第八十七話 騒がしくも穏やかな朝です
「……ん、結構、眠れましたね」
昨日は色々ありましたので寝付けないと思いましたがベッドに入るとすぐに眠れました。
リッシュ君とお嬢様が隣で眠っています。
本当ならお嬢様は自室のベッドでお休みになるのですが、お嬢様のご要望で一緒に寝る事になりました。
二人を起こさないように起き上がります。……と思ったのですが、眠っているリッシュ君のほっぺを指で軽くツンツンします。リッシュ君は早く起きる事が多いのでマージュちゃんと違ってあまりツンツン出来ないのです。
これ幸いにとしていると
「お姉ちゃん何してるの?」
「は………っ!?」
お嬢様に見られてしまいました。
「わたしにもする?」
「い、いえ、お嬢様には……」
白状すると偶にしていました。また、旦那様に見られれてしまった事もあります。
「そうですね! では失礼して」
合意なら問題ありませんね。では失礼して……
「ママァァーーーーーっ!!」
叫び声のように遠くから響いてきます。ノルカさんですね。
「ノルカさん、元気だね」
「……そうですね」
内心で邪魔が入ったと思ってしまいました。私の個人的な感情は置いといてもノルカさんには言わなくてはいけない事があります。
「ノルカさん……朝ですから大きな声をあげてはいけません」
「おう、ごめんでござる」
リッシュ君が起きています。
「私を呼んだのは何か御用ですか?」
「うん。エルちゃんが呼んでる」
「エルシア様がですか」
緊急の御用でしょうか? でもそれならサキさんか別の侍女の方が呼びに来るように思えます。ノルカさんを疑う訳ではありませんが何か行き違いがあるように思えてなりません。
「お姉さんのところところに行くの?」
「はい。用件を伺ってきます」
「じゃあ、わたしも行くよ。リッシュ君も行く?」
「うん。行く」
全員で行く事にしました。
エルシア様のお部屋の前にサキさんが立っていました。
「やあ、サキちゃん元気無さそうだね」
「誰のせいで……話を最後まで」
その姿から何があったか予想が付きました。
「スエレ様、申し訳ございません。本来なら私がお声がけするつもりでしたがノルカさんが……」
恐らく、話を聞いたノルカさんが『拙者がママを呼びに行く』となったのでしょう。サキさんの心中をお察しします。
「どうぞこちらへエルシア様がお待ちです」
「たのもうっ!!」
勢いよくノルカサンが入っていきます。口にするまでもなくそれは駄目です。
「喧しいっ!! 言っておくけど貴方は呼んでないわ」
「あ、大丈夫、ママいるとこには拙者いるから」
「相変わらず太々しい」
溜め息を大きく吐くエルシア様です。でも本気で嫌がっている訳ではない…………と思います。
「馬鹿のことはいいわ。……スエレ、大変だったようね」
「はい。でも楽しい事もありましたよ」
言葉に嘘はありません。向こうの世界で見たもの感じたものはとても大切な思い出です。
「そう、話は長くなりそうね。朝食はまだでしょう。一緒に摂りましょう。レティちゃんとアイリッシュも……それから」
ノルカさんもと思っていましたが、エルシア様の視線は別の方向を向いていました。
「窓から入ってくるな……」
「固いことを言うな。それよりも朝食という言葉が聞こえた。僕も一緒しよう」
窓を開けて旦那様の双子の妹のリロ君が姿を見せます。
「役者は揃ったんだ。兄とフロマージュはいないがこれからの事でも話すとしよう」
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次回は再来週の水曜日の18時〜20時の更新になります。
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