小久間岬の物語④
私は…ユウさんに依存している。
それは自分でも自覚できるぐらいに依存している。これから先の未来をユウさん無しに考えられないくらい。誰かに依存する感覚はこういうものなんだと初めて知って、思っていたよりも心地いいものだった。
ここまで誰かのことを愛したのも、愛されたいと思うのも初めての経験。
この感覚は私が死ぬ瞬間までずっと忘れることはない。誰かを愛することが如何に幸せかを知ってしまったらもう忘れられない。
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そしてある日、私はにとっての大きな転換点がきた。それはユウさんからメッセージで『これは岬さんがよければなんですが、面と向かってお会いしませんか?』がきた。
最初は自分の目を疑った。
だっていくらユウさんでも顔を合わせて会おうと誘ってくるなんて思いもしなかった。この世界の男性が女性を誘うなんて天変地異が起こったとしてもあり得ないくらいのこと。
こんなことはあり得ない。
でも、私の目にはユウさんからのメッセージがしっかりと表示されている。
さすがにこのままにしておくわけにはいかないので、肯定的なメッセージを送った。送ると日程調整などを含めて、ユウさん主導で決めてくれた。ここまで男性の方が前のめりにやってくれているなんて本当に信じられない。
ここから約束の日まで私は自分磨きに時間を掛けるしかない。今まではスマホ上でやり取りで一番近くても仮想空間の中。それが生身の体で会うことになる。初めて会った時のイメージはそのまんま、しばらく引きずっていく可能性がある。
ここでユウさんの私に対するイメージを良いものにできるかで、これからの私がもっとユウさんと仲良くなれるかが決まる。
服や化粧を含めて、男性受けするようなものにしないと。
その日からの私は人生の中で一番頑張ったかもしれない。色んな雑誌を見たりして、流行りの感じを調べたり、SNS上にある、結婚した女性のブログなどを見て、どんな洋服を着ているのかを見たりしている。少しでも男性に嫌がられないような服を選ばないと。
会う日まで近付いていくにつれて、ずっと緊張するようになってきた。いつどこでもユウさんと会う時のことを考えて、生きている。
そんな状況がずっと続き、直接対面する前日の夜になった。
ベッドに目を閉じれば、次に目を覚ました時は当日だ。ユウさんと会える日になる。待ちに待った日であり、全てが決まる日と言ってもいいかもしれない。
「ユウさん、あなたのお陰で私の人生はとても彩られました」
私みたいな人間にこんな幸せな時間をくれてありがとうございます。
でも、もう今の状態じゃ満足できないくらいにユウさんのことを愛しています。これから先もユウさんと共に歩んでいきたい。
いや、歩みたい。
歩む。
そのためにもユウさんをもっと理解して、ユウさんに私のことをもっと知って欲しい。お互いに知っていって、最後にはユウさんと性行為をして子供を産みたい。そしたら、ユウさんと一緒に笑いながら子育てをしていきたいと思っている。
あんまり法律は知らないけど、男性はとっても貴重な存在。たくさんの人と結婚することだってできる。もし、今の法律で出来ないとしても『ユウさん』という存在がいる以上、例外は絶対に認められると思う。
私はユウさんと結ばれるんだったら、たくさんの人と結婚するうちの一人だとしてもいい。ちゃんと私のことを愛してくれるんだったら、人数なんて関係ない。私はただユウさんに愛してもらいたいだけ。
ユウさんが私のことを愛してくれるんだったら…どんな風でもいい。
ただ愛してくれるのなら。




