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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
78/313

78.これからの舞い

 広場の隅に引っ込み、カイは手早く車内に入ると着替えはじめる。その間に舞台の骨組みを車体から降ろし、懐中電灯を回収してSPに還元する。

 舞台の重さなんて大して感じないんだけど、やっぱり動きにくいし見辛いし、何よりも耐荷重量を超えては居ないけど、やっぱり良い気がしないんだよね。

 大丈夫だけど足回りの不安が、なんか大分人間の体の価値観から、車両の価値観に変わってきている気がする。


「よし、着替え終わったぞ」


 着替え終わりいつもの服装に戻った。あぁ言う蟲惑的格好も良いけれど、やっぱりカイは武装化している姿が一番似合ってる。


「お疲れ様です。 とても素晴らしい歌と舞でしたよ。 また見れるといいのですけれど」


 手ぬぐいを持って婦人がこちらに歩いてきた。見ていて感動したのか、すごく機嫌が良さそうな表情をしてる。


「あぁ、会長とやらが許せば教えてやろう」


「えぇえぇ、ぜひとも教えて頂きたいです」


 眼を輝かせているけど、40代にしかみえないご婦人が、レオタードみたいな服装であれを踊るのかぁ。

 うん、悪いけどちょっとご遠慮願いたいな。あの奉納の舞いは若い子が踊るものだと思う。


「それではあとでお食事でもお持ちいたしますね」


 そう言うと手ぬぐいを渡して婦人はパーティーに戻っていった。これでひと段落になってくれればいいかな。


「リョウ、奴が来るか朝になったら起こしてくれ。 それまでオレは眠る」


「わかったけど、奴って」


 聞く前にカイは車内に入ると毛皮に包まって横になってしまった。やっぱり人前で踊るのは気持ちが疲れるみたい。今はゆっくり休ませてあげよう。

 出来ればゆっくり浸かれるお風呂も用意したいけど、さすがにそこまで大型の戦車はないしなぁ。もっと広い車内でゆっくり休ませてあげたい。


 会長だったかな。その男がこちらに歩いてくるのが見えた。


「カイ、来たよ」


 起こすとすぐに車外にでる。なんていうかやっぱり戦場なれというか、寝ながらも精神を張ってるんだろうなぁ。


「パーティーの中でも、とても好評でした。 もう一度と見たいと意見が多く出ていますよ」


「何度もやっては楽しみが薄れるだろう」


「ふむ 確かにその通りですね」


「気に入ったなら、約束どおり明日から選別した女達に教えてやろう。 明日までに集めておくんだな」


 そう言うと再びカイは車内に戻ってしまった。



 翌日から二週間ほど数名の女性に歌と踊りを教え、奉納する歌と踊りを中心に神様を祈る事を残しておくみたい。

 奉納の歌と舞が残るだけの、ちょっと変わった信仰の形になるけど、これも信仰かな。日本人なんてクリスマスにお正月に神頼みのお参りにお払いと、信仰はあるけどないような雰囲気だし。

 それにしても一つ一つ時間が掛かるなぁ。


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