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貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら  作者: 普通


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テーマの話し合い

岬さんとの初対面が無事に終わった。



あれから岬さんと通話をしてもあの時のような落ち込んでいる感じではなく、いつもの岬さんの声に戻っていたので目的は達成したと言ってもいいかもしれない。




岬さんとメッセージをしていると、前よりも仲が深まったと感じるようなことがたくさんあった。今までであれば、岬さんは僕に対して多少遠慮しているところがあったものの、最近は岬さんから積極的に関わってくれる。これは直接会ったことで、僕という人間を知りたいと思ってもらえたからなのかもしれない。




――――――――


「テーマについて話し合ってください」


教授の言葉に学生たちはそれぞれ近くの生徒たちと話し合い始めた。この教授の講義はこういうことが多い。



僕としてはこういう機会は別に悪くない。普段は話さない人たちと話せるチャンスだしね。




まぁ…でも、新しい人と話したりするのは無理なんだけど。




僕の右隣に双葉さん、前の席に花里さん、右斜め前に月森さん。普段から三人が周りを固めているので彼女たち以外と話すことはほとんどない。



「双葉さん、テーマについて話し合いましょうか」



「そうですね」


今回のテーマは『人を好きになるのはなぜ?』というものだ。それについて学生同士で話し合わせて、それぞれ違う価値観があるのを知るのがこの話し合いの目的だとは思う。


僕は人を好きになったことがない。



だからどういう感情を抱き、行動にでるのかが未だに分からないのだ。話し合ってくれと言われても分からないものは話し合いができない。



「双葉さんは人を好きになるとどういう感覚になると思いますか?」



「……好きになるですか……」


双葉さんはしばらく考える素振りを見せた後に優しい笑顔をむけてくる。



「自分よりも大切でその人のためだったらどんなことでもできるって思わせてくれる感じですかね」



「…そういうものなんですね」


自分よりも相手を大切に。


確かに前世の前に読んでいた恋愛小説で、恋人のために命をはったりするシーンをたくさん見た。それは自分よりも相手、この人を護りたいという気持ちがそうさせているのだろう。




そんな話をしていると急に前の花里さんと月森さんが振り返って来た。



「ど、どうしたんですか?」



「いや、人を好きになるってどんな感じって話をしてたよね?」



「そ、そうですけど、どうしたんですか?」


教室の構造的に後ろの席の方が座高が高くなる。それは後ろの席でも黒板が見れるためにそういう構造になっているのだ。


だから前の席から後ろの席を見ると上目遣いという形になるのだ。




前世の自分であれば、何か心に大きな変化があるかもしれないけど、もう女性に対してそういう気持ちを抱けない。



「いや、あたしたちも混ざろうかなと思って、だめかな?」



「だめではないですよ。むしろ、色んな人から聞いた方がいいと思いますし」


聞く相手が多ければ多い程、それぞれの『人を好きになる』とはどんな状態なのかを知ることができる。


『好き』になるというものは同じでも、人それぞれ感じるものは違うかもしれない。



最初に語りだしたのは花里さんからだった。



「あたしは人を好きになるとこうなると思ってるかな。その人のことしか考えられないような状態に陥って、ずっとその状態で過ごすことになる感じ」


話している時の花里さんはなぜか笑顔だった。前世で女性はコイバナとかが好きだったらしいけど、この世界でもそういう文化はあるのかもしれない。



「…相手のことしか考えられない状態ですか」



「うん。そういう状態のことを言うのかなってあたしは思う」


やっぱり花里さんは悲しんでいるわけではなく、前を向いていると感じた。




このテーマについて、花里さんではなく隣の双葉さんとだけ話していたのには理由がある。もちろん隣というのもあるけど、いつもならこういうテーマを出されて、周りと話し合うことだと花里さんや月森さんも入れて話し合うことが多い。


なぜ、今回はそうしなかったのかと言えば『テーマ』だ。



今では花里さんとも普通に話せるけど、振ってしまった時は今のような関係になれるとは思っていなかった。



僕は花里さんに『好き』に答えれなかった人間だ。そして彼女を悲しませたのに、今でも僕のためにボディガードをしてくれている。



そんな彼女に悲しい気持ちを思い出されるような真似はしたくはない。だからこそ、今回のテーマでは前列の二人に話しかけることをせず、双葉さんと話していたのだ。

でも、どうやらそれは僕の取り越し苦労だったみたいだ。




次に月森先輩が話し出した。


「今度はボクの番だ」



「そうですね」



「ボクが思うに、その人を見ると体温が上がって来たり、話すだけで毎日が幸せな気持ちになったりすることかな」


もしかしたら、月森先輩も誰かを好きになった経験があったりするのかな。そんな感じがするぐらいに、具体的だった。


何より、月森先輩は二人と同じで笑顔。



「…それが人を好きになると起こる現象、もしくは状態…」


自分は未だに人を好きになったことがないからこそ、分からないけど彼女たちの話はとても興味深かった。




そして何より、彼女たちが『好き』について話している時は『笑顔』だった。



まるで人を好きになるって幸せなことなんだと言っているようだった。




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