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森の恵みと、はじめてのお散歩

翌朝。すっきりと眩しい朝日が、カフェ「のんびり亭」の窓から差し込んでいた。

「う~ん……よく寝た……って、わっ!?」

目を覚ますと、胸の上にズッシリとした心地よい重みがあった。

視線を落とすと、そこには丸くなってすやすやと寝息を立てる銀色の毛玉――ベルがいた。

「くぅ……ん……」

僕が体を起こすと、ベルも「ふぁあ」と大きな欠伸をして目をこすり、すり寄ってきた。

昨日痛めていた右後ろ脚を確かめてみると、すっかり元通りで元気にパタパタと尻尾を振っている。本当に驚異的な回復力だ。

「脚、もう大丈夫そうだね。よかった」

「ワンッ!」

「よし、今日からはお店のメニューを増やすために、森へ食材探しに行こうと思うんだ。ベルも一緒に行く?」

そう問いかけると、ベルは嬉しそうに「きゃうん!」と鳴いて、僕の周りをくるくると回り始めた。どうやら大賛成のようだ。

僕たちはさっそく、籠と小さなナイフを持ってカフェの裏手に広がる「迷いの森」へと足を踏み入れた。

森の中はひんやりとしていて、木漏れ日がキラキラと揺れている。

僕の『絶対味覚』と鑑定の力を使えば、どの植物が食べられるのか瞬時に判別できる。

「おっ、これは『コモレビタケ』だ。毒もなくて、バター炒めにするとジューシーで美味しいんだよね」

木の根元に生えていた綺麗な傘のキノコを摘み取って籠に入れる。

すると、少し先を走っていたベルが「クンクン」と鼻を鳴らし、ある大きな樹の根元を前足でガリガリと掘り始めた。

「ベル、どうしたの? 何かあるの?」

「クゥーン!」

ベルが掘り返した土の中から現れたのは、淡い赤色に輝く大きな果実だった。

「これは……『ハニーアップル』! 滅多に見つからない高級な果物だよ!」

かじってみると、濃厚な甘みと爽やかな酸味が口いっぱいに広がる。

ベルを見つめると、「すごいでしょ!」と言わんばかりに胸を張ってドヤ顔をしている。

「すごいよベル! 鼻がいいんだね。最高の食材が見つかったよ!」

頭をたくさん撫でてあげると、ベルは目を細めて気持ち良さそうに「くぅ~ん」と喉を鳴らした。

十分なキノコとハニーアップルを収穫し、僕たちはご機嫌でカフェへ戻った。

「よし、今日のランチは『コモレビタケと干し肉の濃厚スープ』と、ベルが見つけてくれたハニーアップルを使った『特製焼きリンゴパンケーキ』にしよう!」

厨房でハニーアップルをスライスし、森のハチミツと一緒にフライパンでじっくりと炒める。甘く香ばしい、幸せな匂いが店内に充満していく。

ふかふかのパンケーキの上に温かいハニーアップルを乗せれば完成だ。

ベルの分には、刻んだハニーアップルをたっぷりのせ、熱すぎないよう『生活魔法・微風』でしっかり冷ましてから差し出した。

「はい、ベルの特製パンケーキだよ。手伝ってくれてありがとうね」

「わんっ!」

ベルは目を輝かせ、ハグハグと夢中でパンケーキを頬張り始めた。

甘いジュースが口いっぱいに広がると、尻尾がプロペラのように激しく回転する。

「ふふ、気に入ってくれてよかった」

僕も自分の分を口に運ぶ。外はカリッと、中は甘くジューシーで、疲れが一気に吹き飛ぶ美味しさだ。

ふと窓の外を見ると、木々の隙間から、何やら熱い視線を感じた。

「ん……? 誰かいる……?」

よく見ると、甘いパンケーキの香りに誘われたのか、森の奥から大きな『羽の生えた猫』のような生き物が、じーっとこちらを覗き込んでいて――!?

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