ボディガードについて(それぞれの想い)
―――双葉梓穂―――
自分は葉山様の聞いて、一番最初に思ったのは「自分たちのことがいらなくなった」だった。
葉山様が女性に対して慣れているのは前々から分かっていたこと。そして最近は特にそれが顕著で自分や二人のボディガード以外の女性が話しかけてきても、普通に応じている。
そういうところを見ていると自分たちの役目は完全に終わったんだと思うのは仕方なかったと思う。
葉山様の気持ちを伺うと「それぞれの大学生活を大事にして欲しい」というものだった。自分にとって葉山様と一緒に過ごせることが最高の大学生活だ。それ以上に素晴らしい大学生活は存在しないと思う。
この世界で葉山様みたいな男性と一緒に過ごせる機会なんてほとんどない。だけど、葉山様と一緒にいる時間も長い分、葉山様が私たちがいらないからという理由ではなく、本当に大学生活を大事にして欲しいのは分かってしまう。
少しは反対したけど、葉山様の想いを汲む形でこの件を了承した。
良い方に考えればこれからボディガードをする時は葉山様と二人きりになれるチャンスが触れるということだ。それだけは嬉しいけど、ボディガードとしての責任は前と同じで全て自分だ。
一人で葉山様のことをしっかりと護って、葉山様がこれからも安全に大学生活を送れるように私の持っているものを全て費やすつもりだ。
――花里小夜――
あたしは葉山くんのことが大好きだ。ボディガードとして近くにいる時間が増えたことで、葉山くんに対する気持ちはどんどん膨らんでいっている。
このままだとあたしは葉山様しか考えられない人間になりそう。本当に葉山様があたしの触れられない場所に行ってしまったら、自らの命を捨ててしまうんじゃないかと少し心配になるぐらい。
ここまであたしが誰かを好きになるなんて。
そしてそんなあたしに葉山くんは「それぞれの大学生活を大事にして欲しい」と言って来た。
この言葉を聞いて、あたしが最初に思ったのは「もうあたしは葉山くんの側にいられないの」だった。あたしは一度葉山くんに告白をして、振られている。
今のあたしは葉山くんと理事長のお陰で近くにいられているだけ。ボディガードという役目がなくなったら、あたしが葉山くんの近くにいられる理由がなくなってしまう。
その肩書を失うのが怖い。
それを失って、もう葉山くんに近付くことも出来なくなったら、あたしは…。
葉山くんの話をしっかりと聞くと、今みたいに三人で葉山くんを護るというよりもそれぞれ交代制でどうかというものだった。
ちょっと早とちりをしてしまったけど、三日に一度しか葉山くんに会うことができないのは事実。
それにこれは葉山くんがあたしたちのことを思って、決めたこと。だからあたしがボディガードとして頑張りたいと言って、他の二人の担当の時に参加したりしたら、それこそ葉山くんの想いを踏みにじることになってしまう。
そんなことをしたら葉山くんから…嫌われてしまうかもしれない。
でも、これからはあたしが葉山くんのことをしっかりと護らないといけない。先輩たちには頼れない。
これからの責任は全て自分だ。もしあたしがボディガードをしている時に葉山くんが怪我を負わせたら、あたしは本当に立ち直れない。
だから本当に頑張らないと。
―――月森景都――――
葉山くんの提案はボクにとって悪くないものだった。ボクだって積極的に動こうとしているけど、他の二人が積極的過ぎてやっぱり負けている感じがあった。
でも、一対一であればボクだって葉山くんにアピールするチャンスはたくさんあるはず。少し不安だけど、今まで双葉先輩の立ち振る舞いは色々と見てきた。そこから学んだことを上手く生かして行けば大丈夫なはず。
だからこのチャンスを活かして、葉山くんにボクという存在を意識させたい。ただの護ってくれる先輩から、一つでも二つでも上に行くために。
そして女の子の中でボクが一番葉山くんから信頼されるような存在に。
そのためにはもっと頑張らないと。




