海辺のベンチに座らせた。


夕奈は弱々しく言った。


「蒼真……

 私ね……

 最近、変なことがあるの」


「変なこと?」


「うん……

 胸が痛いとき、

 頭の中に“声”がするの」


蒼真は息を呑んだ。


「声……?」


「うん……

 “戻れないよ”って……

 “未来は変わらないよ”って……

 “死ぬ運命は決まってる”って……」


蒼真の胸が凍りついた。


(……運命の声?

 いや、違う。

 これは――)


夕奈は涙をこぼした。


「怖いよ……蒼真……

 私……どうなっちゃうの……?」


蒼真は夕奈を抱きしめた。


「大丈夫だ。

 絶対に助ける。

 絶対に……!」


夕奈は震える声で言った。


「……蒼真……

 私ね……

 “死ぬ未来”を見た気がするの」


蒼真は息を呑んだ。


「どんな未来だ?」


夕奈は震えながら言った。


「……暗い部屋で……

 誰かに呼ばれて……

 その声が……

 “あなたは戻ってきちゃダメ”って……」


蒼真の背筋が凍った。


(……誰だ?

 誰が夕奈を呼んでる?

 誰が“戻るな”と言ってる?)


夕奈は続けた。


「その声……

 私の声に似てるの」


蒼真は目を見開いた。


(……未来の夕奈?

 未来の自分が、

 過去の自分を“死へ導いてる”?)


核心に近づいた。

だが――

まだ足りない。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

夕奈を家まで送り届け、

蒼真は帰り道を歩いていた。


(……夕奈の病気は、未来の自分が原因?

 未来の夕奈の“死”が、過去の夕奈を引っ張ってる?

 じゃあ……どうすれば――)


そのとき。


スマホが震えた。


ニュース速報。


『新高輪市内で火災発生。

住宅の2階部分から出火――』


蒼真の心臓が止まった。


(……まさか)


住所が表示される。


――夕奈の家。


蒼真は走り出した。


(嘘だろ……

 嘘だろ……!!)


夕奈の家に着くと、

2階の窓から炎が上がっていた。


消防車のサイレン。

人々の叫び声。


蒼真は叫んだ。


「夕奈!!

 夕奈ぁぁぁ!!」


だが――

消防隊員が蒼真を押さえた。


「危険だ! 入るな!」


「夕奈が中にいるんだ!!」


「……すまない。

 さっき救出したが……

 意識がない」


蒼真は膝から崩れ落ちた。


(……まただ。

 また……守れなかった)


夕奈は救急車に運ばれ、

そのまま――

息を引き取った。


火災の原因は不明。

だが蒼真には分かっていた。


(……運命が、形を変えて襲ってきた)


「蒼真」


背後から、静かな声。


ココが立っていた。


「6回目も……ダメだったね」


蒼真は涙を流しながら言った。


「なんでだよ……

 なんで……何をしても……!」


ココは静かに言った。


「蒼真。

 きみは“核心”に近づいたよ」


「核心……?」


「うん。

 夕奈の死の原因は――

 “未来の夕奈”だよ」


蒼真は息を呑んだ。


「未来の……夕奈……?」


「そう。

 未来の夕奈の“死”が、

 過去の夕奈を引きずってる。

 だから、どんな形でも死ぬ」


蒼真は震えた。


(……じゃあ、どうすれば……?)


ココは言った。


「蒼真。

 次が――

 “最後”だよ」


世界が白く染まり始める。


蒼真は夕奈の手を握りしめ、

強く願った。


(今度こそ……

 絶対に救う)


そして――

最後の夏が始まる。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

世界が白く染まり、

音がひとつずつ消えていく。


そして――

蝉の声が戻ってきた。


夏の匂い。

眩しい日差し。

あの日と同じ景色。


「蒼真ー! 早くー!」


夕奈が手を振っている。

制服姿で、笑顔で、

まるで何も知らない少女のように。


だが蒼真は、

もう“何も知らない”わけではなかった。


(……5回目は通り魔。

 4回目は病気。

 3回目は倒れて。

 2回目は階段。

 1回目は車。

 全部バラバラなのに……

 全部“夕奈の死”に繋がってる)


運命は形を変え、

理由を変え、

どんな手段でも夕奈を奪いに来る。


(……でも、6回目は違う。

 核心に近づく夏だ)


蒼真は夕奈のもとへ歩き出した。


◆ 夕奈の“変化”

「蒼真、遅いよー!」


夕奈は笑っている。

だが蒼真は、すぐに気づいた。


(……息が浅い。

 でも、前よりはマシだ)


5回目より症状が軽い。

4回目よりも軽い。


(……なぜだ?

 時間に逆らって壊れていく身体なら、

 本来はもっと悪化してるはずだ)


夕奈は胸を押さえない。

歩幅も普通。

顔色も悪くない。


(……何かが違う)


蒼真は胸の奥に、

小さな希望と大きな不安を抱いた。


◆ 海へ向かう途中の“違和感”

坂道を歩く。

前の5回と同じ道。


だが――

夕奈は一度も立ち止まらない。


「蒼真、今日は調子いいかも!」


「……そうか」


(……本当に?)


夕奈は笑っている。

だが、その笑顔の奥に――

“何かを隠している影”が見えた。


(……夕奈。

 お前は何を隠してる?)


◆ 海での会話

海に着くと、

夕奈は波打ち際で足を浸しながら言った。


「ねえ蒼真。

 最近ね……

 胸の痛み、前より減った気がするの」


蒼真は息を呑んだ。


(……減った?

 どうして?)


夕奈は続けた。


「でもね……

 代わりに、変な夢を見るの」


「夢?」


「うん。

 何度も何度も……

 “死ぬ夢”」


蒼真の心臓が跳ねた。


「どんな夢だ?」


夕奈は遠くを見つめながら言った。


「車に轢かれたり……

 階段から落ちたり……

 胸が苦しくなったり……

 知らない人に襲われたり……」


蒼真は息を呑んだ。


(……全部、俺が経験した“死”だ)


夕奈は続けた。


「でもね……

 夢の中の私は、

 “何度も死んでる”って分かってるの」


蒼真の背筋が凍った。


(……夕奈は、覚えてる?

 いや、夢として……?

 でも、なぜ?)


夕奈は胸に手を当てた。


「最近ね……

 心臓が、すごく早くなるの。

 怖い夢を見るたびに……

 “何かが近づいてくる”感じがするの」


蒼真は夕奈の手を握った。


「夕奈……

 それは夢じゃない。

 お前の身体は――」


言いかけた瞬間。


夕奈がふらりと倒れた。


「夕奈!!」


蒼真は抱きとめる。


夕奈は胸を押さえ、

苦しそうに息をしている。


「……ごめん……

 また……苦しくて……」


(……やっぱりだ。

 症状は消えてない。

 ただ“形を変えてる”だけだ)


蒼真は夕奈を抱きかかえ、

海辺のベンチに座らせた。


◆ 夕奈の“告白”

夕奈は弱々しく言った。


「蒼真……

 私ね……

 最近、変なことがあるの」


「変なこと?」


「うん……

 胸が痛いとき、

 頭の中に“声”がするの」


蒼真は息を呑んだ。


「声……?」


「うん……

 “戻れないよ”って……

 “未来は変わらないよ”って……

 “死ぬ運命は決まってる”って……」


蒼真の胸が凍りついた。


(……運命の声?

 いや、違う。

 これは――)


夕奈は涙をこぼした。


「怖いよ……蒼真……

 私……どうなっちゃうの……?」


蒼真は夕奈を抱きしめた。


「大丈夫だ。

 絶対に助ける。

 絶対に……!」


夕奈は震える声で言った。


「……蒼真……

 私ね……

 “死ぬ未来”を見た気がするの」


蒼真は息を呑んだ。


「どんな未来だ?」


夕奈は震えながら言った。


「……暗い部屋で……

 誰かに呼ばれて……

 その声が……

 “あなたは戻ってきちゃダメ”って……」


蒼真の背筋が凍った。


(……誰だ?

 誰が夕奈を呼んでる?

 誰が“戻るな”と言ってる?)


夕奈は続けた。


「その声……

 私の声に似てるの」


蒼真は目を見開いた。


(……未来の夕奈?

 未来の自分が、

 過去の自分を“死へ導いてる”?)


核心に近づいた。

だが――

まだ足りない。


◆ そして、運命は襲う

夕奈を家まで送り届け、

蒼真は帰り道を歩いていた。


(……夕奈の病気は、未来の自分が原因?

 未来の夕奈の“死”が、過去の夕奈を引っ張ってる?

 じゃあ……どうすれば――)


そのとき。


スマホが震えた。


ニュース速報。


『狭山市内で火災発生。

住宅の2階部分から出火――』


蒼真の心臓が止まった。


(……まさか)


住所が表示される。


――夕奈の家。


蒼真は走り出した。


(嘘だろ……

 嘘だろ……!!)


夕奈の家に着くと、

2階の窓から炎が上がっていた。


消防車のサイレン。

人々の叫び声。


蒼真は叫んだ。


「夕奈!!

 夕奈ぁぁぁ!!」


だが――

消防隊員が蒼真を押さえた。


「危険だ! 入るな!」


「夕奈が中にいるんだ!!」


「……すまない。

 さっき救出したが……

 意識がない」


蒼真は膝から崩れ落ちた。


(……まただ。

 また……守れなかった)


夕奈は救急車に運ばれ、

そのまま――

息を引き取った。


火災の原因は不明。

だが蒼真には分かっていた。


(……運命が、形を変えて襲ってきた)


◆ ココの言葉

「蒼真」


背後から、静かな声。


ココが立っていた。


「6回目も……ダメだったね」


蒼真は涙を流しながら言った。


「なんでだよ……

 なんで……何をしても……!」


ココは静かに言った。


「蒼真。

 きみは“核心”に近づいたよ」


「核心……?」


「うん。

 夕奈の死の原因は――

 “未来の夕奈”だよ」


蒼真は息を呑んだ。


「未来の……夕奈……?」


「そう。

 未来の夕奈の“死”が、

 過去の夕奈を引きずってる。

 だから、どんな形でも死ぬ」


蒼真は震えた。


(……じゃあ、どうすれば……?)


ココは言った。


「蒼真。

 次が――

 “最終回”だよ」


世界が白く染まり始める。


蒼真は夕奈の手を握りしめ、

強く願った。


(今度こそ……

 絶対に救う)


そして――

最終回の夏が始まる。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

世界が白く染まり、

音がひとつずつ消えていく。


そして――

蝉の声が戻ってきた。


夏の匂い。

眩しい日差し。

あの日と同じ景色。


「蒼真ー! 早くー!」


夕奈が手を振っている。

制服姿で、笑顔で、

まるで何も知らない少女のように。


だが蒼真は、

もう“何も知らない”わけではなかった。


(……これが最後の夏だ)


6回目で、

蒼真は真相に触れた。


未来の夕奈の“死”が、

過去の夕奈を引きずっていた。


未来の夕奈の“諦め”が、

過去の夕奈の身体を壊していた。


(……だから、どんな形でも死んだんだ)


事故でも、

病気でも、

通り魔でも、

火災でも。


すべては――

未来の夕奈が「生きることを諦めていた」から。


(……なら、俺がやることはひとつだ)


蒼真は夕奈のもとへ歩き出した。


海で過ごしたあと、

二人は駅へ向かった。


夕奈は少し疲れていたが、

胸を押さえることはなかった。


「蒼真、今日は楽しかったね」


「……ああ」


夕奈は笑う。

その笑顔は、

前の6回よりもずっと明るかった。


(……未来の夕奈の“諦め”が弱まってる?)


蒼真は胸の奥に、

小さな希望を感じた。


夕暮れの駅のホーム。

電車が来るまであと1分。


夕奈はベンチに座り、

蒼真の肩にもたれた。


「ねえ蒼真……

 私ね……最近、夢を見ないの」


「夢?」


「うん。

 あの“死ぬ夢”……

 見なくなったの」


蒼真は息を呑んだ。


(……未来の夕奈の“声”が消えた?)


夕奈は続けた。


「なんかね……

 生きたいって思えるの。

 蒼真といると……」


蒼真の胸が熱くなる。


(……夕奈……)


そのときだった。


ホームの端。

夕奈の背後に――

“誰か”が立っていた。


顔は見えない。

ただ、夕奈の背中に近づいていく。


(……来た)


運命が、

最後の形で襲いに来た。


蒼真が叫ぼうとした瞬間。


その“誰か”が夕奈を――

突き飛ばした。


「夕奈!!」


夕奈の身体が宙に浮き、

線路へ落ちる。


電車のライトが迫る。


(間に合わない――!!)


その瞬間。


世界が――

止まった。


風が止まり、

音が消え、

電車のライトが静止する。


夕奈の身体は、

線路へ落ちる寸前で止まっていた。


蒼真だけが動けた。


「……時間が……止まった?」


そのとき。


線路の上に、

“もう一人の夕奈”が立っていた。


制服ではない。

大人びた姿。

どこか影を背負った表情。


未来の夕奈。


「……蒼真」


その声は、

悲しみと諦めに満ちていた。


蒼真は叫んだ。


「お前が……

 夕奈を殺してたのか……!」


未来の夕奈は、

静かに頷いた。


「……ごめんね。

 私……生きるのが怖かったの」


「だからって……

 だからって、過去の夕奈まで……!」


未来の夕奈は涙をこぼした。


「だって……

 生きても苦しいだけだと思ったの。

 未来の私は……

 誰にも必要とされてないって……

 そう思ってたの」


蒼真は未来の夕奈に近づき、

強く言った。


「必要だよ。

 俺が必要としてる。

 今も、未来も、ずっとだ!」


未来の夕奈は震えた。


「……でも……

 私は……生きていいの……?」


「生きろ。

 生きたいって思え。

 それだけで運命は変わる!」


未来の夕奈は、

ゆっくりと目を閉じた。


そして――

涙を流しながら言った。


「……生きたい」


その瞬間。


夕奈の身体を縛っていた“未来の死”が、

音もなく崩れ落ちた。


未来の夕奈の姿が、

光に溶けていく。


「蒼真……

 ありがとう……」


そして――

消えた。


世界が動き出す。


風が吹き、

音が戻り、

電車が迫る。


夕奈の身体が落ちる――

その直前。


蒼真は全力で飛び込み、

夕奈を抱き寄せた。


「夕奈!!」


夕奈の身体は、

線路に落ちる前に蒼真の腕に収まった。


同時に、

夕奈を突き飛ばした犯人の腕を掴み、

地面に押し倒した。


「離せ!!」


「お前は……

 絶対に許さない!!」


駅員が駆け寄り、

犯人は取り押さえられた。


夕奈は震えながら蒼真に抱きついた。


「蒼真……

 怖かった……!」


「もう大丈夫だ。

 絶対に守る」


夕奈は涙を流しながら頷いた。


夕奈を救った瞬間。


蒼真の身体が――

光に包まれた。


「……え?」


夕奈が驚いた顔で見つめる。


蒼真は夕奈の頬に触れた。


「夕奈……

 生きてくれてありがとう」


「蒼真……?

 どこ行くの……?」


「俺は……

 元の世界に戻るみたいだ」


夕奈は涙をこぼした。


「やだ……

 行かないで……!」


蒼真は微笑んだ。


「大丈夫。

 お前はもう死なない。

 未来のお前が……

 “生きたい”って言ったから」


夕奈は泣きながら頷いた。


「蒼真……

 ありがとう……

 大好き……!」


蒼真は夕奈を抱きしめ、

最後の言葉を囁いた。


「俺もだ。

 ずっと……」


光が強くなり、

蒼真の身体が消えていく。


夕奈の声が遠ざかる。


「蒼真ぁぁぁぁ!!」


そして――

蒼真は現実へ戻った。

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